第六十二話 ユナちゃん、あっ、好きなんだ
オタク達の笑いを一身に浴びて、四方からやってくるオタクホーミングレーザートークを浴びて、ようやく、ようやくなのだ。三人は売店にありつけた。
そこでも、ユナちゃんの歌声がスピーカーを介して流れて、三人はちょっとソワソワした。
「いらっしゃいませー!」
元気に叫ぶ。見慣れた女の子。
そう、一日バイトで駆り出された、ルーラちゃんが働いていた。
「あ、ダイゼリアンの人!」
アダムは、自身の前に並べられたグッズを見た後に、その女性の顔を見て叫んだ。
警備員が警戒して、アダムをジッと睨んだ。
「エスカルゴくん!」
違う。
ルーラは3000恒河沙ジンバブエドルという、
とてつもない大金を手に入れたが、それは通帳に入れたままで。人間は働いたり、外に出なければ鬱になってしまうという理論で、仕事を転々としながら続けているのだった。本日は、八百屋さんがお休みなので、この単発バイトということである。
偉いのである。
「エスカルゴくん、こういうの好きなんだね!アイドルって綺麗だし、可愛いし、歌上手だし!すごいよね!」
ルーラさんは、ニカーッとお日様笑顔でアダムくんに笑いかけた。ユナちゃんの歌声をバックに、インペネスの紫カラー法被を着て、ユナちゃん一筋はちまきをつけて。
「す、好き。」
アダムである。おい。
「握手良いですか。」
アダムくんは、いきなり店員のルーラ相手に握手会を始めた。
「え……はい。」
ルーラは怪訝そうにしながらも、アダムの手を両手でぴっとりと包む。
『温かい手だ。結婚しよう。』
フェスターとロイヤリティは、それを横目で見つめて、警察に電話をかけようとした。
「お客様、買い物をお願いします!」
突如、紺色のジャンパーのようなものをを着た人間が、アダムの手を引き剥がした。
「ええい!剥がしか!!」
迷惑客クソカス鼻毛大臣鼻くそブリブリ・あだむ。
「えー、では。サラーシャたんしゅしゅ、サラーシャたん髪留め、サラーシャたんマウスパッド、サラーシャたんデビューアルバム、サラーシャたんデビュー記念ブックレット、サラーシャたんコップ、サラーシャたんアクスタ、サラーシャたんタペストリー、サラーシャたん………」
アダムは、下の商品を見て、ユナちゃんのグッズは器用に回避して、サラーシャたんグッズを射止めていった。
「あの………あ……うん。……はい。…………ニコニコ」
ルーラさんは、その高速詠唱呪文を聞いて、ひたすらにニコニコするのみである。
アダムくんは、息切れをして、やり切った感を出して、額の汗をガッツリと拭った。
「あのね、エスカルゴくん。番号を記入してもらう制度なんだ。」
目の前の女の子は、めちゃくちゃ申し訳なさそうに、注文用紙とボールペンを差し出した。
既に、横のフェスターとロイヤリティは、ボールペンで用紙に記入を始めていた。
『恥、かかせやがってよ!』
自分から泥沼に飛び込んで、服が汚れたぞ!と叫ぶようなものである。
アダムくんも、用紙でカキカキを開始した。
ルーラさんは、それを上から覗き見するが、相変わらずユナちゃんのグッズは軒並みスルーするのが、アダムくんである。
「ユナさん、あまり好きじゃないの?」
ルーラちゃんは、元先輩のユナちゃんが嫌われてしまっているのではと、心配の意味を込めて青年の頭へ聞いた。
「いや、まぁ、いつも見てるから良いかなって……」
アダムはそう言って、用紙を差し出した。
「はい、お預かりします!合計で、5000万ジンバブエドルです!!」
