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三つの封印された光

サルゴンは、アル・メラージュ号の巨大な観測窓の前に立っていた。


ガラスの向こうでは、浸水した造船所が暗闇の中へと果てしなく広がっていた。


古代の構造物が、滅びた文明の残骸のように、水没した深層からそびえ立っている。巨大なドック、崩壊した組立プラットフォーム、そして途方もなく巨大な金属製フレームが、黒い水の底へと消えていた。


施設全体には、紫色の光がかすかに脈動していた。その淡い輝きが、数え切れないほど長い時代にわたって動くことのなかった船々の輪郭を照らし出している。


造船所の下層に、三つの光が輝いていた。


それは、普通の照明ではなかった。


一つ目は、深紅の光を放っている。


二つ目は、淡い銀色の輝きを燃え上がらせていた。


三つ目は、周囲の闇そのものを吸収しているかのような、深い紫色の光を放っていた。


それらは、主要な製造階層より遥か下方に位置し、幾重もの古代建築の層に隠されていた。


サルゴンの黄金の瞳は、三つの光から離れなかった。


「下層探索艇を準備しろ」


彼はそう告げた。


カエレンはわずかに頭を下げた。


「御意のままに、君主様」


彼が指揮プラットフォームへ向かおうとしたとき、サルゴンが呼び止めた。


「生存と離脱に必要な装備だけを持っていけ」


カエレンは振り返った。


「抵抗を予想しているのですか?」


「大半の文明が存在していた時間よりも長く、休眠状態を保ってきたシステムを予想している」


「それは通常、抵抗する相手より厄介ですね」


サルゴンは何も答えなかった。


中央コンソールの上に、コア・スピリットの機械仕掛けの鷹のアバターが現れた。


その紫色の瞳が明滅し、造船所の立体地図を投影する。


「主要構造の解析が完了しました」


コア・スピリットが報告した。


「三つのエネルギー源は、製造区画ノード・ゼロエイトの下層に存在します。接続経路は損傷、または封鎖されています。推定深度――六百十二メートル」


「作動中の防衛機構は?」


カエレンが尋ねた。


「現在のところ、ありません」


カエレンは目を細めた。


「今の返答は、少し早すぎないか?」


「訂正します」


コア・スピリットが答えた。


「作動中の防衛機構は検知されていません」


「それは、存在しないという意味ではない」


「あなたの指摘は、統計的に妥当です」


サルゴンは観測窓から離れた。


「探索艇を発進させろ」


下層探索艇がアル・メラージュ号の船底から分離し、浸水した造船所の内部へと降下していった。


主船とは異なり、探索艇は細く、角張った形状をしていた。軍艦では進入できない狭い空間へ入り込むために設計された船体だった。


外殻は第一時代のクリスタル・ドリフトウッドによって補強され、船体の内部には細い紫色のエネルギーラインが流れていた。


カエレンは前方の操縦席に立っていた。


その背後で、サルゴンは周囲の暗闇を観察していた。


探索艇の照明が、水中に吊り下げられた巨大な機械群を照らし出す。


その一部は、未完成の船のように見えた。


別のものは、何百本もの関節式アームを備えた機械の骨格のようだった。


天井からは古代の鎖が垂れ下がっており、その一つ一つの輪は建物よりも幅が広かった。


この造船所は、単に船を建造するための場所ではなかった。

それは、文明全体の均衡すら変えてしまう存在を創造するために設計されていた。


「見ろ」


カエレンが言った。


探索艇が減速する。


崩壊した組立室の内部に、巨大な金属製フレームが横たわっていた。


それは細長い船のような形状をしていたが、その船体には無数の空の接続口と、未完成の兵装搭載部が並んでいた。


「未完成の軍艦ですか?」


カエレンが尋ねる。


「おそらくな」


サルゴンが答えた。


コア・スピリットがそれをスキャンする。


「分類不能。構造内部に、通常のエンジン区画は存在しません。中央空洞部は、概念コアを収容するために設計されたものと推定されます」


カエレンはサルゴンを見た。


「概念によって動く船……ですか?」


「あるいは、概念を運ぶ船だ」


その違いが、室内の空気をさらに冷たく感じさせた。


探索艇は、なおも下層へと進んでいく。


