第六十話 出勤と新アイドル
「んだこれ!読みづれ!文章になってないし!主語どこだこれ!あと、なんか削除癖あるだろお前!消しゴムでしっかり消せよ!お前、メンヘラか!?いきなりポエム挟むなよ!邪魔だな!セリフの癖求めすぎて、もう本質消えて癖しか残ってないぞ!展開が雑だし、急!読み手を置いてってどうするよ!」
15万文字のアダムくんの呪詛は、職員室にて、ラッツェル先生に徹底的に否定された。
ただ、午後16時30分、正直読んでくれるだけありがたい。みんなありがとう。
「はい、はい。うん、でも個人的には頭に映像が……。あ、はぁ。はい。はい。はい。学校のレポート見せてみろ?ワードファイルの保存場所忘れました……。はい。はい。あ、文章書くのはメンヘラには、向いてない……?はい。はい。へ、ヘラりそう。めんどくさいから、作品を巻き込むな?はい、はい。ごめんなさい。あ、キャラは愛してます。はい。キャラに怒りをぶつけたことはありません。はい。」
アダムくんは、一生分謝った。それを物陰から心配そうに見つめるのは、クストさんである。
「カイチョー。やり直せだって………」
職員室を出たアダムくんは俯いて、しょんぼりしていた。
「うん、はっきり言うと呪詛みたいだったしな。」
クストさんである。真っ当な意見である。
「カイチョー、また手伝ってくれませんか?」
アダムくんは、クストさんを上目遣いで見つめた。
クストが下なのだが。
「うーん。暇だったらね。」
二つ返事で了承を確信していたアダムくんは、さらに落ち込んだ。しかし、人はコンピューターじゃないので、当たり前である。
『エプロンの授業の時は、ニョックがほとんど全部やってくれたっけ。』
アダムくんは、中学生時代を回想した。
こいつは、人をコンピューターではなく、ミシンとして見る珍しいタイプらしい。
「じゃあクストさん、ありがとうございました。」
ここで本作初めてお礼を言ったアダムくんである。
かれこれ、数時間は付き合ってもらったのだ。
「うーん!またなんかあったら言えよー。」
クストは、鞄を肩にかけ、ヒラヒラと手を振った。
『やっぱ可愛いな。ぐへへ』
最早エ○ゲの主人公じゃなくて、性獣ゴブリンだろ。
「あの、バナナトーク良かったら!少佐!」
アダムくんは、夕日の中をポテポテ歩くクストの背中へ、声を張った。
「あ、あー。うーん。ご、ごめん!バナナトークやってない!」
やってるのである。脈なしである。
「いや、やってますよね!」
!?!?!?!?!
アダムくん、クストさんへは愛情以上の何かがあるらしい。実際、地の文もクストさんは大好きなのだ。
今日、朝の六時に目が覚めた時、ジンワリと実感が来て、頭抱えたのだ。
『自分の作品で自惚れすぎだろ!』
これは、ダークアダムくんである。
地の文も、感情を持つ生き物だ。この、堅苦しい文章がなければ、地面に寝転んで、股開いて全力赤ん坊爆泣きをかましているところだ。
それを抑えるための、文体なのだ。人類は………以下略
「やってない!やってない!ごめんね!」
ごめんね!である。やってるのである。
やってる上で、全否定で振られたのである。
「………しのっかな。」
夕日の校門に取り残されたのは、アダ坊である。
♪♪♪
家に帰り、飯を食った。ダイジェストでお送りされる日々。曜日感覚も消え去り、12月何日だったか。
とりあえず9日。
クリスマスまでは、あと16日。
この、物語の冒頭にカレンダーくるの、ペル○ナ味を感じて最高である。
6と4r楽しみである。
――――
ピンポーーーーン!!