ルーラちゃんは、用紙を受け取り、一瞥したのみでお会計を始める。セルフレジ(人力)であった。
「え、ちょ!え、ちょ!たか!うそつけ!たっか!」
お財布をのぞいて、叫び始めるカス。
フェスターとロイヤリティは、既に買い物を終えて、握手会の誘導に従っていた。この、置いていかれてしまう感じ、義務教育の体育等の恐怖を連想させる。
「ルーラさん!まず番号教えて!商品用意してから、お会計も兼ねるんでしょ!」
先程の剥がしが、段ボールに包まれながら、ルーラに声をかけた。ルーラは、あ!と叫んで、アダムに謝る。
アダムは、依然として財布をのぞいて喚いていた。
迷惑客と、ぽんこつ。
「ありがとうございましたー!またね。」
『またねって言ってくれるの、好き。』
アダムである。最早、サラーシャちゃんよりルーラをアイドルとして崇拝したくなったのだ。
この、鼻毛丸出しは。
袋を両手に持ち、列から外れて待っていたのはフェスターとロイヤリティであった。
「必ず、cdを開封して、中身にチケットがあるか確認してから、列にお並びくださいー!」
剥がしの一人がそう叫んで、未開封が維持できんだろ!と、転売ヤーからのヤジを受けていた。
ちなみに、握手会の台にサラーシャとユナの姿はない。
アダムは、絶対ユナと合流したくないので、サラーシャに先に出てきて欲しかった。そして、最速でサラーシャと握手をして、あわよくばチェキとサインを頂いていく。
そして、ユナと握手してるフェスターのサボりを写真で撮影。文○ハイメガキャノン内部告発して、自分の地位を絶対のものとしたかった。
そして、フェスターにパワハラをする。
それは、アダムの野望である。
「待ってたぞ!おそい!」
ロイヤリティも、cd3枚をビニール袋から取り出して叫ぶ。フェスターは、特製紙袋に一杯のグッズを抱えて、ムフムフ笑っていた。
「よし、開けるか。」
アダムの声で、その場の空間が糸を伸ばすように張り詰めた。
「ご、ごくり。」
「ご、ごくり。」
「ご、ごくり。」
一枚目のcd開封………!!
キュインキュインキュイーーン!!
「あ、青龍!」
「あ!私も!」
「私は、フェニックスだぞーー!」
悪徳オンラインオリパの演出やめてね。
「はずれ」
「はずれ」
「はずれ」
『当たりなんか、入ってねぇだろ!』
アダムは、cdの一枚目を、保護フィルムに収納して、2枚目に手をかけた。フェスターは、半泣きになり、ロイヤリティは欠伸をしている。
「2枚目……いくわよ!」
アダムの掛け声で、再び生唾が三発連続で飲み込まれた。
「くそ!青龍降臨すんな!」
「おい!なんか演出違う!ヤンキーに殴られる直接のフラッシュバック演出だ!!」
「ぎゃーーーーー!!!」
アダムは相変わらず、聖獣達の降臨を見守る、チンチロ演出であり。フェスターは、東京卍してるヤンキーの、ぶん殴られるか、ぶん殴られないか否かの、一か八か演出で、ロイヤリティは、ホラー演出で爆泣きした。
「はずれ」
「はずれ」
「はずれ」
『あたり入ってねぇんだろって!』
お祭り暴露系ユーチューバーの詰め方やめろ
「くそ、ラスイチか。」
アダムは、汗を拭い、なぜか服と顔が傷ついてボロボロになっていた。カードゲームアニメで、シールド破られて絶叫したり、駒回すアニメで、そのためにパワードスーツでトレーニングする風景を見せられような、意味わからなさである。
「ふぐっ!ふぐっ!もう、怖いのやめて!」
