十 ふたり共
通された場所は、バルコニーからリンツが一望できる部屋だった
ア「クビツェク、お前は本当にあの頃のままや」
ア「お前がどこにいても、ワイならすぐに見分けられたで お前は何も変わっとらん」
ア「ただ年をとっただけや!」
ア「久しぶりに会えてホンマ嬉しいで! まぁ座れや」
ク「あ、ありがとうございます」
ア「スマンな 本当は会いに行きたかったんやが…」
ア「今のワイにはブライベートはないんや……」
ア「普通の人みたいに振る舞うこともできないんや……」
もとから普通ではないし、アドルフこそ昔とまったく変わらないけどね
……なんて言えないや
ク「はい、理解できています」
ア「……見ろや、ドナウ川に架かるあの橋を」
ア「まだ架かっとるで 昔と変わらんボロいままやな!」
ク「そうですね」
ア「ワイは断言するで! あの橋をあのままにはせん」
……
ア「でもな、ワイはまたお前とあのボロ橋を渡ってブラブラ歩きたいんや」
ア「だがそれは無理や…… ワイが現れれば、皆がついてまわる」
ア「しかしなクビツェク、信じてくれや 」
ア「ワイはリンツに対してたくさんのことをしてやるつもりや」
ア「あ、あの頃の計画ですね」
ア「せや! 覚えとったか!!」
ア「今こそあれを実現するで! まずはどでかいオーケストラからや!」
アドルフは青春時代に企てたすべての計画を再び披露した
まるであの頃から三十年ではなく、せいぜい三年しか経っていないかのようだった
参考・引用・元ネタ
彡(゜)(゜)「ワイはアドルフ・ヒトラー。将来の大芸術家や」(5ch)
アドルフ・ヒトラーの青春(三交社)
古い日記 和田アキ子




