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第七話 ユナ・エイジールちゃんという乙女




シャキリはやはり、昔のことを覚えていない!!

何を言い出すかと思えば、スカートからパンツが見えるなどと!!



ーー結構前。


「シャキリ君、いますぐけっこんしよう。」


六歳の時だった……公園のお砂場二人でお山作りをしている時であった。


「シャキリ君、このトイレットペーパーに、おなまえかいて、絶対にけっこんしようシャキリ君。シャキリ君、これにお名前書いたらもう逃げられないからね。シャキリ君、うそはダメだからね。シャキリ君、絶対にぜったいに……〈以下怖いので省略〉」



若きユナちゃんの瞳から光が消え、栗色の髪をシャキリに押し付け、シャキリの顔に鼻息を吹きかけるユナちゃん。

はなみず垂らしてされるがままのシャキリくん。



「シャキリ君、これにおなまえ書いたら子供は6人作って、ライオネル・○ッシぐらいのお家を作って、

毎日泡が溢れるお風呂に入って、たまに宇宙旅行に行って、たまに映画を一緒にみて、たまにたまにたまに……〈以下中略〉ぜいきんから逃れるために月に行こうね!!!」



ユナちゃんは本気であった。節税のために、地球の地を捨て、ようやっとこの学園都市アネフトへ来れたのに。




「………? うん、えーよ!」



鼻水を垂らしたシャキリはそう返事をして、トイレットペーパーを風に靡かせ、それをお砂の山に埋めたのだ。



「このお砂の山、よく見ると私達のお家?そうだよね、シャキリ君!大きいね、私とっても嬉しい!シャキリ君、トイレットペーパー埋めるのやめて?すぐにお名前書いて?シャキリ君!」


お城の頂上で靡くトイレットペーパー。

ユナちゃんはそれを必死に抜き取り、シャキリくんの顔へ押し付ける。



「ごめん、ぼくまだおなまえかけない!!」



ユナちゃんはそれを聞いて、「ぼくま……」の辺りから瞳の色は、深夜二時ぐらいの丑三つ時の色へと変わっていく。何が言いたいかというと、怖い。



「シャキリ君、良いよって言ったよね?シャキリ君。

嘘ついたの?ねぇ、シャキリ君。シャキリ君、嘘やめて。シャキリ君、良いよって言ったんだからさ、結婚しないと!ママに言うからねシャキリ君。シャキリ君のお姉さんにも言うからね。シャキリシャキリシャキリシャキリ……」



「うん、でもさ、ぼくにーとなりたい!ユナちゃん、

にーと嫌だべ!」


シャキリ君はお空を眺め、ユナちゃんから視線を逸らす。命の危機を感受したから。


「私が養うから平気だよシャキリ君。なんで、逃げようとするの?私が嫌なの?シャキリ君。ねぇ、シャキリ君もう働かなくて良いからさ、シャキリ君おうちに居ていいから、これでもダメなのシャキリ君?何が駄目なの、直すから言ってよ、ねぇ、何も言わないとわからないよ?黙っていてもなにもわからないって!

シャキリ君、鼻水をこのトイレットペーパーで拭うのやめよう?シャキリ君、これ大切なものだからさ。シャキリ君、おい!シャキリ!!」



シャキリ君の胸ぐらを掴み上げ、周囲の大人がざわつき始める。付き添いのギランミちゃん(10)はトンボさんを追いかけて地面に転んでいた。



「うん、でもね。ぼく結婚の前に、○リキ○アになりたい!」



「シャキリ君は男の子だから無理だよ!お婿さんにはなれるよ!良かったね、シャキリ君!それにはなれないけど、私のお婿さんになれるよ!すぐになろうよ!ほら!!!」



魔法少女への変身を促す、あの白い邪悪な生物も、

某組織でくすぶっていた青年を勧誘する某ダークサイドの皇帝もドン引きの強引な勧誘であった。



「あ、でもねえぢゃんとも結婚すると決めてんだべ!

ユナちゃんとはできね!」


シャキリは砂まみれの鼻を擦り、ユナちゃんの肩に手を置いた。ユナちゃんはお饅頭のようなちっちゃい手でそれをギュッと掴み上げる。マニュピレーターに掛かる確かな圧力。シャキリ君の顔が歪む。ユナちゃんはそんなことは気にせず、圧力パラメータを臨界させた。



「ハプ○ブル○家の真似でもするの?シャキリ君。

そんなこと絶対に無理だよ?それね、きんしん以下略、って言うんだよ!そんなの許されちゃいけないから、私にしときなって!!!!!」



シャキリはその後、「い」から始まる三文字を叫んだ気がするが、ユナちゃんはそんなこと覚えてもいなかった。



ユナちゃんは、その後12歳でアイドルオーディションを受けた。全てはシャキリを養うため。

そして、17歳からデビュー、シャキリのため。

小学校は別であったが、それ以降中高大一貫の、

この私立エルガー学園に入学。

シャキリに付き添い、バレンタインもクリスマスも誕生日も全てプレゼントを与えた。

しかし、シャキリはクリスマスとバレンタイン、誕生日、その全てを15歳と16歳と18歳と19歳と20歳の時もプレゼントをユナへ送ることを忘れた。



「シャキリ、クリスマスプレゼントだろぉ……。」



ユナちゃんは俯き、トイレの洗面所へ向かって呟く。

17歳の時、シャキリはプレゼントをくれたのだ。

母親がパートに出掛けている時であった。

コンビニの10円ガムであった。嬉しかった。

誕生日のプレゼントであった。

シャキリにこれを伝えると、


「ごめんw覚えてないw」



ユナちゃんはこれらの記憶を思い出し、頭から噴火するような気分に陥った。


そして、同時にシャキリはやはり自分と結婚するしかないのだと思うのであった。まだ、付き合ってもいない。



突撃ダメな男ランキングー!

1位 アダム・ヴァレン、シャキリ、サラス、ラダン、

ノック、ナーケル、フェスター、メノクス、トーガン、

ミレン、セリウス

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