表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/18

13


 俺のクラウディアに対する気持ちは完全に変わった。何かにつけてクラウディアを少しずつ頼るようになった。だからと言ってリーゼの事を忘れたわけではない。少しずつ、リーゼの死に向き合う事が出来るようになってきたのだろう。もちろん悲しみは消える訳ではない。それでも、リーゼの事を想いだして悲しむことも少なくなり、辛い事よりも、楽しかったことをよく思い出すようになった。もちろんリーゼの事は忘れられるはずはない。しかし確実に俺の心はリーゼを思い出に変えようとしていた。そして、それに伴って、クラウディアへの気持ちは積もって行くようになった。

 そして、リーゼが死んでから一年が経った。

「クラウディア」

「はい。なんでしょう?」

「その……」

 言いよどむ俺を優しく微笑みながら見るクラウディア。

「今日で一年が経つんだ」

 俺の言葉に微笑みながらも少し首をかしげるクラウディア。

「その、俺はこんなんだし、未だにリーゼの事もちゃんと整理はついてはいない。それにシャーリーンもまだ見つかってない……でも、前にクラウディアも言っていた通り、前を向いて歩いて行かないといけないと思うんだ」

 クラウディアの顔を見ながら話し続ける俺。

「その……それにはやっぱり俺一人の力ではだめだと思う」

 そこまで言うと俺は言葉を詰まらせてしまう。後一言、その一言を言ってしまえばいいのだ。なのにその言葉が出てこない。クラウディアとはもうすでに婚約しているような物なのに、それでも最後の言葉がなかなか出てこない。

 クラウディアは神妙な顔をして俺の言葉を待っているようだ。ここで俺がはっきり言わなければ、クラウディアは俺に愛想をつかしてしまうのではないだろうか? それは嫌だ。やはりここは男らしく決めよう!

「その、なんだ……クラウディア……けっ、結婚して下さい!」

 俺はクラウディアの顔をまともに見ることが出来なかった。そして、クラウディアの沈黙……

 まさか……やっぱり駄目なんだろうか? そうだよな、あれだけ最初の頃は邪険にしてたしな……ああ、やっぱり言うんじゃなかったな……

 クラウディアは微笑みながら口を開く。

「私は、お料理もできません、もちろん武芸もできる訳ではありません。でも、少しなら治療魔術を使う事も出来ます。ですから、戦場でも少しはブルース様のお役にたてると思います。連れて行って下さいますか?」

 俺はクラウディアの言葉の意味がよく解らなかった。つまり、どういうことなのだろう? 確かに治療魔術が使える者がいれば傭兵団では有難い。でも、クラウディアには戦場には出て欲しくない。いや、それよりも俺のプロポーズの返事は? 

「え? いや、戦場は危ない。そんな所にクラウディアを連れて行きたくないな……。いや、それよりその……返事をまだもらってないんだが?」

 俺の言葉にクラウディアは少し笑って答える。

「もちろん、お受けいたします。よろしくお願いいたしますブルース様」

 その言葉で俺は茫然となった。いや、大丈夫だとは思っていた。しかし、やはり不安ではあった。本当に良かった! 「よっしゃぁぁぁ!」俺は思わず叫んでしまった。とにかくよかった! まあ、何はともあれ親父に報告しておかなければいけないな。取りあえず行こう! 俺はクラウディアの手を取り、部屋を出ようとする。するとそこにはなぜか親父の姿。うん? なんでこんな所にいるんだ? まあいい。どうせ今から会いに行こうとしてたところだ。

「親父、こんな所で何してるんだ? まあいい、親父聞いてくれ! 俺とクラウディアは結婚します!」

 俺は親父にそう報告すると、親父は何かわざとらしい感じで「そうか、うむ。解った」と、一言言って俺達から離れて行った。しかし、その背中は何処か嬉しそうだった。

 それから一か月後、俺達の結婚式は盛大に執り行われた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