10話格付けその一
あつい、あついぞ戦闘シーン。
試合は、カルミアの攻撃から始まった。
「火精霊之息吹!!!」
広範囲に広がる炎は、見たら最後、
回避不能である。
「すごい、僕と対峙した時より、威力が高くなっている!」
僕は、思わず興奮してしまう。
今の一撃で完全に有賀は、炎に焼きこがれた。
はずだった。
彼は焼けるどころか無傷であった。
そう、それこそ彼の持つ能力を応用した形である。
有賀が持つ能力は、創造
物体や生物を強い意思で念じ、具現化することができる。
そして一般的な創造という能力は、
一日に5回までという限界があり、具現化したものは、
一日経つと消滅してしまう。
だが、彼の持つ創造は圧倒的な性能を誇っていた。
一年に一回という強い制約を持つ代わりに、
彼が創造した物体、生物は消えることなく
命が尽きるまで生きることができる。
そして、それは自分自身にも創造することができる。
そう、まるで反則級としかいえない使い方、
能力を創造することができる。
そして、今有賀が持つ能力は、合計11個である。
さすがの神もさぞ驚くであろう。
有賀は、今の攻撃をカルミアが持っていたもう一つの能力である「鉄壁の盾」を参考に自分の能力として創造し、防いだのである。
鉄壁の盾は、あえて透明にし誰にも見えないという効果を有賀は付け足していたので何の能力を使ったかは
誰にもわからないのである。
そして有賀が反撃に出る。
「いきますよ、」
そういった瞬間、空に急に雲が発生し雪が降り始める。
瞬く間に雪はつもり、吹雪が発生する。
「さ、寒!」
秋良がそう言うのも無理もない。
異常気象すぎるだろ…
もちろん、有賀の能力によるものだと気づいている人は少ない。
「ふん、これしきで私の炎を止める気か?甘い!」
そういうと、カルミアは、雲に向かって灼熱の炎を出し、雪は、止んだ。
「あなたならそうすると思いましたよ、
だからこそその一瞬の空きが致命的でしたね。」
そう言われて、カルミアは気付く。
「足元を凍らせる、とはな。
だが、私の炎で溶かしてみせる!」
「無駄ですよ。」
そういい、有賀はカルミアの懐に入り、拳で気絶させようとしたまさにその時、
「なっ!バカなぁ!」
上空から竜とも呼べる姿をした炎が有賀を襲う。
危機一髪というところで有賀は鉄壁の盾で身を守った。
だが、その瞬間腹に何やら弾のようなものが入り、貫通する。そして、空いた腹の穴から、血肉が溶け燃えるような激痛に襲われる。
その後、有賀は意識を失い倒れ、カルミアが勝者となった。
無事足元の氷を溶かし、カルミアは手当を急ぐよう先生に促す。
そして有賀は、治癒士のところへと運ばれる。
「さすがは、カルミアか。
圧倒的な人気ぶりだな。あと戦いも見事だな。」
秋良が素直に感心する。
またしても様をつけろ!と言う視線を感じる。
いつか秋良が暗殺されそうで怖いな。
「それにしても、有賀くんもすごかったね。」
「あぁ。だがどこか手加減してるように俺は見えたな。
「いやぁー、まさかそんなことないよ」
だが、カルミア様の最後の技は僕のトラウマでもある。
あの技を腹からくらった有賀くんが可哀想だと僕は思った。
そして、第二試合は終了し、第三試合へと移る。
それからしばらくの時間が経ち、今日で最後の試合であろう、第20試合が始まった。
「いやぁ、君と戦えるなんて嬉しいよ、原始人サン?
フフ。なんで君がSクラスにいるのかわからないけど…
私が君をぶっ潰してみんなを楽しませることにするわ」
「それは勘弁してくださいよ。」
「貴族の狂乱王、オルガ・タナトス・メアリジェーン」
「僕は前田春馬、あなたを倒す者だ。」
オルガが、能力武器であるデスハンマーを手に持ち突進してくる。
「はい、ぶっつん」
僕よりも10センチは大きいであろう彼女から一撃を繰り広げられる。
事前に全身に神聖力をたぎらせ、凝縮させているので
難なく避ける。
彼女の一撃を受けた地面は、先生が開けたクレーターほどまでいはいかないがかなり大きいクレーターができていた。
「えぇ、今のを避けちゃうの?
