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プロローグ:蛆虫の培養地(ブリーディング・グラウンド)

下位凡夫領域の泥は、錆びた鉄と淀んだ銅の味がした。それは【アイアン・グリップ奴隷地下牢(アイアン・グリップ・スレイブ・ダンジョン)】のまさに最下層を満たす、濃密で黒い泥濘(泥沼)だった。そこは、下位魔王(レッサー・デーモン・ロード)の最前線要塞のギザギザした玄武岩の基礎の真下に、深くくり抜かれた息の詰まるような地下の穴だった。この地下の暗黒の遥か上方では、空が継続的な、吐き気をもよおすようなクリムゾン色の火を流していると言われており、そこは凡夫の魂を一般的なコインのように物々交換するマイナーな深淵の主や腐敗した地域の神々によって支配されていた。しかし、奴隷穴の湿った、空気のないトレンチの内部には、星の光も、尊厳も、神聖な保護も一切存在しなかった。そこにあったのは、錆びた鉄の足枷の重く継続的なラトリング音(擦れる音)と、暗闇の中で未精製の硫黄鉱石を掘り起こす半ば飢えた囚人たちの濡れた、規則正しいスクレイピング音(削る音)だけだった。サルゴンは冷たい石の壁に対して一動だにせず横たわっており、その細い人間のフレームは数週間に及ぶ絶対的な物理的剥奪によって内側へと陥没していた。彼は完全に弱かった。彼の乱れた長い白髪は乾燥した血液と黒い煤でカモフラージュされており、その青白い、傷だらけの顳顬(こめかみ)に激しく張り付いていた。彼は奴隷のぼろぼろの麻布のチュニックの残骸だけを身にまとっており、その粗雑な生地は玄武岩の天井から継続的に滴り落ちる氷のような、不潔な水によってとっくの昔に完全に浸み込んでいた。彼の狭い胸を横切るように、悪魔の監視官の鋸歯状の骨の鞭によって刻まれた三つの深い、ギザギザした裂傷が、彼の呼吸を浅く、そして途切れ途切れにさせる生の、内臓を焼くような燃える感覚を伴って激しくフレアしていた。彼の皮膚の下には、何も存在しなかった。彼の太陽神経叢(ソーラー・プレクサス)の内部には魔法のコア(魔力核)など脈動しておらず、その神経システムをマッピングするスピリチュアルな魔法の脈(魔法脈)も一切存在しなかった。すべての凡夫がユニバーサル台帳(普遍台帳)の上に指定された魂の記述(ソウル・エントリー)を持って生まれてくる世界において、サルゴンは完全な生物学的異常現象(アノマリー)だった。彼は空っぽ(ソウル・レス)で生まれたのだ。魔力も、高貴な血統も、自分に対して仕組まれた残酷なシステムの内部で生き延びる権利も一切持たない、空虚な器(ヴァカント・ベッセル)だった。