――朝の6時。アダムくんは思うのだ。最近、明らかにチャイムが鳴る時間が早いと。
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン
「はい!はっはひっ!あ、あけまふ!!」
アダムくんが、扉を特殊部隊のタックルで開くと、
外にいるのはヴィーナさんであった。
「おはようアダムくん❤︎行こっか。」
タバコをスーツのポケットから覗かせ、咥えタバコをしているお姉さん。白い吐息は、煙なのか寒さ故なのかわからない。
早番の付き添いである。ちなみに、アダムくんは早番ではないので、早く行っても定時は18時である。
ヴィーナさんは7時30分からの早番であり、16時には帰るのだ。
「ヴィーナさん、まだ朝の6時ですよ。冬ですから、お外真っ暗なんでけど。」
アダムくんが指差す先は、お月様が顔を出す闇である。
その後ろで、高級車がまだかまだかと、エンジンを鳴らし、扉に手をかけるヴィーナもニコニコしていた。
「いこっ!」
ウィンクをして⭐︎がパチーーン!と煌めいた。
夜空の星も煌めいた。朝の6時である。
「あれ、あんたもう出勤!?今着いたとこよ!」
ヴィーナの後ろから声をかけるのは、ジーネンである。丁度、彼氏の家からアダムの家へやってきたところである。
『これで、お家お化けの心配はなくなったな。』
元からないわ。
「えぇ、すいません。息子さん、お預かりしますね。」
ヴィーナはそう言って、タバコの吸い殻を手で握り潰した。煙が手の中から溢れているが、ヴィーナの顔色は変わらない。
「えぇ!よろしくお願いします!!」
ジーネンは何も疑わず、にっこりと微笑み、アダムはボサボサ頭とぐちゃぐちゃスーツで、車に乗り込んだ。
『こんな生活してたら、飛ぶぞ!!』
仕事をなのか、意識なのか。やはり、主語がないのだ。
『どっちも、飛ぶぞ!』
なら、主語はいらないか。
「家帰りてぇ。」
今、家の前である。
***
ヴィーナさんの車に乗り込むと、暖房の温かさが、助手席のアダムとヴィーナを包んだ。アダムくんは一息ついて、外の夜景(早朝)を見つめた。
案外悪くないのだ。隣が美人なお姉さんであるからだ。
「ブランケットどーぞ❤︎」
ヴィーナは、シートベルトを閉めたアダムに、これまたいい匂いのする布のブランケットを差し出した。
「あ、めちゃくちゃいい匂い!」
アダムくんは、口に出さんでいいことを口に出して、
鼻一杯にそれを吸った。
そして、暖房との文明ダブルパンチで、汗かいた。
「あ、あつ。」
「タバコどーぞ❤︎」
ヴィーナさんから、タバコの箱が差し出された。
一本抜きやすいように、その束から顔を出す、たばこ。
アダムくんは、19歳で、ヴィーナさんは24。
ヴィーナさんの喫煙開始は17。
「あ、いや。」
アダムくんは、ブランケットの中の手から遠慮した。
「火、どーぞ❤︎」
そして、タバコをしまい、ヴィーナさんは、ライターを差し出した。
『おっ○いポケットに入れた状態で出せよ!!』
これは、アダムくんである。百年の恋も冷めるわこんなの。
車は発進した。
「テメェ!朝から何やってんだボケが!!っせぇんだよ!おっ!おっ!曲がるぞおら!曲がっちまうぞ!
タラタラタラタラ散歩してんじゃねぇよ!曲がるってんだよ!!車道に自転車が出るな!歩道も走れないなら、空飛べや!!ぶつけちまうぞこらぁ!こらぁ!!バイク邪魔だなぁ!てめぇ、信号待ちで追い越して、何タラタラちっさい図体で前しゃしゃり出てんじゃ!!ぼけ!!!邪魔なんじゃ!!ケツどつくぞ!!」
ヴィーナさんの、暴言ドライブ開始である。
「ひっ、ひいいいいいい!」
アダムである。常に、扉の一番端に張り付いて、ブランケットで全身覆いながら、暴言に耐える日々。
普通なら胃に穴が空き、ハムスターであるなら死んでる。インコであれば言葉を覚えて、反復し、うさぎなら死んで、カラスなら再びストレスで胃に穴が開くだろう。
♪♯♪
朝の6時45分。45分のドライブは終わった。
出勤ルートであるならば、20分弱である。それが45分というならば、ナニかしているのだ。
そう、暴言ドライブを拡張しているだけである。
「はぁっ!はあっ!外の空気うんめ!」
