三十八 別れ
十一月二十日
ウィーン駅
あの柱の下が、いつもの待ち合わせの場所なんだ
人混みは相変わらずすごいけど もう慣れたよ
テクテク
ク「あ、いた!」
ク「お待たせ アドルフ!」
「は?お前 誰だよ!」
!!
ク「ご、ごめんなさい 人違いです…」
「たくっ気安く声をかけんな!」
アドルフによく似た青年
と言っても服装と背丈だけだけど、は悪態をついて去っていった
はぁ、ビックリした
あれ…でも、アドルフはいない?
さてはまた遅くまで起きてて寝坊したんだな…
ク「全く 手紙には今日のこの時間だって書いたのに…」
仕方ない、柱にもたれながら待つか
二十分後
……待合室にいるのかな?
テクテクテク
……
もう一度ホームに行ってみよう
一時間後
おかしい… っていうかアドルフが時間を破るなんてありえない
ク「まさか……病気!?」
そうに違いない!
そういえば手紙にまた気管支カタルがぶり返してるって書いてた!
いそいで借家に行こう!
借家
ガチャガチャ
ク「あれ?鍵が閉まってる」
ドンドン
ク「おーいアドルフ ボクだよ 開けてよ」
大家「なんだい騒がしいね!」
大家「あれ?クビチェク君じゃない」
ク「お久しぶりです すみませんちょっと鍵がかかってて…」
大家のツァクライス婦人は不思議そうな顔をしてる
大家「鍵がかかってるって当たり前じゃない…」
大家「だってその部屋は空き部屋ですもの」
ク「え?何を言ってるんですか…」
ク「ここはボクとアドルフの部屋ですよ!」
大家「……もしかして何も知らないのかい?」
ク「え?」
ツァクライス婦人から告げられた
アドルフは自分の家賃を払うといなくなったこと
別れの挨拶も何もなかったこと
手紙やメモも何も残さなかったこと
アドルフ…一体どうしたんだ……
……
そうだ!
そもそもあの部屋はボクがピアノを弾くために借りたんだ
きっとアドルフ一人であの部屋を持て余したんだ
だから引っ越ししだんだ!
アドルフはせっかちで抜けている所があるから
いろいろ無作法なことをして……
……
……アドルフがそんなことをする?
急いで部屋を借り、知りうる限りの知人、考えれる限りの関係者のもとに走った
そしてボクの住所を教えた
アドルフを見かけたら知らせて欲しい、伝えて欲しいと言伝をして
しかし、一週間たっても、二週間たっても
なんの音沙汰もなかった……
参考・引用・元ネタ
彡(゜)(゜)「ワイはアドルフ・ヒトラー。将来の大芸術家や」(5ch)
アドルフ・ヒトラーの青春(三交社)




