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第九話 パパがゲームを始めたら

(作者註:今回は娘の目線です)

 高校生になってから、なんとなくパパとは距離ができた。だから、いきなりこう言われたときは、正直驚いた。

「志奈子、おれがゲームを始めるとしたら、何からやったらいい?」 

「へえ、パパもゲームやるんだ」

 パパは渋い顔になった。

「これも仕事のうちさ。今度の取引先の部長が、今流行はやりの、ええと、あれだ、ネトネトゲー廃人はいじんらしい」

 まったくもう、どこでこんな中途半端な知識を仕入れて来たんだろう。

「せめて、廃人は付けない方がいいよ。そうねえ。まあ、無難ぶなんに『スーパーまりもシスターズ』とか、『かに缶これくしょん』とか、『桃すももハンター』とか、かな。でも、パパにはムズイかも」

「何を言う。これでも若い頃は、インベーダーゲームの達人と言われたんだぞ」

 パパが昔、ゲームをやったことがあるというのは、あたし的にはちょっと意外だった。テレビはニュースしか見ないし、新聞は経済面しか読まないし、パパの唯一の趣味といえば庭の草むしりぐらいなのだ。

 だが、こういうヒトがゲームにハマってしまうと、それこそ廃人になるまでのめり込んでしまうかもしれない。あたしは、パパが夢中になり過ぎないようなゲームはないか、がんばって考えてみた。

「それじゃ、『ストレートファイター』なんかいいかも。バトル系で簡単だし」

「まあ、それでいいよ。とりあえず、話題が途切れたときのネタになればいいんだ」

 最初はそんなこと言ってたのに、あたしの予想どおり、パパはすぐに夢中になった。会社から戻るとすぐに始め、食事と入浴の時間を除けば、寝るまでやり続ける毎日。ママからは、志奈子のせいよ、と怒られてしまった。

 いよいよ明日はそのお得意さまに会うという夜には、念のため、他のゲームについても簡単にレクチャーしてあげた。

「ありがとう、志奈子。これでバッチリだ」

 パパのやる気満々な顔を見て、あたしはちょっと不安になった。


 翌日、仕事から戻ったパパは、見る影もなく落ち込んでいた。

「どうしたの、パパ。うまく行かなかった?」

「あ、いや、うまく行った。話がはずんで、じゃあ、実際にゲームをやりましょう、ということになった」

「良かったじゃない」

「それが、良くなかった」

「え、負けちゃったの?」

「最初はね。でも、悔しくて悔しくて、その後、コテンパンにやっつけてしまった」

 あたしはパパの背中をポンとたたいた。

「パパは、我が家一番の、ほこり高き戦士よ」

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