タバコに包まれた車から飛び出して、アダムくんは半分喫煙者となっていた。
ヴィーナは背伸びをして、うーん!と唸っている。
空はだいぶ明るくなり、今日は晴れである。
「いー天気と、でかいおっ○い!」
この作品は、r15となってしまったので、やり放題である。
***
「あっ、アダムくんおはよ。」
朝の7時、欠伸をして廊下で掃除をするアダムに声をかけるのは、ヒラヒラ付き、水色のパジャマ。ブロンドの髪を下ろし、前髪を窓の風に靡かせる、メサちゃんであった。
ココアを淹れた猫さんマグカップを手に持ち、顔を紅潮させていた。
アダムくんは、そのラフな姿にドキッとした。
なぜなら、メサちゃんのパジャマは肩出しパジャマであるからだ。
「…………?ズズズッおはよ。」
メサちゃんは、硬直したアダムくんが不思議で、ココアを啜り、もう一度挨拶をした。
「………ウス」
陰キャ発動である。廊下の埃にだけ意識を向けて、煩悩を捨てて股間に熱を持たせた。人間が作りし自然テクノロジー。股間暖房である。
全部矛盾してるのである。
――朝の7時50分。制服に着替えたメサちゃんを、みんなで見送りである。
玄関に一列に並び、エトセーラとフェスター、ダッケル、アダムが並んだ。その横にはメイド達。
ヴィーナは、制服を着たメサちゃんの横。
ギランミとロイヤリティは常に遅刻である。
ーーお見送りが終わり、8時15分。
「こんばんわーーー!!」
時間感覚が海軍のロイヤリティが、ギランミを連れて
豪邸の扉を開いた。
それをジト目で見つめるのは、フェスター、ダッケル、エトセーラである。
アダムは、朝はお腹緩いのでトイレに篭っている。
「…………………❤︎」
エトセーラは、突如ギランミに抱きついた。
フェスター達は最初は驚いたが、エトセーラは毎日やってるので、もう慣れたことである。
あの、お泊まり以降何かがおかしいのだ。
その肝心のお泊まり編、また番外編として作るつもりである。
8時30分。朝礼開始のため、帰ってきたヴィーナも集めて、会議室に集合した。
アダムくんと、フェスター、ダッケルは最前列に座り、ギランミは寝る。ロイヤリティはひとり○×戦争。ヴィーナは、お化粧のチェックである。
そして、エトセーラがホワイトボードの前で、1日の流れを確認するのだ。
「えー、今日も普段通り!以上!!」
相変わらずの適当さと、ホワイトボードの字がきったない。
「学校周辺を車で回るのは、フェスター班。アルメイア邸警備は、ギランミ班。敷地内ブックオ○達のシフトは、ダッケル班。いいですね!」
フェスター班は、街を彷徨く係である。正直サボりである。メンバーは、フェスター(運転手)、ロイヤリティ、アダム。不安しかない。
ギランミ班は、ギランミ、エトセーラ。
ダッケル班は、ヴィーナとダッケルである。
「けっ、またお前とかよ!私はダッケルちゃんと行動したい!!」
隣の席のアダムにケチをつけるのは、フェスターである。
「っせばーか!なら、俺もギランミお姉ちゃんといたいんだよ!!」
アダムも同じくケチをつける。こいつら仲良いのである。
「やっぱ一番お姉ちゃんな私が、二人のこのオスガキの面倒見ないとねーーーー!!!」
そう叫んで、胸を張るのは、ロイヤリティである。
ヴィーナは適当におー。と言って、拍手を送る。
ギランミは寝てる。
「…………。」
これはダッケルであるが、寝ていた。
「じゃあ、そういうことで。」
エトセーラの一言で、各自解散である。
***
「はいはい、早く乗れよー。」
フェスターが車のエンジンを鳴らし、アダムが隣の助手席に乗り込んだ。なぜかワクワクしていて、ロイヤリティが一番合流が遅い。
「ごー!ごー!!」
おバカが後部座席を占拠して、イツメン集結である。
「ロイヤリティさん!シートベルトお願いしますよ!!」
そう叫ぶのは、フェスターである。こいつは、メタ・ロトュンドの下っ端なのだ。
「了解!!お前ら、これ飲めよ!!!」
ロイヤリティ先輩(20)の奢りである。ふるふるゼリー。
「あ、どうも。」
「あ、どうも。」
二人は振り返り、それを受け取るが、ふるふるゼリーの時点でテンション下がった。
「私先週コーヒーが良いって言ったよな!先輩に!」
フェスターは、コソコソアダムに耳打ちした。