崩壊したプラットフォームの残骸を通り抜けた瞬間、水中が突然震え始めた。


かすかな音が、施設全体へと広がっていく。


それは機械音ではなかった。


幾重もの石と金属を通して響いてくる、遠い声のように聞こえた。


【許可なき降下を検知】


カエレンは即座に片手を剣へ伸ばした。


コア・スピリットの瞳が閃く。


「自動告知が起動しました」


「防衛システムか?」


カエレンが尋ねる。


「不明です」


その声が再び響いた。


【指揮権限の継承は未完了。下層アクセスは引き続き制限されています】


サルゴンは片手を上げた。


すると、震動が止まった。


彼はソヴリン・ヴォイドを使用していなかった。


ただ周囲の空間を通して、ごく薄い権威の層を適用しただけだった。それによって、水と造船所内の不安定な構造物を完全な静止状態へと押し込んだのである。


「進め」


彼が命じる。


カエレンはほんの一瞬だけ躊躇したが、すぐに探索艇を前進させた。


深度六百メートル。


そこに到達した彼らの前には、三つの巨大な門に囲まれた円形プラットフォームが広がっていた。


それぞれの門は、異なる素材によって造られていた。


一つ目は黒い金属製で、深紅の線が表面を横切っている。


二つ目は銀白色で、幾何学的な碑文に覆われていた。


三つ目は暗い紫色をしており、その周囲の水を歪めているように見えた。


各門の上部には、それぞれ異なる紋章が刻まれていた。


中央から二つに裂かれた王冠。


七つの輪に囲まれた、開かれた瞳。


何も内包していない空白の円。


コア・スピリットが翻訳を投影する。


「第一の門――武装指揮」


次に、二つ目の門へ移動する。


「第二の門――観測指揮」


そして、三つ目の門へ。


「第三の門――無効指揮」


カエレンはサルゴンへ視線を向けた。


「三つの指揮紋章ですか?」


「おそらくな」


「どれを開けますか?」


サルゴンは紋章を見つめた。


「造船所は、俺に継承権限への部分的なアクセスを認めた。だが、この門が求めているのは、造船所からの許可ではない」


「では、何を求めているのですか?」


「権威の証明だ」


その瞬間、深紅の門が突然明るく輝いた。


細い赤い光線が探索艇の船体を通過する。


【認証を開始】


カエレンの身体が強張った。


光線は彼の剣、鎧、そして両手の上を順番に走査し、やがてサルゴンの前で停止した。


【主要候補を検出】


一連の紋様が、水中に浮かび上がる。


【魂特性:存在せず】


【空白:確認済み】


【権威パターン:不完全】


【脅威分類:未解決】


カエレンはゆっくりと剣を抜いた。


サルゴンは微動だにしなかった。


「やめろ」


サルゴンが言う。


しかし、カエレンは剣を下ろさなかった。


「奴はあなたを脅威として分類した」


「脅威ではなく、未解決として分類しただけだ」


「それは安心できる言葉ではありません」


「そうだな。だが、役には立つ」


深紅の門が、細い垂直の線を描いて開いた。


内部から赤い光が現れ、プラットフォームの上空で人型の姿を形成していく。


それは古代の鎧を身にまとっていたが、その顔は滑らかな仮面によって隠されていた。


背中からは六枚の機械翼が伸びている。


その翼は、それぞれ回転する金属片によって構成されていた。

守護者は口を動かすことなく、声を発した。


「部分継承者。汝の要求を述べよ」


サルゴンは、守護者を真正面から見つめた。


「何も要求しない」


守護者は動かなかった。


「ならば、立ち去れ」


カエレンの目が細められる。


しかし、サルゴンはその答えを考察するかのように、しばし沈黙した。


「星金属コア・マトリクスへのアクセスを求める」


「アクセスは所有ではない」


「理解している」


「汝には魂が存在しない。不安定な権威を有し、禁忌とされた君主の紋様を帯びている。なぜ遺産は、汝に応じるべきなのか?」


サルゴンの表情は変わらなかった。


「俺がここにいるからだ」


守護者の翼が回転する。


「それでは不十分だ」


「そうだ」


サルゴンは答えた。


「だが、それこそが最初に検証すべき唯一の事実だ」


数秒の間、広間は静寂に包まれた。


やがて、守護者が片手を上げる。


二人の間に、三つの紋章が浮かび上がった。


