第42話 真理と杏子
ごきげんよう苺鈴です♡(*^▽^*)
今回は、高校生探偵サクマ君視点のお話です。
『――真理。この事件はもう、お前の手には負えない。すぐに東京に戻って来い。』
俺が電話に出ると、親父は単刀直入に言った。
「はぁっ!?父さん、どういうことだよ?俺、昨日こっちに来たばっかりなのに…!?」
そもそも、警視庁刑事部部長である俺の親父が前橋市で発生した男子中高生連続失踪事件の捜査協力を依頼してきたくせに!!
『2度も言わせるな。この事件は、お前の手には負えない。お前どころか、群馬県警にも手に負えない事態に陥っている。鑑識の結果、昨日、前橋市内の赤城南麓で発見された多量の血液は、失踪中の男子生徒のひとりとDNAが一致した。発見されたのは、致死量に近い量の血液だ。』
「血が見つかったって、まだ死体は出てないんだろう?」
『だが、被害者の生存率は極めて低いだろう。血液が見つかったのは、直近に失踪した男子高生だ。たしか、お前が今日から調査を始めた前橋X高校の生徒だ。お前と同学年のな…。
真理。俺は、警視庁刑事部部長としてではなく、お前の父親として、もうお前にこの事件に関わって欲しくないんだよ。俺も、母さんも――愛する息子を失うのは、もう二度と御免だ…!』
「父さん…!俺は、兄さんとは違うよ。もう、高校生だし、自分の身ぐらい自分で守れるよ。」
俺には、少し歳の離れた兄がいた。
兄は、俺が小1の時に水難事故で14歳で亡くなってしまった…。
『真理…。明日の朝、そっちに迎えを送る。それまでに荷物をまとめておきなさい。』
「嫌だ!俺は、この事件が解決するまで東京には戻らないよ!」
『真理!頼む、帰って来てくれ…!お前には、母さんのそばにいてやって欲しいんだ。母さんは、望月夫妻のことで、まだ心を痛めているんだ…。』
お袋は、望月の母親と仲が良かった。
元々、俺のお袋は、美容師をしていた望月の母親の店の常連客だった。
そこで二人は意気投合して、子どもも同い年だった(俺と望月)から家族ぐるみで親交が始まって…
俺のお袋の勧めで、望月が俺と同じ幼稚園に入園して来たんだ。
そういえば、幼稚園の頃は、俺と望月、お互いのこと「真理」と「杏子」って名前で呼び合ってたんだっけ…。
でも、俺達、女の子みたいな名前のせいで、みんなから揶揄われるから…
望月は―――杏子は、俺の名前をもじって『サクマ』って呼ぶようになって、俺は杏子のこと苗字の『望月』って呼ぶようになったんだ…。
『母さんは、花奈子さんと本当に仲が良かったからな…。まだ亡くなったことを受け入れられていないんだよ…。母さんは、遺された杏子君の身も案じていてね…』
俺だって!本当は、転校した杏子のことが気がかりだったから、親父からこの事件の捜査を引き受けたんだ…!!
交通事故のショックで杏子は、両親の記憶を失ってしまっていた。
杏子の両親と家族ぐるみで付き合いがあった俺のことも杏子は、忘れてしまったらしく…
杏子は、病院にお見舞いに来た俺のことを誰だかわからなかったらしい…。
それでも、俺はそれから毎日、杏子の入院している病院に通って、杏子の世話をしながら、自分のことを話し続けて…。
杏子は退院する頃になって、やっと俺のことをぼんやりと思い出してくれたんだ。
『杏子君は、どうしている?まだ記憶は、戻っていないのか?』
「あぁ。両親のことは、まだ思い出せないらしい…。」
『そうか…。まぁ…とにかく、お前はこっちに帰って来なさい。杏子君には、この事件が解決して、母さんも落ち着いたら、家族みんなでまた会いに行こう。』
「父さん。俺は、この事件を解決するまでそっちには帰らないよ。」
『真理!?』
「俺のことは、心配しないでって、母さんに伝えて!」
『真理!いいかげんにしろ!!俺も母さんもお前の身を案じて、』
「俺だって、望月の…杏子のことが心配なんだよ!!杏子だって、被害者と同い年だし!杏子は、俺よりチビで、武芸のたしなみもないし…!それに…かっ、可愛い顔してるからっ…俺がそばにいて、守ってやらないと!!」