ロイヤリティは爆泣きして、フェスターにハンカチで顔を拭われていた。そのフェスターも、汗をひたすらにかいていた。
「大丈夫ですよ、ロイヤリティさん。よしよし。」
フェスターは、ロイヤリティの頭を撫でながら、ハンカチで涙を拭う。
「ちーーーーーーーーん!!」
ロイヤリティは、そのハンカチが鼻のところに来た時に、盛大に鼻を噛んだ。
「…………………………きたね」
フェスターは、その鼻水塗れのハンカチを見て、捨てる決意をした。
「3枚目……。いくで!!!」
『みんなの力を貸してくれ!パワー送ってけれ!!!パワーの送り方は、スマートフォン、iPhon○seの方々は、ホームボタン連打。Androi○の方々は、スマホのホームボタン連打。iPhon○seでない方は、
下のホームボタンの横線のやつ連打。パソコンからご覧の方は、コントロールキーとエンターを連打お願いします!』
アダムくんである。ビッ○ワールドみたいな、データボタン参加型ゲームの説明やめてね。
説明する暇ないはずなのに、詳細な説明が入ってしまう、あの遊びやめてね。
『うおおおおおおおおおお!連打!連打!連打!みんな!今、今連打して!!!』
オレ○バトルのex技やめてね。
読者参加型ネット小説やめてね。
そんなことしても、新ジャンル開拓にはならないからね。
『カードスライドして!カードスライドして!カードスライドして、スーパー○イヤ人3まで変身させて!』
ロイヤリティである。
ドラゴンボー○ヒーローズの変身ギミックやめてね。
ターン開始時いきなり始まる、あの変身ギミックやめてね。カードにローダー付けないと、スリーブだけだと、カード爆死するあのギミックやめてね。
『必殺ファンクション!!グングニル!』
フェスターである。ガラケー戦記やめてね。
『げらげらぽー!』
なんでもありじゃないからね。世代バレるからやめてね。
『ジャリン!ジャリン!ジャリン!稼ぐぜ〜!(うろ覚え)』
ヒー○ーバンクやめてね。
『がいがい!』
ガイス○クラッシャーなのかわからないフレーズやめてね。
『叫べ!今コンストラクション!!』
テンカ○ナイトやめてね。
次世代ワールドホビーフェア2013〜2014のラインナップやめてね。
『スナッ○ワールドは、アニメもゲームも傑作だよね!ズビッ!』
ロイちゃんである。当たりかどうか教えて欲しいのだが。
地の文は、もう小学生卒業してたので、身内が見てたのを、横チラしてたのみである。
『やっぱ、マジンボー○しか勝たん!』
フェスターである。旧世紀2013年ごろなんですが、貴方達軒並み生まれていないですよね。
古代バビロニアぐらいの感覚ですよね。
『ガンダ○ビルドファイター○で、ヒロインの白髪の女の子に、脳焼かれて、フミ○パイセンで、100回○コ○○!』
オ○○○公開やめてね。これ、絶対アダムである。
名人川○やめてね。マスク大○やめてね。
『ファイアートルネード!皇帝ペンギンX!!
妖○ウォッチ真打より、本家、元祖派!!イジ○爆闘ウデジマン!!爆○!ビーダマ○!ペンギ○の問題!
ドギラゴ○!レッドゾー○!デットゾー○!ドキンダ○!ガイギン○!
ブッ○バースト!ポケモ○トレッタ!アニマ○カイザー!ガンバライ○!………以下略」
怒涛のノスタルジック波状攻撃やめてね。
はやく、当たりかどうか教えてほしいところである。
『みんな!連打連打連打連打連打!!』
『うおおおおおおおお!!!』
け、結果は如何なるものなのだろうか!!cmのあと!
