番外編 プロフェッショナル アダムの流儀
*お馬鹿な話を書くと、シリアスな本編が頭お馬鹿になって書けなくなるので、シリアスに集中したい時は、このギャグ作品は放置したい気持ちもあります!でも、ギャグを書きたい気持ちもあります!
――朝の5時30分
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン
「キタキタァ!!!」
アダムくん、連続インターフォンにより起床。
そのままドアをオープン。
することはなく、する夢を見て布団に潜り込んでいた。
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン
「はっ!はぁっ!はぁっ!」
スマートフォンを見ると、朝の5時32分。
「はぁっ!新聞か!新聞屋さんか!かれえっ!」
………………ピンポン。
「ハズレか!」
ピンポンと正解の音みたいなオノマトペなのに、テンションが下がっているので、不正解らしい。
「し、宗教勧誘ですかーー!?」
仮にそうなのだとしたら、朝のラジオ体操のついでに聖書を配る、早朝十字軍系おばさん達だろう。
アダムくんのお家は、レコンキスタされるということだ。
…………ピ………ンポン
めちゃくちゃハズレらしい。
「てか、てか今日土曜じゃない?この、すっとこどっこいが!!かえれ!」
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン
「い、インターフォンがしぬぅ!!」
アダムくんは、緑色の光に包まれて、再び眠りに誘われた。
冬の布団って、足出せば寒いのに、布団かけてると熱くなるの本当にやめて欲しい。それで、重ねてる布団蹴って寝ると、時間経てば経つほど冷えてしまうのも、やめてほしい。
モゾモゾ。モゾモゾ。
アダムくんは寝返りを打とうにも、何故かクッションのようなものが引っかかって、寝返りが打てなかった。
そして、案の定布団がホカホカすぎて、汗をかいていた。
しかし、首筋に吐息らしいものがかかった時、アダムくんは急いで目を見開いたのだ。
なぜか、自分の首に絡まる腕の感触があるではないか。
そして、胸の辺りにぶつかる柔らかい感触も…………
「おはよ❤︎」
布団を捲ると、モゾモゾと顔を出して微笑むのは、ヴィーナさんであった。
『そうか、昨晩お酒を飲んで、僕たちはそのまま流れで、することして寝てしまったんだ!!!』
そんなわけあるか。
19歳が酒飲むな。
アダムくんは、目の前で寝そべるスーツ姿のヴィーナさんを見て、興奮し始めた。
自分の首筋をなぞるように、彼女の手が触れる。
時計を確認すると、朝の5時45分であった。
爆睡した感覚であったが、先程のポスティング布教事件から、15分ほどしか経っていないのだ。
「な、な、なんで、ぼくのお家にい、いるんですかッッーー!(棒読み)」
めちゃくちゃわざとらしい、少年ハーレム漫画系主人公のセリフを口走ったカス。
ハーレム様式美を守らなければ、ただの出来損ないのエ○小説になってしまうからだ。
「鍵をピッキングしたから❤︎」
ヴィーナは微笑み、再び布団に潜り込んで、アダムくんの胸の辺りに彼女の吐息が当たった。
『冗談ではない!!けど、ありがとうございます!!』
アダムくんは、ここでオナラをかましたら、自分はどうなってしまうのだろうと想像した。
そんな想像をしてみると、お尻の穴がヒクヒクし始めて、お腹がギュルギュルと地のうねりを発し、本当にオナラをしてしまうかもしれないという、動悸が始まった。
ならするなそんな妄想。
「で、でも今日は土曜ですよーーーっ!(棒読み)」
その喋り方ムカつくからやめろ。
「うん知ってる。あのね、今日はね。アダムくんにお願いがあるんだ。」
ヴィーナさんは、再び布団から顔を出して、アダムくんの顔に自身の顔を近づけた。
薄いピンクか何かのリップが軽くついたヴィーナさんの顔が近づく。
そして、やはりとても良い匂いであった。
『朝からこんな、す、すごいな!!』
アダムくんの内心の感心だが、何に対してなのかは知らない。
「お、お願いってなんなんですか――――ッッ!(生唾ゴクリ。胸はドキドキ。)」
アダムくんは、期待しすぎてうんちしたくなった。
朝一番から元気なやつ。
「前からずっと思ってたことでね……誰にも言えないことだったの………」
「ご、ごくり!」
「赤ちゃんごっこをしたいの……」
ヴィーナさんの顔はこの日初めて赤面した。
それは、冬の朝日が昇るにはまだ早い時間。
しかし、すでに彼女の頬には夕焼けにも見える赤さがあった。
アダムくんは、布団でくっつく熱量で汗をかき、緊張で汗をかき、すかしっぺをかました。
ヴィーナさんは、押し黙りながら布団から身を離し、正座をしていた。
アダムくんは、心の内で面目ねぇと謝った。
「赤ちゃんごっこ………良いんですか!?」
願ってもないことである。メサちゃんとお付き合いしたら、この自分のバブバブ願望を全種解放して、加減は無しでいくつもりだったのだが、願ってもないことがきた。
まさに、鴨がネギをしょって、土鍋担いでこたつとニラとキムチと豚肉と椎茸と豆腐とプチッと鍋を手に持ってきたようである。
鴨にその量の物が持ててたまるか。
「うん/////ごめんね、アダムくんにしか頼めなくて……」
ヴィーナさんは、口元に握った手を当てて、恥ずかしそうにアダムをチラ見していた。