【支配なき権威】


【魂なき存在】


【破壊なき虚無】


カエレンはサルゴンを見た。


「これは試練です」


「試験だ」


「何が違うのですか?」


「試練は判決を求める。試験は情報を求める」


守護者は、サルゴンへ向けて手を伸ばした。


「第一の確認」


深紅の紋章が拡大する。


周囲の広間が変化した。


水が消えた。


造船所が消失した。


サルゴンは、黒い石と黄金の金属によって築かれた、広大な都市の中心に立っていた。


彼の周囲には、何千もの存在が立っている。


人間の姿をした者もいれば、翼や角を持つ者、結晶の身体を持つ者、あるいは生きた光によって形作られた者もいた。


すべての者が、彼の前に跪いていた。


都市の最奥には、巨大な玉座がそびえ立っている。


偽りの世界に、守護者の声が響き渡った。


「彼らに命じよ」


サルゴンは、跪く群衆を見渡した。


「立て」


すべての存在が、一斉に立ち上がった。


「跪け」


彼らは再び跪いた。


「都市を破壊しろ」


群衆が武器を掲げる。


サルゴンの視線が、通りや塔、そして遠くに見える家々を横切った。


「拒否する」


守護者が、彼の隣に現れた。


「汝は権威を有している。なぜ拒む?」


「破壊する必要がないからだ」


「ならば、彼らに仕えるよう命じよ」


「拒否する」


「永遠に服従するよう命じよ」


「拒否する」


守護者の仮面に覆われた顔が、わずかに傾いた。


「支配なき権威とは何だ?」


サルゴンは玉座へ視線を向けた。


「権威とは、決断を下す力だ。支配とは、他者から自らの決断を下す力を奪うことだ」


都市が崩れ、溶けるように消えていく。


深紅の紋章が、ゆっくりと明滅を弱めた。


【第一の確認――承認】


二つ目の紋章が開く。


偽りの世界は、広大な白い空間へと変化した。


サルゴンは、ただ一人で立っていた。


足元には地面が存在しない。


それでも、彼は落下しなかった。


あらゆる方向から、声が響く。


「存在とは、魂によって定義される」


彼の前に、黄金の人型が現れた。


その胸の内側には、ミニチュアの太陽のように輝く魂の核が存在していた。


「お前には、それがない」


黄金の存在が告げる。


「ゆえに、お前は誤りだ」

サルゴンは、その存在を観察した。


「誤りであっても、存在することはできる」


「魂なき存在には、基盤がない」


「ならば、俺の基盤は別の場所にある」


「どこに?」


サルゴンは片手を胸に当てた。


彼の人間の器は脆弱だった。


そのエネルギーは限られ、構造も不完全だった。


それでも、確かに存在している。


「俺が存在し続けているという事実の中に」


黄金の存在が攻撃を仕掛けた。


精神的な圧力の波が、白い空間を横切る。


それはサルゴンを定義し、分類し、彼の身体へ魂の形をした構造を強制的に組み込もうとしていた。


サルゴンは、圧倒的な力で抵抗しなかった。


ただ、押しつけられた定義を拒絶した。


彼の存在は空白のままだった。


――それでも、安定していた。


黄金の存在に亀裂が走り、やがて崩壊して消滅する。


【第二の確認――承認】


三つ目の紋章が拡大した。


白い世界が消える。


サルゴンの前に、無数の星々に囲まれた暗黒の球体が現れた。


一つ、また一つと、星々が消え始める。


守護者が、彼の背後に立っていた。


「これが虚無だ」


サルゴンは、広がっていく暗闇を見つめた。


「虚無とは破壊だ」


守護者が告げる。


「形、意味、そして存在そのものを取り除く」


サルゴンの目が細められた。


「制御なく使った場合に限る」


「ならば、制御を示せ」


暗黒の球体が、サルゴンへ向けて拡大していく。


サルゴンは片手を上げた。


細い紫色の線が、暗闇の中を横切った。


彼は球体を消去しなかった。


周囲の星々を破壊もしなかった。


その代わりに、球体を存在全体から切り離し、その破壊性を限定された境界の内側へ封じ込めた。


暗闇が静止する。


守護者は、その結果を観察した。


「破壊なき虚無だと?」


「無駄なき虚無だ」


サルゴンは答えた。


偽りの世界が砕け散る。


サルゴンは、円形プラットフォームへと戻っていた。


守護者は彼の前に立っている。