☆☆☆
ーーテテテレテレデン!ZZ(文字光る)チュイーン!ーー
ZZのZガンダ○のシルエット浮かぶアイキャッチやめろ。
――シャアー!!――
初代アイキャッチやめろ。
――テンテンテレレレレレン!(チャムフワフワ)ーー
ダンバイ○のアイキャッチやめろ。
***
「えー、全員はずれ!」
時間返せかす。
「握手だけして、帰るか。」
アダムが呟いて、cdを特大紙袋に仕舞い込んだ。
こいつら、こんなに荷物を作って、車撤去されてるのに。
大丈夫なのだろうか。
「………これ、めちゃくちゃ時間無駄じゃん。」
拗ねリティロイちゃんである。
唇をとんがらせて、ブーブー!喚くロイちゃん。
「アイス待ってますよ。」
アダムがそう言うと、ロイちゃんは機嫌を直して、
ニパーッと笑った。
「ふぐっ!くっそ!ひっぐ!うわぁぁぁ!あんまりだぁあぁぁぁ!ばかやろー!この、ばかやろー!」
衛○フェス嗣である。床に寝そべり、どこから飛び出したのかわからないバズーカを、床に投げ捨てて、紙袋両手に駄々をこねるフェスター。
アダムとロイヤリティは、それぞれ写真にそのサマを撮影して、二人ともスマホの動く壁紙とした。
『虫みたい。』
『アンマリフンコロガシwww』
***
三人は、握手会だけに参加するために、それぞれ整理券を頂いた。
「どっちにすんのー?」
ロイヤリティは、アダムの後ろについて、チョコチョコと動き回っていた。
「サラーシャちゃんですよ。当たり前ですよ。」
「じゃあ、私もそうするー。」
アダムである。ロイヤリティは、アダムについていくらしい。
『僕のこと、好きなんじゃないの!?』
そんなわけあるか。
「ユナちゃんですよ。当たり前ですよ。」
フェスターである。
結局、アダムとロイヤリティは、サラーシャちゃんの列へ、フェスターはユナちゃんの列に並んだ。
やはり、サラーシャちゃんの列がやや小さく思えるが、それでもとてつない量の人間が蠢いている。
例えるなら、2本に分割された、バナナうん○。
ユナちゃんの列は圧巻である。
しかし、フェスターがいそいそとその列に入っていくのを見て、ロイヤリティはぷぷぷと笑った。
――20分後
「まだかよー!」
「……………。」
「まーだーかーよー!」
「…………………。」
ロイヤリティは、駄々っ子なので、列に並んでブツクサ言い始めた。アダムくんはソワソワしてるので、そんなロイヤリティは無視である。
「おい!まだかよ!!」
「はいはいはいはい。よしよしよしよし。」
ロイヤリティはワンコみたいにアダムにしがみつくが、アダムくんはスマホを見ながら適当に頭を撫でたりして、落ち着かせた。まるで、スマホを見ながら犬を散歩させる飼い主のように。そこに、愛はあるんか!!
「むふむふむふむ。」
本人がほっぺもちもちされて、満足そうなので良しとなった。
その時、裏のステージからサラーシャちゃんらしき人がフリフリ衣装を身につけてやってきたのだった。
「うっひょーーーーー!」
「ぬおおおおおおおお!」
あとは適当に、みんなが騒いでる姿を想像をしてください。
アダムくんも、ステージに立つサラーシャちゃんを見て大絶叫した。
「顔ちっさ!」
ロイヤリティである。お姉ちゃんじゃん。
フェスターは、持参したカメラでステージを連写し始めた。
「あっ、あっーーーーー!!!」
「こ、これはーーーー!」
(*物凄い人の大絶叫)
棒読みに見えるが、おそらくすごい絶叫のはず。
