第六十九話 夜中にベルレフォーーー○!!
*一度ギャグ作品を書いてしまったら、頭バカになって本編書けなくなっちゃった!
――ユナちゃん達がイチャイチャする一時間ほど前。
イブちゃんは、ほっぺと首をマフラーに覆われながら、もちもちと歩いていた。
朝の八時二十分、始業開始は三十分からである。
高校生は大体四十分からとかなのだが、中等部と小学生のチビ達が、エルガー学園で三十分から始業なので、ずるいということでこの時間になっていた。
時刻は進み、二十五分。
それであってもイブちゃんは欠伸をして、もちもちと歩いていた。
もちもち。ゼェぜ……
もちもち。ゼェゼェ……!
もちもち。はひっ!ゼェゼェ!!
イブちゃんの背後からうっさい荒い息が、彼女の背中を追い越そうと必死に降りかかっていた。
彼女は他生徒の必死な声に当てられても、お昼ご飯のことを考えていた。
そして、お昼ご飯と言えば、マイコン・ラムゼイ君だろう。
お弁当を分けてくれた彼だが、もう来ないと言っていたし、なにより逃げられてしまった。
イブちゃんは、途端に心に冬が訪れた。
年中心だけは金木犀香る秋のつもりで生きてきたイブちゃんである。
突然の寒暖差に耐えられず、小さなくしゃみをぶちかました。
そのくしゃみの後に、背後のうっさい吐息が喋り出した。
「はぁー!お、遅れてしまう!ここで僕が遅れてしまったなら、かの厳しい女教師ラッツェル先生の怒声を喰らい、周囲のクラスメイトから冷たい視線を浴びて、僕は彼らの空想の中で、磔にされるだろう!教室のロッカーの上にあるサブ黒板に、遅刻者として唯一僕の名前が書かれたマグネットが貼り付けられるだろう!それだけは避けたい!!」
演劇でしか聞かない長台詞遅刻やめろ。
イブちゃんの真横を駆け抜けた男の子。
黒い学ランが道路沿いのガードレールに片足を擦り、
さながらF1の壁沿いごぼう抜きの様相で、彼女の横を駆け抜けた。
揺れるモサモサ茶髪と黒を交えた、これまた設定を忘れたからそういう髪色にされてしまった男の子。
ガルーラ・マイコン君その人が、イブちゃんの横をすり抜けていったのだ。
「あっ…………!」
イブちゃんの瞳は途端にときめく。
それに合わせて、学校方面では曇り気味だった空の分厚い灰色の雲が、駅構内で叫び散らすキチガイが突撃した時に、一気に腫れ物を避けて掃けていく人々のように、青空を露出した。
揺れる彼のリュック。
おそらく昨日イブちゃんも分けてもらった、あのお弁当が入っているのだろう。
ざる蕎麦の出前のようにリュックが角張り、パッツパツであった。
イブちゃんの胸も、なぜか苦しく、パッツパツに張った。
物理的にだろうか。胸が詰まる感覚だろうか、そのどちらなのかを詳しく教えて欲しかった。
イブちゃんは自分の薄い胸に手を当てた、心臓が高鳴っている。胸の中央が振動していた。
ちなみに心臓が中央にないことは周知のことなので、心臓が高鳴るとは、リアリズムではありませんね。
クソリプやめてね。
「ねぇ……!きみ!!!」
イブちゃんは、か細い声で精一杯叫んだ。
雀が飛んで逃げて、猫が欠伸をし、買い出しに出ていたバジーリオが、近所のピットブルにズボンを食い破られ、パンツも逃すまいと引っ張られている時であった。
前方のざる蕎麦飛脚男の子の肩が揺れ、新手の痴漢免罪か当たり屋かを疑っているようであった。
前方の男の子がこうも卑屈な理由は、今まで女の子に見向きもされず、もはや自分は男を愛すために生まれたのだと解釈して、アダムにぶちゅキスをかましていたらしかった。
全てイブちゃんのテレパシーで読み取れることであった。
イブちゃんは恥ずかしさと、サイドエフェク○テレパシー発動により、目をキュッと瞑り、顔を赤らめていた。
人の見たくない部分を見れてしまうこの能力により、イブちゃんは人を好きになることが出来なかった。
ただ、イブちゃんは可愛いのでモテていた。
娘はやらん!娘はやらんぞぉ!!!
