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私立エルガー学園!!  作者: ぷりお
第一部
52/70

第五十一話 やるんだな!?今……ここで!!



――上映1時間10分


『ピロパラパラパラピロピロ!』

『ピロピ!パラランピロ!』


アダムくんは、左肘を肘置きについて、寝ることなくそれを見ていた。


『くそ、羨ましいな………』


アダムくんは、嫌な夢を見てしまったので、寝ることも叶わず。こうして起きて映画を見る内に、スクリーンの二人の、なんか甘くて酸っぱい感じを、羨ましくなってきてしまった。


劇場なので、音響は高級であるし、スクリーンの画面は嫌でも視線を奪う力がある。

そんな中で、1時間以上恋愛モノを見せられるのだから、嫉妬を生むのは仕方ないだろう。


アダムくんは、スクリーンの先で行われる。

心臓をねこじゃらしで、ウジウジされるような二人の距離感を見ていると、逆張りであっても胸がキュンキュンしてしまうのだ。


そして、そうであっても、この1時間のうちに、二人の距離は段々と歩み寄って近づくものだから、脚本家か監督は良くやっているものだ。

そして、ヒロインが病院で白いベッドに寝そべるシーンである。


『くそ、病気なんかするんじゃない!』


アダムくんは、完璧に二人のファンになっていた。

そして、物語がクライマックスなのかは、寝ていたのでわからないが、男の方が、そのヒロインの手を握りベッドに寝そべるシーンへと続いた。


『やるんだな、今ここで!!』


いちいち内心が喧しいのは、陰キャの性だろう。

ふと、首の辺りがチリチリとする感覚がして、そちらへ視線を向ける。


自分の右隣に座るメサイアが、ハンカチを左手に、もう片方の右腕は膝の上に置いて、アダムを見つめていた。


いつもの、若干の困り眉とスクリーンを反射する長いまつ毛。揺れる蒼い瞳、口は緊張した雰囲気で、覚悟を決めていた。折り畳んだコートは膝の上に置かれて、やはり右腕はやり場がないようであった。


メサイアは、アダムから一度目線を外し、アダムの左下を見てから、もう一度視線を戻した。


『と、トイレ行きたいのか……?』


もう、このアダムくんの鈍感もどきが、通用しない段階へと来ていることは、地の文も良くわかる話である。


メサちゃんは、自分の右腕を使って、さりげなく肘置きに乗っかるアダムの左肘を、グイグイと押し込んでいた。


「手置きたかったか、ごめんね。」


アダムは小声で呟き、空席の右側の肘掛けに、自身の手を置く。


「……………………。」


メサちゃんは、ジト目である。

メサちゃん曰く、このまま一度も手を繋がずに映画館を出るのは、あり得ないらしい。


陽キャに笑われていた時の、あのアダム君の悔しさと悲しさを交えた顔。

それと、この肘置きをすんなりと譲ってくれる優しさ。


どれも、当たり前のことだし、情け無いだけなのだが、メサちゃん恋愛フィルターを通すと、庇護欲を掻き立てられるらしい。


水を差すようで大変申し訳ないが、将来ヒモに引っかかる可哀想な女の子にしか見えない。


地の文は、メサちゃんがこのままではいけないと感じる。仮に、アダム以外のヒモに寝取られた場合。

メサちゃんが働く間にその寝取りヒモくんは、パチンコに行って散財するだろう。メサちゃんのお出かけにはついて行かず、勝手にクレジットカードを使用するだろう。二人でボロアパートで漬物とお湯を啜る日々。メサちゃんの目元には過労の隈。

ヒモには夜更かしの隈。


メサちゃんが仕事でいない間に、ヒモは、毎日自分の三代欲求をフルコンプリートし、さらには競馬やパチンコ、キャバクラまで行く始末だろう。


これが男というならば、そのヒモは自害した方が賢明である。というか、自害しろ!