地を揺らすデパートの叫び声に当てられて姿を現したのは、ユナちゃんであった。
衣装は、ヴィンテージレインコートをプロデューサーに却下されて、普通のフリフリ衣装であった。
インペネス専用の、紫を基調として、スカートの縁は黒。金の装飾やベルトのアクセサリー、黒いワンポイントが沢山入った衣装である。
「みんな、ありがとうー!!」
ユナちゃんである。サラーシャちゃんと並び、オタク達に手を振る二人。アダム達から見ると、ステージは遠目だが、良い匂いがしてきそうである。
「ぷぷぷ、暴力尽くしの人が、猫被ってら!」
アダムは、ロイちゃんを背に一人でクスクス笑った。
周囲のオタクに向けて、身内アピールである。
しかし、周囲のアダムに対しての認識は、アイドルと勝手に付き合ってると妄想する、頭おかしい犯罪者予備軍として認知された。
ーー『お前、あとで、覚えとけよ。』――
突如、アダ男の脳内に、確かにユナちゃんの地の唸りの声が走った。
しかし、ステージ上のユナちゃんは、笑顔を崩さず、大衆に手を振っている。
気のせいということにして、握手会が始まった。
ここからは、まさに朝早い配送系の流しのお仕事の風景である。
レールを走る商品はオタク。それを捌くのは剥がし。
そして、どんどんと手を握っていくのは、アイドルの二人。
特に、ユナちゃんの捌き方は凄まじく、オタクのマシンガントークを受けて、それを良い感じにいなしながら、握手を交わしていく。
「ゆ、ユナちゃん!好きでふ!」
「ありがとー!でも、もっといい女の子を見つけてあげてね!」
オタクの告白をガチ振りの要領でいなし、相手の手を両手で握るユナちゃん。
「ユナちゃん、パン……!」
パンツくださいと言い掛けたのだろう、そのオタクは、剥がしに射殺された。
「次、どうぞー!」
依然として、和かに笑うユナちゃんが声を張った。
軍隊の制服授与式なんじゃないだろうか。これ。
死んだ兵士の制服を使い回して、新品のように授与するアレなんじゃないだろうか。
対するサラーシャちゃんは、しっかりと相手の顔を見て、握手をして、ゆったりと時間を使っている。
「サラーシャちゃん!これから……ハァハァ!応援するからね………ハァハァ!!」
「ありがとー!」
「あと、それとそれと!ブツブツブツブツブツ!」
「お時間でーす!」
「ありがとー!またねー!」
「あ!まだ!まだ言いたいことある!触んなwき、気安く触んなwち、乳○触んなw」
「お時間でーす!」
「ありがとー!」
「いや、まだ!まだ終わらんよ!」
パァン!
破裂音が響き、中々剥がれないオタクは死んだ。
「次、どうぞー!」
ユナちゃんと変わってなさそうである。
「私帰っていいかな……」
その一部始終を見たロイヤリティは、ウンザリしたようにそれを見つめていた。
「えー。でも、あとちょっとで握手できますよ。」
アダムはロイヤリティのほっぺに触って、その手をペチン!と叩かれた。
「え!アイドル!なにこの子!アイドル!?」
突如、トボトボと握手会から帰宅するオタク集団に、ロイちゃんが囲まれた。ロイちゃんは、本編だと性格に難ありだが、顔はもちろん可愛いのだ。
「え……違います。」
ロイヤリティは、そんなオタク達に目は合わせず、青い顔をして俯いた。陽キャ女子に、集団ならいけると、三軍男子集団が話しかけて、めちゃくちゃ嫌がられるようなアレである。
つ、辛すぎんだろ!!