その六枚の翼は、今や完全に静止していた。


カエレンは、自分が息を止めていたことに気づき、ゆっくりと息を吐いた。


三つの紋章が、プラットフォームの上空に浮かんでいる。


【権威:承認】


【存在:承認】


【虚無:承認】


【遺産アクセス:部分的】


守護者が手を伸ばす。


その掌に、小さな黒い欠片が現れた。


それは金属片のように見えたが、その表面の内部では、ミニチュアの銀河が回転していた。


「これは、第一の継承トークンだ」


サルゴンはそれを受け取った。


欠片は、彼の手の中へ溶け込んでいく。


その瞬間、システム・インターフェースが彼の視界に現れた。


【第一時代・星金属コア・マトリクス:アクセス許可――部分的】


【アヌンナキ造船所指揮権限:アクセス許可――限定的】


【不足している指揮紋章:三つ】


【すべての紋章を回収するまで、完全継承は起動できません】


カエレンが一歩前へ出た。


「残りの紋章は、どこにあるのですか?」


守護者は、三つの門へと振り返った。


「第一時代の崩壊の際に分離された」


深紅の門が閉じる。


銀色の門が明滅した。


紫色の門は、暗いままだった。


「第一の紋章は、武装保管庫の下層にある」


銀色の門がわずかに開き、遠くへ続く通路を覗かせた。


「第二の紋章は、静かなる瞳の観測所の内部にある」


紫色の門が、一度だけ脈動する。


「第三の紋章は、造船所が最大の失敗作を埋めた場所にある」


カエレンは眉をひそめた。


「それは、どこですか?」


守護者の仮面が、サルゴンへ向けられる。


「下だ」


プラットフォームが震えた。


遥か下方で、何か巨大なものが動いた。


低い金属音が造船所全体を伝わっていく。


天井から塵と古代の破片が落下した。


施設の下にある三つの光が、同時に明るさを増していく。


コア・スピリットの声が鋭くなった。


「警告。プラットフォーム下部にて、複数のエネルギー反応が覚醒中」


カエレンは剣を完全に抜き放った。


「守護者たちですか?」


コア・スピリットは一瞬、沈黙した。


「否定。該当しません」


さらなる震動が起こった。


深層から、遠い音が響く。


それは咆哮と、巨大な機械群が軋み合う音の中間のようだった。


守護者の翼が展開する。


「部分継承者。遺産は汝を認識した」


サルゴンは、封印された三つの門へ視線を向けた。


「ならば、なぜ施設は目覚めた?」


守護者の声が低くなる。


「認識と服従は、同じではない」

紫色の門が、突然開いた。


その向こうにあったのは、通路ではなかった。


紫色の光に満たされた、底の見えない巨大な縦穴だった。


その暗闇の底で、三つの巨大な構造体が動いていた。


その輪郭は、かろうじて視認できる程度だった。


一つは機械仕掛けの獣に似ていた。


もう一つは、破損した軍艦のように見える。


そして三つ目には、認識可能な形状がまったく存在しなかった。


カエレンは、縦穴の底を凝視した。


「あれは、何ですか?」


サルゴンの視線は、深淵から離れなかった。


「失敗作だ」


守護者が、彼の方を向く。


「あるいは、生存者かもしれない」


紫色の光が、上方へ向かって噴き上がった。


プラットフォームに亀裂が走る。


サルゴンが一歩前へ出た。


「カエレン」


「はい」


「アル・メラージュ号へ戻れ」


カエレンは鋭く彼を見た。


「あなたは?」


「俺は下へ行く」


「ならば、私も同行します」


サルゴンは彼を一瞥した。


「これは、お前が生き残れるとは限らない戦いになる」


カエレンは剣の柄を強く握り締めた。


「私は、戦いよりも酷いものを乗り越えてきました」


「それは答えになっていない」


「私にある、唯一の答えです」


しばらくの間、サルゴンは彼を見つめた。


やがて、開かれた縦穴へと向き直る。


「よかろう」


守護者の姿が、ゆっくりと消えていく。


その場には、最後のメッセージだけが残された。


【継承シーケンスが開始されました】


【埋葬された指揮権限が目覚めつつあります】


サルゴンとカエレンは、紫色の光の中へ足を踏み入れた。


遥か下方で、何かが目を開いた。

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