第43話 体調不良
次の日、僕は体調不良で学校を休んだ。
朝、目が覚めると、ものすごい倦怠感でベッドから起き上れなかったからだ…。
昨日は、別になんともなかったのに…
なぜか今朝起きたら、急に具合が悪くなってしまった…。
熱は、ないみたいだけど、ほんとに身体が気怠くて、頭も痛くて…
僕は、布団の中に入ったまま、枕元に置いてあったスマホで学校に欠席の連絡を入れるとそのまま朝ご飯も食べずに二度寝した。
食欲もないし…というか、冷蔵庫ほぼ空っぽで食べる物ないし………
昨日、旅行から帰って来るはずだったばあちゃんを迎えに行ったついでに買い物する予定だったけど…
ばあちゃんは、急遽あと2、3日帰らないって言うから……
買い物しないで、そのまま家帰っちゃったんだ…。
夕飯は、アンリの家で食べたアップルパイでお腹いっぱいだったから、何も食べたくなくて…
家に帰ると、ばあちゃんのお土産の温泉まんじゅうを仏壇にお供えしたら、シャワーを浴びてすぐ寝ちゃったんだ。
うぅう……。
なんか、ほんとにしんどい……
怠いし、眠いし、 頭も痛い……
こんなに身体の具合悪いのひさしぶりすぎて……
アンリは、毎日ずっとこんな感じなのかな…?
生まれた時から身体が弱くて、小さい頃はすぐに熱を出して寝込んでしまっていたし…。
昨日も、点滴か何かした後、すごく身体が辛そうだったな……。
アンリは、今日も学校行けたかな?
僕が欠席だって知ったら、きっと残念がるだろうなぁ……。
アンリに会いたい……
昨日会ったばっかりなんだけど、僕はなぜかアンリに会いたくなってしまった…。
身体が弱っているせいかな……?
ここ数日、ばあちゃんがいなくて、家に帰るとひとりだからかも……
なんだか、すごく人恋しい………
「アンリ………っ」
僕は、思わずアンリの名前を呟いた。
アンリって、綺麗な名前だなぁ……
名前だけじゃなくて、アンリは、本当に綺麗なんだもん……♡
――――ガタガタ…………
ん!?
なんか、今、廊下の方から物音がしたような…!?
――――ガタガタガタ……!
――――「……か……!………よし……!したら…………」
ひぃ…!?
やっぱり、なんか変な物音するし!人の声も聞こえる!?
どうしよう――――!?
まさか、最近ニュースでやってる押し込み強盗かも!?
とりあえず、スマホで警察に通報しなくちゃ!!
えぇっと…!!
警察って、何番だっけ~~!?
たしか110…なんたらだったような?
119!?117??じゃなくって…!?
―――ガラガラ!!
ひぃいいい―――――!?
僕が番号を迷っている間に、急に部屋の引き戸が開いた!!!
やばい!!やばい!!
強盗が入って来たんだ!!!
誰か助けて―――!!!!
「アンリっ……!!!」
僕は、無意識にアンリの名を呼んでいた。
「―――おぉっ!望月、起きたのか?」
聞き慣れた声が僕に呼びかけた!?
こ、この声は!?
僕の部屋に入って来たのは、強盗ではなく……
「さっ…サクマ~~ッ!?」
僕の幼馴染のサクマだった!!
「望月。身体の具合は、どうだ?」
「『どうだ?』じゃないよ~~!!なんで、お前が僕んちにいるんだよ!?」
「なんでって…?お前が、急に休むから心配で見舞いに来てやったんだよー。ここ来る途中で近所に人に聞いたけど、お前のばあちゃんまだ旅行から帰って来てないんだってな?
望月、お前不用心だぞ~!いくら男だからって、未成年が家にひとりで玄関の鍵開けっ放しなんて!強盗でも入ったらどうするんだよ~?」
「お前だって、無断で人の家に勝手に入ってくんなよ!!」
「俺、玄関の前で何度も呼んだんだけど?」
「家主から応答がないなら、帰れよ!」
「でも玄関の鍵開いてたから、それだけは警察官の息子として、お前に直接注意しようと思ってさ!本当に気をつけろよ?最近は、こういう田舎の家に白昼堂々押し入る凶悪な強盗がいるんだからな!お前、チビだし腕っぷしも弱いから、並みの野郎に組み敷かれたら勝ち目ゼロだろ?」
「余計なお世話だよ!!もう…っ!こっちは、朝から気怠くてしんどいのに、ウザいお説教なんかしやがって…!!」
「望月…!ごめん……。お前が体調悪いの、一昨日の夜……俺が、お前の身体に……あんなことしたせいで……!!」
ふぁっ!?
