第六話
「シャキリ君、その眼鏡かっこいいね。」
ユナ・エイジールの言葉には嫌味がなく、冬の空気同様、新鮮さを保ちながら、ハッキリとした物言いであった。
褒められたから、そう感じるだけである。
「わかってしまうか。この眼鏡の良さ。」
シャキリ君は重苦しい眼鏡を軽く上下にして見せると、ユナちゃんは若干頬を赤らめ、下を向いた。
ユナは、シャキリの眼鏡を褒めると、いつもこうするとわかっているのである。それは、シャキリのあの眼鏡の先、鋭くも惹かれる、あの瞳を見たいという願望からくる、煽てであった。
「女の人って、こう、男の浪漫ってわからないでしょ?でも、エイジールさんは……」
「シャキリ君、主語がちょっとデカめかも。」
ユナちゃんは、自分だけと言われたことに胸を躍らせながらも、キッパリと告げる。
芸能での活躍も少なくないユナであったが、このハッキリとした言い分が好評を獲得するに至る理由でもあったが、同時に、一部の同業のものや、業界の人間からは毛嫌いされていた。
「シャキリ君、私のこと本当に……」
「あっっ!ユナちゃん!!」
声の先、茶髪の青年と、小さい女の子が二人。
一人は瞳を輝かせ、もう一人は気まずそうに俯いていた。
「あ、ファンの人……?ごめん今……」
「僕アコニット置いてくるから。」
シャキリ君はそう告げて、ユナの側を離れていく。
ユナは全身が真っ白になり、瓦解する錯覚をした。
同時に、あのガキンチョ3人に少し苛立った。
「やはり、私は言わなければならないことがあるな。」
シャキリは眼鏡を外し、それをガクセイフクのポケットにしまい、そっと呟く。
誰もいない自転車置き場。
瞳がギラリと輝き、アコニットは相変わらずペダルで脛を狙撃する。
「僕が思うに、エイジールさん。スカート短すぎるよッ!」
シャキリの叫びは自転車置き場に響き渡り、バジーリオ君はそんなシャキリに声をかけようとしたけど、やめた。
***
シャキリはなんか口惜しい感覚に陥ったので、
コンビニエンスストアでレジ横に置いてある、
10円ガムを三つ頬張った。
裸のガムを、ポケットに直入れである。
店員の真横で、髪を伸ばした成人男性がガシャガシャとガムを購入していく。怪訝そうなその瞳、シャキリの知る由ではなかった。
アミューズメント型のガムマシーンを、シャキリは好まない。あれは、10円でゲームも楽しめるようにという、メーカーの善意を感じるが、どうもガム自体の色彩と味が、劣っているように感じるのだ。
やはり目的物の前に、ミニゲームを用意されては、その肝心の目的物に辿り着いた時、シャキリ君は興が削がれてしまう性格なのだ。
物事は、実直で、わかりやすくあるべきだ。それは、人の想いの告げ方に関しても、同じである。
だから、いくらグラビアやアイドルとして売れている
ユナであっても、スカートの短さは指摘しなければ、
と思うのであった。ガム噛みながら。
くちゃくちゃ。
「やっぱりね、君の相手をさせて貰いたい。」
くちゃくちゃ。
「えっ!?し、シャキリ君!?」
再び下駄箱で合流したユナは、口を押さえ、頬を赤らめている。
幸い周りに人はいなかったが、後続の学生が着々と校門を潜っている。
「シャキリ君、それって……」
ユナは上目遣いでチラチラ。
「僕は思ったんだよ、君を見て。」
ユナ、ドキドキ。心臓の鼓動は、そのままユナの頭の先から足先まで、血流を巡らせる速さを上げる。
ユナは倒れてしまいそうになりながらも、そのシャキリの渦巻き眼鏡を見つめた。口がくちゃくちゃしてるが、そんなことはどうでも良かった。
「エイジールさん、スカート短すぎるよ。」
シャキリをぶん殴り、下駄箱に頭を突っ込んだガム眼鏡。
「シャキリ、ちょっと最低すぎるよ……。」
ユナは目の縁に涙を溜め、廊下をかける。
教室から顔を出したアダムは、ドラマの撮影が始まっと騒ぎ立て、みんなが騒いだ。
テンプレ展開が好きだから、どんどん浮かぶ!
やりたいこともやり放題です!
アニメ版のsdガンダムやアラサーolハマン様のようなゆるいものにしたいです。
明日は本編も更新予定です。おそらく。はぁ。