「俺も、おしるこがいいって言ったよ!聞いてないよあのおチビ!」
アダムも呟き、ふるふるゼリーを振った。
しかし、なぜか温かいのだ。
「………………。先輩、これ何味ですか?」
フェスターがミラーでロイヤリティを確認しながら呟いた。
「おでん味のふるふるゼリーー!新発売!!」
「おえっ!」
「おえっ!」
車は発進した。
***
「フェスターはん、サボるんすね!!」
アダムは、流れるアイドルソングと、それを必死に歌うロイヤリティに合いの手をして、フェスターにニヤついてみせた。
「ったりめぇだろ!今日は車内でインペネス新デビューメンバー見て!その後CDショップの握手会乗り込むぞ!!」
フェスターである、アダムは大はしゃぎして、ロイヤリティも大はしゃぎした。
ちなみに、これらは無線で全部聴かれているが、この三人は知らない。
――朝の9時。街を意味もなく巡回し、アダムくんはスマートフォンを手に持ち、ロイヤリティはそれを後ろから覗いていた。
「………!?ロイヤリティさん、シートベルトしてないでしょ!」
フェスターは、運転しながら、身を乗り出すロイヤリティを注意する。
「へーき!へーき!」
ボカァン!!!ブレーキの勢いにやられ、ロイヤリティはフェスターの座る座席に顔面を突撃した。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
ロイヤリティは爆泣きして、アダムはスマホに釘付けで、フェスターはため息を着いた。
ーー「新アイドル発表会、及び、アイドル人気総選挙の発表を行いまーす!!」ーー
アダムのスマートフォンから、爆音で会場の歓声が配信越しに流れた。
「おっ!」
フェスターである。
ボカァン!!!
脇見運転をしてたので、事故った。
―――――
コンビニの駐車場。
フェスターは欠伸をして、ハンドルの奥に足を乗せ。
ロイヤリティは後部座席を全て使って眠り、アダムくんは配信に釘付けであった。
「発表まだ……?」
「もーちょい。」
フェスターは再び欠伸をして、外を眺めていた。
ーー「新アイドルはー!」ーー
「おっ!」
「おっ!」
ーー「妹系アイドル。サラーシャ・テンちゃんでーーす!」――
インペネス新メンバー、つまりユナのメンバーの一人になるのは、黒髪最近流行りのウルフヘアに近い、サラーシャ・テンちゃんであった。
そして、顔が美人で(21)。可愛い系にも綺麗系にも見える。
「にょっ!にょっ!にょっ!」
「うへうへうへうへうへうへ」
「ぐー!すぴすぴー!ぐーすぴすぴー!」
アダムは、ユナちゃんに芸能界の裏を教えられ、
ジェナちゃん親衛隊は降りた。ユナちゃんは、本性を知ってるので、絶対ない。よって、この超絶S級美女のサラーシャちゃんにした。
文章に使われる文字の何もかもが最低である。
フェスターは、箱推しである。ユナちゃんも好きで、サラーシャも推すことにした。一番はダッケルらしい。やかましい。
ロイヤリティは、リビングでライブ映像を見る弟と一緒に、その女の子を品定めするアレである。
――「アイドル総選挙映えある第一位は!でれれれれれれれれれ!3!2!1!!cmのあとダァ!!」――
「しばくぞ。」
「だから、テレビ見るのやめたんだよ。」
フェスターとアダムは交互に悪口を言った。
へ、へいとすぴーち!
――「映えある第一位は!3!2!1!」――
「カウントはもういいだろぉ!?」
「さっきしただろ、カウントはぁ!」
――「インペネスの、ユナ・エイジールちゃんでーす!」――
「うっそだー。」
「き、きたんごおおおおおおおおおおお!」
最初がアダムで、後に叫んだのはフェスターである。
――「では、ユナちゃん、一言お願いします。」――
ユナちゃんが、煌めくステージに立ち。自分の勝負衣装の服でマイクを手に持った。立ち振る舞いはアイドルらしく、アダムはちょっとドキリとした。
ちなみに、勝負衣装はヴィンテージレインコートである。女性版嵐である。
――「えー。うっそだー。という声が聞こえました。大体、誰のものかは検討がつきます。でも、それは良いんです!………」ーー
そして、スマートフォンの先でユナちゃんのスピーチと歓声が上がった。
なぜか、アダムのうっそだー。は、盗聴されていた。
――続く――