「いぃんすよ!!」
アダムくんは、お布団の上で胡座をかき、親指を天に昇るまで突き立てた。
「うん、じゃあ、かますね」
ヴィーナさんは、緊張した面持ちである。
部屋を包む冬の視線は容赦なく、汗で滲んだアダムの洋服と肌を寒気で突き刺した。
それであっても、内側から燃え上がる心臓は、一日の開始であるのに、疲れ切った一日の終わりに息子を労り、手淫するあの瞬間の鼓動に酷似していた。
しれっと何を言ってるんだこいつは。
労りでやめとけよ。
「じゃあ、膝下に僕か……」
そう呟いた頃には、その地獄はトイレ中に鍵を閉めた扉を、硬貨で無理矢理こじ開けてくる、あのクソムカつく親戚小学生のように、無遠慮にやってきた。
「ぱぁぱ!ぱぁぱ!だっこして!!」
そう、赤ちゃんごっこである。
ヴィーナさん(24)が赤ちゃん。いや、赤さん。
アダム(19実質ニート)は、パパである。
「………………。」
アダムは、予想とは違うので、お引き取りくださいとは、到底言えなかった。
なぜなら、このお子さんをお引き取りするのは、彼自身だからだ。
彼はクズなので、言うことは出来る。
しかし、ヴィーナがハイハイをして布団にシワを作り、その豊満なお胸に重力の重みを叩きつけている様を見ると、まぁ良いかと思ったのだ。
「ぱぁぱ!!だっこしてよ!!」
部屋に、ヤニでちょっとハスキーになった声が響いた。
乳児期ミルクと授乳瓶代わりの、ヤニ。
ヴィーナを半ばお姫様だっこの形で、膝に乗せるアダム。
彼の顔には、最早人としての表情はない。
ただ、自分はパパなのだと、自分はパパ活の覇王なのだと。自分こそが、そう。
エデンを追放され、人類全体に原罪とかいう、中学生が、制服の乱れや、お菓子のゴミをトイレに捨てただけで、いちいち集会を開いて教師のローテンション連帯責任怒声で叱られるような、あの理不尽連帯責任原罪を叩きつけたアダムなのだと、自覚した。
『プロフェッショナル 〜パパ活の流儀〜』
(あの、プロフェッショナルお馴染みのバンドの曲)
我々インタビュアーは、冬の寒空。
まだ、朝日が上らず、しかし鶏だけは朝だと勘違いしている空の下で、一軒の家を訪ねることにした。
インターホンを鳴らす、早朝の5時45分。
誰もが目を擦り、仕事開始という名の死刑執行まで絶望する最中、その男は優雅に扉を開いた。
アダム・ヴァレン(19)
シングルファザーの、本作主人公だ。
――おはようございます。あ、さっそくお子さんを抱かれてるんですね。
アダム:「あーまぁ、そうですねぇ、まぁ、やっぱり子供というのは朝が早いですから。わははは!」
朝の5時から、喋り方のうぜぇ会社の上司のような言葉を我々に降りかからせるアダム氏。
19歳で24歳の赤ちゃんを抱えるという、絶対的な矛盾と理不尽の中で、彼はどのような思いを抱えているのか――
――やっぱり、辛いなという時はありませんか?
ヴィーナちゃん:「あうあぅ!あ!ぱぱぁ!みてぇ!!」
アダム:(ヴィーナをあやしながら)「うん、まぁやっぱり辛いな、しんどいなって時期はあるんですけども、あるんですけどもです。やっぱり、子供って温かいなって思うんです↑」
スタッフ一同、おめぇ、その喋り方やめないとぶっ殺すぞと思ったが、彼には一貫して父への決意があった。
朝食は常に、豆腐。
彼のルーチンご飯だという。
――豆腐を朝食に選ぶ理由はなにかあるんですか?
アダム:「あぁはっはっは!本当にくだらないっふよ。ははは!固形物食べると、お腹弱くてうんち漏れちゃうからですw」
しらねぇよ、本当にくだらねぇよ、カメラ向けてんだよこっちは。と、スタッフ一同は思ったのだ。
ヴィーナちゃんを片腕に抱き、スプーンで豆腐を頬張るアダム。彼の目には、モナ・リザ、ラファエル前派のアーサー・ヒューズのオフィーリアのような、どこか諦念にも似た瞳があった。
――アダムさんのこの、シングル5歳差育児というのは、だいぶラファエル前派のように、前衛的ですよね。
やかましいわ。アーサーヒューズも泣くわこんな奴と一緒にされたら。
アダム:「あっ!本当ですか!(にやけたせいで豆腐が口から溢れる。)………まぁ、彼と僕の考えは、似てる部分あると思いますね。はい。」
スタッフ一同は、ねぇだろ、とツッコんだのだ。
――では、最後に。貴方にとって、プロフェッショナルとは?
アダム:「寝ないことです。一日30分以上」
万事寝不足系自称ショートスリーパーのあの人のような、睡眠に対しても前衛的、いや、逆張りでしかない一言で、彼の取材は終わった。
口から溢れる豆腐、その豆腐を床から摘み上げる彼の姿には、5歳上のヴィーナが例え赤ちゃんになっても、自分が面倒を見るという、溢れるものに対しての、慈悲があった。
(プロフェッショナルのあの歌をバックで流し、遠くからテレビを見つめて、若干涙目でアダムが豆腐を頬張る様を無言で撮影。)
(エンディングテーマ ノクチ○ あの花のように)
遠く鮮やかに〜〜夜を彩る〜〜あの花ようになれる気がした、きみとなら〜〜〜
みんなあの花のように聞いてから今日は寝てください。
YouTubeでも聞けます。アップルミュージックでも聞けます。Spotifyでも多分いけます。Amazonミュージックでも多分いけます。
シャニマスはコミュのワードセンスもすごいんです。
すごくすごいんです




