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炭鉱奴隷の俺が古代兵器「鉄騎」の力で成り上がる  作者: お湯0uy2
学園編

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射出実験記録

ヒノクニ城、上級鉄騎格納庫。


巨大な格納庫の奥、石壁に囲まれた部屋にハイド、クニヒト、ハナコ、イーリスが集まっていた。

中央には古い機械が置かれている。


丸い金属の箱のような装置。

前面に透明な板があり、その奥に光を投影する仕組みらしい。


ハイドは腕を組んでそれを見ていた。


「……これ何ですか」


クニヒトが答える。


「動画射映機」


「動画?」


「見れば分かる」


ハイドは少し驚いた。


クニヒトは装置の側面を軽く叩いた。


「面白いものが残っていてな」


「……面白い?」


ハナコが横で腕を組んでいる。


「殿はこれを見ると必ず笑う」


ハイドは少し不安になった。


「……嫌な予感がします」


クニヒトは楽しそうだった。


「まあ見ろ」


装置が起動する。


低い音が響き、前の板に光が映る。


やがて、映像が現れた。


巨大な鉄の構造物。


山の斜面のような場所に、長い二本のレールが伸びている。

その先端は空へ向かって傾いている。


ハイドは思わず言った。


「……なんだこれ」


イーリスが静かに言う。


「電磁投射機」


ハイドは振り返る。


「え?」


イーリスは画面を見ながら続ける。


「通称マスドライバー」


少しだけ目を細める。


「NATO規格です」


ハイドは一瞬理解できなかった。


「……何の規格?」


「旧人類軍事規格です」


イーリスは淡々と説明する。


「鉄騎サイズの質量体を電磁加速で射出する装置」


ハイドはもう一度映像を見る。


長いレール。

巨大な発射台。


「……ちょっと待って」


「はい」


「これ」


ハイドは画面を指差した。


「鉄騎置いてない?」


映像の中。


レールの上の台座に、確かに鉄騎が固定されていた。


しかも。


コクピットが閉じている。


つまり。


「……中に人いるよな」


クニヒトが笑った。


「いる」


ハイドは固まった。


映像の中で、鉄騎のコクピット通信が聞こえてくる。


若い男の声だ。


「殿!!」


声が返る。


男の声だ。


「なんだ」


「これはどういう実験ですか!!」


映像の中の男が言う。


「安心せい」


落ち着いた声。


「マスドライバーの発射タイミングと、お主の拘束具の解除タイミングは合わせておる」


ハイドは思わず言った。


「いやそれ」


映像の中のパイロットが叫ぶ。


「殿!!そういう問題では!!」


周囲の兵が何人か立っている。

だが、誰も止めない。


男が腕を組んでいる。


「問題ない」


パイロットが叫ぶ。


「殿!!殿!!」


その瞬間。


鉄騎のハッチが外から閉められた。


ガン、と音がする。


「殿!!」


ハナコが横で呟いた。


「いつ見ても酷い」


クニヒトは楽しそうに言う。


「いい実験だ」


映像の中では鉄騎が完全にレールに固定されている。


そして男が言う。


「発射準備」


パイロットの悲鳴。


「殿!!」


兵の声。


「三」


「殿!!」


「二」


「殿!!殿!!」


「一」


次の瞬間。


轟音。


鉄騎がレールを猛烈な速度で滑る。


火花が走る。


そして。


空へ飛んだ。


ハイドは目を見開いた。


「飛んだ」


映像の鉄騎は、空を弧を描いて飛んでいる。


その背中には何か装置が付いている。


イーリスが言う。


「浮力装置」


「……ああ」


「緊急パラシュートも確認」


鉄騎は海へ落ちた。


巨大な水柱が上がる。


数秒後。


海面に鉄騎の頭が出る。


そして。


通信。


パイロットの声。


「……殿」


かなり疲れた声。


「生きておるか」


クニヒトが聞く。


「……生きてます」


少し沈黙。


そして。


「……泳いで帰れ」


ハイドは吹き出した。


「ひどい」


映像が続く。


鉄騎はゆっくり海を進んでいる。


手で水を掻き、脚で蹴り。


本当に泳いでいる。


かなり必死だ。


パイロットが叫ぶ。


「殿!!」


「なんだ」


「遠いです!!」


ハナコが言う。


「四時間ほどかかったそうだ」


ハイドは目を丸くした。


「四時間!?」


「途中で休んでいた」


映像の鉄騎は、波の中で必死に泳ぎ続けている。


やがて画面が切り替わる。


海岸。


びしょ濡れの鉄騎が浜に上がってくる。


ハッチが開く。


中からパイロットが出てくる。


全身ぐったり。


砂浜に倒れる。


後ろでクニヒトが笑っている。


映像はそこで終わった。


部屋に沈黙が落ちる。


ハイドはゆっくりクニヒトを見る。


「……何これ」


クニヒトは平然としている。


「テストだ」


「いや」


ハイドは頭を押さえた。


「テストの内容おかしい」


ハナコが言う。


「しかし結果は良かった」


イーリスが言った。


「数値誤差ゼロ」


全員がイーリスを見る。


彼女は淡々と続ける。


「マスドライバー射出精度、極めて高い」


少し考えてから言う。


「NATO規格であれば、鉄騎輸送に問題ありません」


ハイドが言う。


「輸送?」


クニヒトが頷く。


「この後」


指で映像装置を叩く。


「これを使った」


ハイドは嫌な予感がした。


「……何を」


クニヒトはあっさり言う。


「俺とハナコと鉄騎」


ハイドは固まった。


「まとめて射出した」


沈黙。


ハイドはゆっくり言った。


「……え?」


ハナコが言う。


「湖に落ちた」


「え?」


「そのあと歩いて向かった」


ハイドは天井を見た。


「……この国」


イーリスが静かに言う。


「合理的です」


ハイドは言った。


「どこが」

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