ラン○ー!!(飛び火)

ラン○ーがしんだ!この人でなし!!


なんの話だったか。


地の文は、メサちゃんがヨウのようなヒモカスに捕まるぐらいなら、もうアダムと結婚して欲しかった。


主な構想としては、お付き合い(19)編、ゼクシィ(24)編、ウェディング(25)編、地球降下ハワイ旅行(25)編、共働き(25)編、二人でイチャイチャ添い寝(25)編、アダムパチンコ(26)発覚編、アダム押入れのエ○写真集バレる(26)編、アダムサッカーボールを高級車にぶち当てる(26)編、アダム借金(26)編、メサイアそろそろアダム見限り(27)編、アダムキャバクラでセクシィ(27)編、アダム不倫発覚(28)編、アダム山に男性3人引き連れて不倫し放題(28)編、ギランミ達に見つかり始末(29)編、メサイア(29)未亡人編。


これら全てをプロットとして、入れておくとする。おそらく、地の文は長さに絶望して、ウェディング編で完結させるだろう。いちいち、〜〜編の後に年齢が入っている。

なんの確変かわからないが、アダム君(26)から、エンドレス厄年が始まっている。


不幸(自業自得)無限継続編である。出玉が止まらず、換金はどこですれば良いのかと質問をすれば、

「みなさんあちらに行かれますね」と、隣接した

刑務所を促されるだろう。



突如、メサちゃんはアダムの左腕の手首を、両腕で掴み上げた。女の子の細く、しかし柔らかい小さな手を、手首の一点に感じて、アダムの体はビクッと跳ねる。


「…………………。」


メサイアは、スクリーンの光を顔の半分に映しながら、アダムを真っ直ぐ見据えていた。


メサちゃんのもちもちおてて二つが、アダムの左腕をガッチリホールドする。


『なんか、嫌な夢見て怖かったけど、メサちゃん見ると落ち着く……。手は洗わないでおこ!』


アダムであった。手大事にしてね。


二人は、お見合いを続けていた。


「…………。」

「………ゴクリ。」


メサちゃんは生唾を飲み、その腕をゆっくりと左の肘置きに乗せる。

両腕を離し、その腕を置かれたアダムの掌をジッと見つめながら、自分の右腕を被せようとしていた。緊張で、ロボットのような動きである。


この二人、結構前の話で手繋ぎまくって、ベッドに寝そべってたのに、今更何が恥ずかしいのだろう。

焦ったいので、やらしい雰囲気にして、チュー三回ぐらいして欲しかった。


「繋ぐよ。」


メサイアであった。久々に小声で声を出したので、ちょっと低音ボイスである。


「は、はひ/////////////////////」


アダムであった。顔が真っ赤で、声は変に高音であった。番外編にTS回を書いてみるのもアリかもしれない。一話だけ。



「やっぱ、好きだーーーー!!!」


二人は、スクリーンから響いた声で、自分達の内心を暴露されて、肩を同時に揺らした。

その叫びに合わせて、劇場版はエンドロールに入った。


「………オワッチャッタ」

「………オワッチャッタ」



二人は呟き、エンドロールを見ずに帰って行く人たちに、自分達の焦ったい、恋人繋ぎキャンセルの姿を見られ、顔を赤らめる。解かないということは、ほどほどに手は繋いでいるのだろう。


エンドロールの終わり際、会場の人々がヒソヒソと会話を始める時間であり、カップル最終イチャイチャのチャンスである。


アダムくんは、ため息を吐いて、左腕の繋いだ手はそのままにしていた瞬間。

自分の左頬辺りに、二つのぷにぷにしたものが、チュっと当たる感覚があった。


吐息がグンと迫り、一瞬の頬の衝撃で弾けるように離れていったのである。


アダムは、反射的にそちらの方向を見ると、手を繋いでいない左手で口元を抑えて、顔をとんでもなく赤くしている、メサイアがいたのであった。



――続く

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