次はちゃんと私の愛を受け止めてぶっ潰れなさいね?」
「絶対に嫌です」
あんな地面に穴開けときながら愛って頭おかしいでしょこの人…。
「ふふふ!はぁい!ぶっづん!」
これも僕は難なく避ける。
「あれぇ?君能力持ってないんじゃなかったかしら?」
「いいえ、今は持っています。」
「ふふ、そういうことね。
…づまらなぁいじゃなぁい!ハァッハァッハァッハァッ…フフフフフフ!もう君を潰す!絶対に!徹底的に!残酷に!」
すると、彼女の眼は真紅の如く染まり、名前どうりの
狂乱となった。
オルガの能力は2つある。
一つは、武器デスハンマー。
出そうと念じれば手元に出すことができ、
収納しようと念じれば、消える。
そして、3回当たったら絶対に死ぬという効果を持っている。さらに、使用者の身体能力を2倍にする効果もある。
もう一つは、狂乱。
一般的な狂乱は、一定時間心が狂い乱れて、通常の3倍ほどの身体能力を手に入れるというものだが、
彼女も有賀同様貴族の一味、
異常な性能を誇っている。
彼女の狂乱は、狂乱じゃない時に身体能力が二分の一になる代わりに狂乱時、一定時間心が狂い乱れて、通常の10倍の身体能力に加え、狂乱時にのみ発現する、
闇纏は、自身の身体に漆黒のオーラを見に纏い、オーラに触れた相手は、瞬く間に全身に炎のようなものに身をこがされ、生命力を削られ意識を失うという効果だ。
つまり、実質彼女は狂乱でない時も通常の状態で戦うことができ、狂乱時には異常な力を発揮する。
彼女の姿を見て、〝前の僕〟だったら絶望していただろう。だけど、〝今の僕〟なら倒すことも夢じゃない。
僕はヴィーナス様からもらった能力を振り返る。
全部で3つ
そのうちの2つが今戦うのに使える能力だ。
一つは慈愛神之愛
慈愛神に深く愛された者は、彼女の一部の力を借りることができる。
使用可能な効果
ー身体能力100倍ー
ー光剣の剣技ー
ー状態異常全耐性ー
もう一つは先読み
10秒後までの未来を見て、
予想される全ての状態、行動、攻撃などを把握することができる。
そして、僕が攻撃した後の先読みをした結果、
100パーセント彼女が負けることを把握した上で、
僕は彼女の腹部を狙って光剣を放つ準備をする。
といっても、剣技を使わずにただ横に振るだけでいいのだが。
そう考えいる間にも彼女は、僕に向かって突進してくるのだが身体能力の差が大きいので僕にはスローモーションに見える。
そしてー。 シュイッ。
光の放たれた一撃は、彼女の腹に当たり、
やけただれたお腹からは、臓物が微かに見え、
彼女は倒れた。
場は静寂で静まる。
あの〝原始人〟が勝った。
カルミア様の時は運が良かっただけと思った人もいただろう。
また、今日初めて僕を見た人も能力なしじゃないのかよと絶句しているのだろう。
王族と貴族。
この国でも屈指の実力者になる二人を対等に、又は対等以上に戦い、今回は勝った。
決して彼らがまだ若いからという言い訳はできない。
なぜなら彼らが戦ったこの坊主も同い年なのだから。
先生は、ニヤリと僕を見て、
「勝者は、この坊主だぁぜ!」
そういった瞬間静寂に包まれていた観客席から一人、
大きく拍手してくれる人がいた。
秋良だ。
秋良は泣きながら僕を讃えてくれた。
それに従って他の生徒からも拍手を受け、
最終的には、観客席から万雷の拍手と称賛を受けた。
これで僕の汚名も少しは払拭されたんだ。
僕は、万雷の拍手に包まれ、精神力が途切れ、
意識を失った。
いや春馬チートしちゃってる気が…