「なんでもいいや!握手してください!」
アッパー系三軍オタクであった。
「えー……はは。ご、ごめんねー。」
小学生には優しいのに、年齢が近い人間になると、
ロイヤリティの対応はこうなのだ。
寝取られだろ、これ。
『格差感じちゃいますね。
クルものがある(!?!?!?!?)』
アダムくんは、後ろのロイヤリティがチラチラと助けを求めるのを無視して、その様を見て興奮した。
「タ、タスケテー」
ロイちゃんの目線攻撃である。
しかし、アダムくんは再び散歩中にスマホを見つめる飼い主スタイルで、ロイ犬を育児放棄した。
「……握手まだですか!」
はよ帰れ。
「………じゃあ、小指だけで。」
ロイヤリティは、目線を逸らして、青い顔をしながら小指だけ差し出した。オタク達三十人程度は、そのロイヤリティの小指をギュッとぎっしりと、両手で握り、彼女を列から外してしまった。
「アダム……タスケテ(泣)」
「………………………。スマホポチポチ」
ロイヤリティは、もう絶対にアダムと口はきかないと決めた。
「……………。」
オタク達が去ったロイちゃん、ぐっしょりと汗に塗れた小指を無言で見つめる。お風呂に入った時のような、ふやけ方をして、湯気が立っていた。
スマホを開き、列に並ぶフェスターとアダムの写真を撮って、すぐにエトセーラとギランミに送信して、デパートを出て行った。
文○ソーラ・レイである。
***
とうとうアダムくんの出番がきた。
心臓ドキドキ。鼻毛チェック。おびただしい量のジャングルが、鼻から生い茂っていた。
この、毛をジャングルに例えるくだり、本編20話あたりを思い出す。あの頃は、なんとか明るい話も混ぜて、前向きにやっていこうと思っていたものだ。あれまだ4月のことなんだ。あの頃は、右も左もわからず、今もよく分からず。でも、クストさんのギャグ回なんかも入れて…………。
もう書けないんだクストさんのおバカ回って。
なんかつら。
『わー!わー!わー!わー!!』
メタッた空気を掻き消してくれたのは、アダムくんであった。
「お次の方どうぞー!」
剥がしの明るい声が響いて、サラーシャちゃんの視線が自分へ向いた。
若干のウルフヘアーっぽいような、しかし重たすぎないヘアスタイル。顔は、アダムくんのドストライクである。
こいつはかすなので、ドストライクでないことはあまりない。そして、お胸もかなりある!!
『スカウター!』
やめろ。
『戦闘力、E寄りのC!!』
最低。しかし、ちょうど良いところである。
『ついでに、隣で握手してるユナちゃんにも、スカウター!』
早く握手しろよ。
ボンっ!
『ええい!デカすぎて壊れたわ!』
ユナちゃんのおっ○いなんと、F以上らしい。
しかし、地の文、あまりデカすぎるのも好きではないので、あくまで人間の範疇のものとさせていただく。
「ありがとー!あ、きたね。」
隣のスカウター破壊暴力ゴリラさんが、何か言ったように思えたが、アダムは無視をして、サラーシャちゃんの元へ歩み寄った。
「はじめましてー!」
サラーシャちゃん、アダムを見上げて猫撫で声。
「あっふ!あっふ!ふへへへへへへへへへ!」
アダムくんは、白い小さな手に片手を包まれて、鼻の下を伸ばしてニヘニヘ笑った。
『鼻の中汚ねぇな、こいつ。』
サラーシャであった。カスの群像劇の内心描写やめろ。
「ありがとー!………デレデレしやがってよ。チッ……」
元祖ヤンデレ暴力系スカウター破壊ゴリラヒロインが、アダムに何か言った気がしたが、無視した。
「ありがとー!……わたしの方にくるのが礼儀だろ……いつも良くしてやってんだからさ………ありがとー!」
ありがとー!でサンドイッチすれば何を言っても良いと思っているらしい。ユナちゃんは。
「さっそく、グッズもたくさんかいまふた!ふへっ!」
「そうなんですかー?ありがとー!(棒)」
アダムくんは、無限搾取の円環へ入った。
芸能界の裏では周知のことで、サラーシャ(設定忘れたので21歳)には、4歳上のイケメン俳優彼氏がいる。
毎晩○○○するし、ファンの貢ぎは、全てこの彼氏へ返還される。
悲しいけど、これ現実なのよね!(偏見)