イブちゃんは瞳を揺らし、口を緊張気味にキュッと噛んでいた。青紫の頭髪が太陽を反射し、束になった輪郭が艶やかに輝いている。今日は丁度お母さんにおしゃれとして、片側の髪は編んでもらったらしい。
あの、メサちゃんと同じようなお嬢様スタイルの髪型である。
どれ、保護者の地の文にも見せてみなさい。
触るな!?パンツを一緒に洗うな!?!?
父さんはな、し、死を選ぶぞ!!!
イブちゃん的には緊張している顔だが、側から見ればほぼ無表情であった。ただ、赤いマフラーに巻きつかれ、顔は真っ赤なので、のぼせている女の子にも見えた。
前方の、マイコン・ラムゼイくんが振り返る速度はとても遅く、もうほぼ永遠であった。
例えて欲しいなら、最適化不足のゲームのローディング。
部屋に入ったり、同じ草原エリアなのに逐一ローディングが入るアレ。
イブちゃんは両手をスカートの前に持ってきて、手を揉み揉みしていた。先程まで寒さに震えていた彼女だが、今は逆に暑く、マフラーの隙間からほっぺに熱がこもり始めていた。
「あ……!あ……?あ………!…………あ。」
ガルーラくんはとうとう振り返ったが、最初の「あ」は昨日のお弁当の子だ!であり、次の「あ」はもしかして自分に声かけたんじゃないのか?であり、三度目の「あ」は自分の前から女の子の集団きてる!アレに声かけたんだ!
くっそ!はじかいた!!であり、最後の「あ」はさよならのあであった。
ガルーラくんは、イブちゃんの顔を見ると、すぐにこれらの心情処理を行い、顔を真っ青にして校門へ向き直していた。
「あ………!あ………!………あ。」
次はイブちゃんがボキャブラ「あ」の被害にあった。
いちいち解説しなければならないのだ。
最初の「あ」はあっ行っちゃう!のであであり。
次の「あ」は前の女の子たちに声かけたと勘違いしたんだ!の気付きのあであり。
最後の「あ」はなんて声かければ良いのか、何を話題にすれば良いのかのあであった。
このように、「あ」の一言だけでも様々な意味が内在するのである。ここテストに出ます。
この「あ」はそれぞれ何を指しているのか、答えなさいと問題で出します。
簡略化に簡略化を重ねた、カスの国語テストやめてね。
「待って!ラムゼイくん!」
イブちゃんはパタパタと走り出し、再び駆け出した飛脚ざる蕎麦ウーバーイー○の背中を追いかけた。
アニメであるなら、ここでエンディングテーマをぶち込んで、二人が走る様を小さく表示して、背景にこの作品のキャラクター達が遊ぶ一枚絵がどんどん公開されて、スタッフロールで完結だろう。
それでは聞いてください。
君が待っていてもいなくても〜♪はーしるよ〜〜♪
このままあしをうごーかせば〜〜♪ホニャラホニャラ♪
oh! I can't help believe you 〜♪
瞳を閉じれば〜♪誰にでも胸の奥に温かな記憶があるはず♪
始まりの瞬間さ 追い風は砂埃〜♪雨だ 立ち止まってられない〜♪テッテテテテレテレテーテーテー!