ゴホッ。

サルゴンは黒い泥のひと掴みを吐き出し、破砕された肋骨を突如としての、鋭い物理的悶絶の痙攣が駆け抜けるにつれて、その胸は激しく波打った。彼の青白い、無表情な顔は純粋な、不気味な超然とした冷静さのマスクのままであり、その光を反射しない漆黒の目は、滴り落ちる天井に対して平坦に固定されていた。彼は神々を呪うことも、絶望の声を張り上げることもなかった。彼の人間の殻に対して絶対的なsuffering(苦痛)が課されているにもかかわらず、彼の精神は完全に冷徹であり、冷たい、計算された静けさを伴って稼働していた。彼は戦うにはあまりにも弱すぎた。彼は自分の正確な境界線を理解していた。もし今、監視官たちの注意を引けば、彼の脆弱な、魂のない実体は太陽が沈む前に死体置き場へと放り出されて処刑されてしまうだろう。彼は耐えなければならなかった。生の生存本能と、絶対的な忍耐に頼らなければならなかった。突然、影に引き裂かれた巨大な体躯が、彼の横にある鉄格子の独房の中へと力任せに投げ込まれ、重い、濡れたサージ(衝突音)とともに石の床板を直撃した。それはケエレンだった――しかし、彼は宇宙の星海エラにおける、非の打ち所がないほど癒やされた、高度に忠実なファースト・メイト(副長)の姿ではなかった。この始まりの残酷な泥の中において、彼は完全な見知らぬ他人だった。彼のそびえ立つたくましいフレームは激しく叩きのめされており、魔王のエリート護衛部隊に対する先遣隊の反乱の失敗による、新しい、血を流す深い切り傷で覆われていた。彼のダークなレザーベストは粉々に引き裂かれ、その右肩は激しく脱臼し、使い物にならない、不自然な角度でぶら下がっていた。彼の両手は、彼の肉体に対してシューという音を立てて激しく反発し、その戦士としてのオーラを能動的に抑制している、輝くクリムゾン色の封印チェーンによって背後の後ろで拘束されていた。ケエレンは低い、途切れ途切れの唸り声を漏らし、その戦い慣れた顔は激しい挫折感のなかに歪み、生の、力任せの物理的な怒りによって封印を破壊しようと、濡れた石に対して自身の頭骨を激しく激突させていた。「息を無駄にするな、傭兵よ」サルゴンは静かに口を開いた。その平坦で無表情な声は、奴隷穴の轟く残響を真っ直ぐに切り裂く冷たい静けさを帯びていた。「その鉄のリンク(鎖)は質量が注入されている。お前がそのアライメント(同調)に抵抗すればするほど、論理(ロジック)はよりきつく収縮するぞ」ケエレンの鋭く、激しい視線が独房のコーナーへと激しくスナップし、暗い影の中に隠された白髪の十代の少年にロックされた。彼は自身の筋肉を防御的に緊張させながら、かすれた、不信感に満ちた鼻鳴らしを漏らした。「暗闇の中に隠れて囁いている白髪の蛆虫(マゴット)が…… 血液の枯渇した奴隷が、悪魔の鉄の重量について一体何を理解しているというんだ?」

「鉄のリンク(鎖)は影を拘束することはできない、ということを理解している」サルゴンは平坦に言い、暗い髪のベールの真下で、瞳の中に宿る銀河がゆっくりとした、不可視の計算ループを自転させていた。彼は石に対する自身の寝そべったリラックスした姿勢を崩さなかった。彼はただ、戦い慣れた戦士の本能を衝動的に震えさせるような帝国の、超然とした冷静さを伴ってケエレンを見つめ返した。「下位魔王は、アーコン(守護者)たちが到来する前に自身の台帳にスタンプを押すため、夜明けに残りのお前の先遣部隊の全体を処刑することを計画している。もしお前が自身のチェーンを破壊し、シミターを奪還したいというなら、お前はその舌を抑えて私の経路に従うがいい」ケエレンは絶対的な、静かな当惑のなかにその魂のない少年を凝視した。彼は、サルゴンが物理的に脆弱であり、血を流し、奴隷の階級の絶対的な最底辺に位置しているのを見て取ることができた。しかし、あの漆黒の虚無の目を見つめていると、ケエレンは自分が説明することのできない存在論的な恐怖の、恐るべき波を感じていた。この少年は死にゆく囚人のようには見えなかった。彼は泥の中から要塞全体の戦略的な爆破を冷静に計算している、忍耐強い、隠された帝王のように見えた。「……ならば妥協( truce )だ、蛆虫」ケエレンはかすれて囁き、共有された苦痛から完全に生まれた緊迫した、不信感に満ちた非侵略の契約(不戦条約)を受け入れ、自身の呼吸を強制的に安定させるにつれてその指の関節は白くなっていた。「私をこの地獄の外の経路へと案内しろ。そうすれば私のブレードがお前の地平線をクリアにしてやる」サルゴンは静かに目を閉じ、自身の忘却された過去のまさに最初のリンクを登録するにつれて、精神の暗い奥深くに浮かぶ内部システム・インターフェースが彼の思考を横切ってフラッシュした。彼には解放されざる宇宙巡洋艦も、絶対的な消去も、神聖なエネルギー残量も存在しなかった。彼は蛆虫と悪魔に囲まれ、泥の中に座っていた。しかし、彼の胸の内部の空っぽの空洞はすでに動き始めており、その論理(ロジック)を叩き割り、世界をアン・ライト(消去)するための完璧な微小秒を待っている、底なしの飢えた虚無(ヴァキューム)が静かに息を潜めていた。虚無への長大な、残酷な降下(ヴォイド・ディセント)が、公式に開始された。

これは本来プロローグとして最初に投稿する予定でしたが、投稿し忘れてしまい、今回アップロードしたところ第43話になってしまいました。このようなミスについて、どうかご理解いただけますと幸いです。

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