その点、やはりユナちゃんはシャキリの追っかけ(ストーカー)をしているだけの、健全な女性であるのだ。
「私のグッズも買って下さーーーい!!」
「ひいいいいいいい!」
突如、ユナちゃんがサラーシャと握手するアダムの間に介入してきたではないか。アダムは絶叫した。
目の前のファンを差し置いて。ちなみに、そのファンはフェスターである。
「あのあと、えと。応援これからするので……がんばってくだふぁい。」
その噛み方やめてほしい。
「もちろんだよ!本当にありがとう!!」
サラーシャたんのその声に、嘘は混じっていなかった。
彼氏に貢ぐことは、絶対の決定事項であるが、全てにおいてファンを蔑ろにするつもりはないらしい。
「私も応援してくださーーーーい!!寂しいのでー!」
「ひいいいいいいいいい!」
「お時間でーす!」
再び時空を裂いて介入がきた。
アダムくんは、再び叫んで、お時間が来てしまった。
フェスターは、剥がし相手に暴れ、アダムくんは何か言い残そうとして、噛んだので去って行った。
「プロデューサー。」
一旦仮設楽屋に戻った二人。
ユナちゃんは、一旦水を飲み、サラーシャはウェットティッシュで指の全てを入念に拭いていた。
そして、ユナちゃんはメモ帳と睨めっこをして、必死にペンを走らせるメガネの男性へ声をかけた。
そう、特に名前の決まってないPくんである。
この二人のプロデュース、きっと胃に穴が空くだろう。
ちなみに、地の文はシャニ○スを6年プレイしている謎マウントをかまさせて貰いますが、ノクチ○が一番好きなユニットだが、絶対プロデューサーは胃に穴空いてると思う。コメティッ○も空きそう。
一番空かないのは、多分放ク○とイルミ○。
特にイルミ○は信号機なので、3人で補いながら良くやっていると思う、読んだコミュとしては、温泉旅行かなんかと、電車待ちと、餃子だけだが。
放ク○は、天体観測で、樹○ちゃんが急いでやってくるやつと、学校お泊まりと、あとなんか読んだが、忘れた。
6年やってるとかいう、カスマウント取ったくせに、好きなコミュ読んだり、イベントのカードとコミュだけ回収して、たまに石掘りして、あとは曲聴くだけの、カスである。ちなみに、お気に入りの曲は、平行線の美学とあの花のようにと、グラデーションとキャットスクワッド、星をめざして、リフレクトサイン……………etcである。
なんの話なんだっけ。
胃に穴が空く話か。
「プロデューサー、聞いてる……?」
一気にアイマ○っぽい文面になったが、ユナちゃんである。
「ははっ!パーフェクトコミュニケーション!」
もろ28○プロのPである。やめてほしい、バンダ○ナム○に訴えられたら勝てないから。
「この後チェキとサイン会だよね。」
ユナちゃんは、水を置いて、自身の衣装の埃を摘みながら、プロデューサーくんを見つめた。
「そうだな!ははっ!」
なにわらってんだよ。
「めんどくせー!はやくかえりてー!」
机にぐったりともたれるサラーシャであった。
地の文は思った、クストとロイヤリティとこのギャグサラーシャ。キャラの差別化出来てなくないかと。
「プロデューサー、さっきサラーシャちゃんと握手した、冴えないスーツの茶髪男の子いたでしょ。あの子に、私のサイン会、チェキ会チケット渡して。特例でいいから。」
アダムのことだろう。
ユナちゃんは、再びペットボトルの水を開けて、口を潤し、プロデューサーの反応を待った。
「えー!さっきの、冴えない鼻毛に!?なんで!」
サラーシャの事実そうな悪口を受けて、ユナちゃんはキッと彼女を睨んだ。
「ごめん………好きなのあの人のこと……?」
サラーシャは申し訳なさそうにして、指を両手でツンツンしながら聞いた。
「……そんなわけ…………くっ///////////////////////////////////////////////////」
その質問をされたユナちゃんは、顔を真っ赤にして、
唇を歪めながら俯いていた。
お前、シャキリ行くって言ったよな!?!?
諦めんなよ!!!!であった。
『あ、そう。』
『ははっ、あっそう。』
二人は、完全に察した。
あっ、そう。
『好きなんだ。』
地の文合わせた3人の認識として、刷り込まれた。