テン!上手くやり過ごしても〜♪本当に欲しいもの抱きしめなきゃいつも満たされない〜♪
怒涛の名曲アニソンラッシュやめてね。
二人は校門の前を駆け抜けた。
奇しくも青春の一枠であったが、ガルーラくんは恥から逃れるために全力であった。
青春は常に自分の気付かぬところで、いつの間にか飾ってる小物に蜘蛛の巣を張られるように、発生するものなのだ。
では、地の文に青春はあったのだろうか。
現在夜中の一時三十六分。暗い部屋の中で、ブルーライトとナイトモードを重ねたスマートフォンを頭上にし、執筆アプリで文字を叩き込む日々。
中学生時代に好きな人はいたが、それ以降はからっきしであった。アニメを見て、本を読んだりして、おしり掻いて、お空眺めて、またお尻掻いて、その手を洗わずに本を読んで、再びアニメを見て空を眺める休日の日々。
そして夜になってようやく本編を書くかと思い、結局ドパガキYouTubeをかましてしまい、真夜中のスマートフォンでは本編は書きづらいからと、このギャグものを遅くまで書く日々。
なんなんですか、この生活!?おかしいですよ!カテジ○さん!!
あんたのヘラリ方キモくて重っ苦しいのよ!!
こんな夜中にギャグ作品を書いて、一人でニチャニチャしてる夏休み生活の楽しみ、アンタらにはわかんないよ!!
坊や、ボヤボヤしてないで、早く続きを見せな!
テンテンテンテン……テンテンテンテン……テレレレーン……(vガンダ○お馴染みの、あの悲壮感あふれるbgm)
「あっ………!」
イブちゃんは小石につまずき、両手を空中に投げ出し、その身も空中に投げ出した。
それに気づいたガルーラくん、振り返り、決心の顔をした。幸い、始業直前であるから、人通りは少ない。
噂をされることもないだろう。
「ええい、ままよーッ!!」
ガルーラくんも身を投げ出し、イブちゃんの体をキャッチ、自分の胸へイブちゃんの頭を受け入れたのだ!!
ガルーラくんは、イブちゃんのシャンプーのお花のフレグランスを鼻腔に一身に感じたが、鼻息が荒くなりそうだったのであまり意識するのはやめた。
それでも、やはり体力のない中走ったせいで、肩を揺らし、ゼーゼーとイブちゃんの頭に息を吹きかけていた。
彼女のどこを掴めば良いのかわからず、空中で両手がジタバタと踊った。
地の文がこの作品を書いてきて良かったと思うところは、ベタな恋愛描写なら恥ずかし気もなく行えるようになってしまったことだろう。
これにより、本編でも恋愛描写を気兼ねなく差し込める、非恋愛経験エアプ野郎の名を冠することができるのだ。
クラス ロンリーネス 冠位サーヴァン○地の文。
あまりにも不名誉すぎるので、力使い切ってこのクラスの冠位は変換することにする。
英霊←恋愛界隈において実体なしという意味。疑う余地なしに皮肉。
宝具←使わない生殖器官をここでは指す。当たり前のように皮肉。
宝具!!ベルレフォーー○!
↑騎乗するのが奇しくもユニコーンじゃなかった。
白い馬
――かく言うイブちゃんは、ガルーラくんの胸に顔を押し付け、顔を超真っ赤にさせて、両腕を彼の両のひ弱な上腕二頭筋の辺りにそっと当てていた。
校門前で抱き合う二人。
……………はぁ。
このまま地の文は一生そういうことなのだろうか。
30歳でホグワーツだろうか。
ホグワーツに30歳で入学したら絶対いじられるだろう。
スリザリンなんかに配当されたら終わりである。
けつのてっぺんをルーモスさせられて、トイレを開いたら便器内に置きアバダケタブラされるだろう。
ユニコーンにだけは懐かれ、人間とバイコーン達には奇異の目を向けられるのだろう。
イブちゃんとガルーラはチューした。
チューしたら、ウーバーイー○してるコウノトリがベイビー運んできた。家族になり、子供が三人出来ました。
満足かよ!これで!!
ヤケクソになって適当こくな。
――続く。