「なっ、なに変な勘違いしてんだよ…っ!!僕が具合悪いのは、サクマのせいじゃないよ…!」
あの一夜の過ちのことは、ずっと忘れかけていたのに…!!
サクマが変なこと言うから、思い出しちゃったじゃないか~~!!!
「そうか…?俺、あの時は本当にどうかしてて……!我を忘れて……己の欲望の赴くままに…お前を……!」
「んあぁぁーっ!やめろ~!!その件は済んだことだろ~!もう…っ!!あの夜のことは、やっと忘れかけてたのに……!もう、二度と蒸し返すなよ……!!」
「望月が忘れても……俺は、忘れないよ。俺は、ちゃんと自分の犯した罪を…お前を傷つけたことを生涯忘れずに生きていくから……」
サクマぁ…
お前、ほんっっっとに糞真面目だなぁ……!!
そういうの重いから、ほんとに僕のことなんか気にしなくいいのに……
「だから……。俺、これからもお前のそばにいてもいいか……?」
「良いに決まってんじゃん!僕、理由はどうあれ、サクマがこっちに来てくれて…嬉しかったんだよ。正直、こっちに転校して来てから、まだ学校にも馴染めなくて……ちょっと、さみしかったんだよね。」
こっちでの生活が落ち着いたらサクマにも連絡しようと思ってたけど……
まさか、小林達にいじめられて……いろいろ嫌なことされて……あやうく死にかけたりして……
ずっとサクマと連絡を取る心の余裕がなくって……
「最近も、ばあちゃんが旅行中で家に帰っても誰もいなくて……。今朝も、もしもばあちゃんがいたら…ばあちゃんが朝、僕のこと起こしに来てくれたら、ちょっと具合が悪いくらいで学校休まなかったと思うし……。」
僕が不調なのは、身体じゃなくて、心の方なのかも……
というか、心がしんどいから、身体もしんどくなっちゃったのかな……
「だから、今、サクマがいてくれて、なんかほっとしてる…。サクマ、来てくれて、ありがとう…。」
「望月…」
「あっ!そうだ、サクマ。温泉まんじゅう、食べない?今、お茶入れるね。」
僕は、ゆっくりとベッドから起き上った。
朝よりもずっと身体は、楽になってる。
「お茶なんかいいよ!俺は、もう帰るから。お前は、ゆっくり寝てろよ。」
「えーっ!?もう帰っちゃうの~?まだ来たばっかりじゃん!僕、もう大丈夫だから!お茶くらい飲んで行きなよ~?」
「望月、無理するなよ?お前、顏色悪いし、まだ寝てた方が良いぞ。」
「もう充分寝たよー。それに、お腹空いちゃった。あっ!ちょうど、お昼だね!サクマ、お昼一緒に食べ……あぁっ!!ごめん、うち冷蔵庫空っぽで……食べる物ないや……」
ガチでお土産の温泉まんじゅうくらいしかない…!
「冷蔵庫の中身は、見たから知ってるよ。そんで、さっき買い出しして来た。」
「サクマ!?いつの間に僕の家の冷蔵庫チェックを!?しかも買い出しまで!?」
こいつ!いったい、いつから僕んちにいるんだよ!?
「あぁ。学校行ったらお前が欠席だって聞いて、俺も早退してそのままここ来た。そしたら、お前ベッドでぐっすり寝てるから起こすの悪いと思って…。台所を点検したら、お前が食事した形跡が一切ないからとりあえず、何か作って食べさせようと冷蔵庫見たらすっからかんで、スーパーに買い出しに行って、戻って来たらお前が起きてた。」
「まず、家に入った時点で僕を起こそうよ!!」
「いや、だって本当に具合悪そうだったし、寝顔可愛いし……じゃなくて!食事が出来上がったら、起こそうと思ってたから…。」




