表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

002異界からの逃亡者

002を読んだ方へ。001において、重要な点を変更しています。異界人の服装についてです。帆船の時代のようだ、と描写していましたが、今後の話の展開上無理があるので、少しあいまいに、昔の服装という感じに変更します。

 カイゼル髭の老人、ウーラン・シマーは、こちらへとわたってくると、"ざおう"をじっくりと見る。


「金属船ですな」

「は?」

「この船は金属でできていますな?」

「ああ、はい。そうですよ」

「と言うことは成功したということですな」

「あの、なんの話です?」


 老人はひどくほっとした表情でこちらへ顔を向ける。


「我々は大列島国の軍人だ。あなた方は日本人ですな?」

「え、ええまあ」

「我が国と国交を結んで欲しいのです」

「いえ、その前にあなた方は我が国の漁船を攻撃しましたよね」

「それについてはすまなかった。何しろこちらに来たばかりで、敵かと思ったのでな。後で私を捕まえても構わない。だが、ひとまずそちらの国のトップへ伝えてくれんか?国交を結ぶことを望んでいることを」

「...わかりました。政府に伝えます。が、あなた方は何者なのですか?それすらわからないのでは伝えようがありません」


 実際はわざわざ伝えなくともカメラで流しているため、すでに安全保障会議での検討が行われている。


「我々は、この世界のものではない、異界からやって来たのだ」

「は、はあ」

「我々の世界では、人と魔物が太古の昔から争っていた。が、少しずつ人は勢いを失って、160年ほど前、とうとう我が国のみとなったのだ」

「はぁ」

「我が国はさらに昔、異界から勇者を召喚し、その知識と武力によって魔物を退けた。発展させつつ、対抗していたのだ」

「なるほど?」

「が、やはり魔物に抗するのは難しかった。ここまでが現状だ」

「ふむふむ」

「で、勇者についてだが、その勇者の血筋は我が国の王族に受け継がれた。その勇者の祖国は日本であると伝えられている」

「は?」

「どうやら勇者たちは我が国が危機に陥ったときは、祖国のそばに逃がしてくれるよう神に頼んだそうだ」

「ちょ、ちょっと待って」

「そして、契約がはたされた。我々は滅亡間近の世界から、ここへとやって来たのだ」

「......」


挿絵(By みてみん)


 もはや、開いた口が塞がらない。 物語の産物ならば面白い話として流すが、現実に存在しているのならば大問題だ。


「ええと、以上でよろしいですか?」

「うむ。そのまま伝えてくれ」

「ちなみに、勇者となった方のお名前とか、わかります?」

「ああ、ヒロヒデ・フシミ様だ。以降、すべて男系で固有魔法が受け継がれている」

「あー、はい。わかりました。では、連絡して参ります。こちらの者に案内をさせますので、少々お待ちください」

「うむ、感謝する」



安全保障会議


「ま、待て、いまヒロヒデ・フシミと聞こえたぞ」

「どうしたのです大臣」

「同姓同名かもしれんが、皇族の方だぞ!伏見宮博恭王の子供だったはずだ!」

「どういうことだ?」

「あの使者による説明通りならば、先の大戦で撃墜された時に召喚されたということでしょう」

「ああ、そして異界で家族を持った。しかも王族としてだ」

「皇族復帰が可能ということですな?」

「ああ、かなり難しいだろうし、向こうの了承も必要だがな。まあ、今はいい。それよりも、国交はどうするかだ」

「私は結んでもいいと思いますよ」


 そう声をあげたのは、矢道経済産業相。日本へと国交を求めているなら、他国より強い経済的な結び付きを生み出せる。そう考えていたのである。


「向こうの経済規模がどの程度のものかわかりませんが、ある程度の技術力を持った国であることは疑いようがありません。しかも、この世界では存在すら知らない、魔法という分野が存在するといっていた。科学分野へと応用できれば、経済効果は数千兆円にも上るかもしれません」


 この意見は会議のメンバーにとってはかなり魅力的に聞こえた。日本の経済を劇的に向上させることができれば、最大級の功績だ。名前も残るし、政治的影響力も大きくなる。あと、単純に日本が強くなるのはいいことだ。


「まあ、国交は結ぶ方向で進めますが、問題は外国からの追求ですな。アメリカはある程度の餌を与えて政治取引すればどうにかなるでしょうが、中国とロシアは我々が最初に発見した

と言ってくる可能性が高いですぞ」


 この二か国は、有無を言わさず大列島国の領土へと攻撃を仕掛ける可能性すらありそうだ。


「さすがにこちらになにも言わないわけにはいかんでしょう。そうなる前にメディアで発表してしまうのが手っ取り早いかもしれないな」

「いや、映像を見ると、ある程度の武力をもっているのは明確だ。それに魔法があるといっていた。本当かはわからないが、我々の技術では感知できない攻撃などもできるかもしれない」

「よし、とにかく国交は結ぶ。外国への対応は文句を言われたら"独立国の主権を侵害するのか"とか、まあまっとうなことを言って答えにくくする。アメリカには利益を与える交渉で何とかする。魔法や法律、そういう細かなところは、国交を結んだあとでいいだろう。まずは既成事実を作っておくことが重要だ」

「「「わかりました」」」

「よし!動くぞ!」


 斯くして、日本は動き出す。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