第三十四話 お前がチョロインかい。
―――8時15分だよ!全員集合!!
チャリンチャリーーン!!
プップーー!!ププッーーー!
渋滞かな。
「こんにちはーーーー!!」
アルメイア邸に響く、元気なガキの声。
おはようだけどね。
扉の先にいるのは、ロイヤリティとギランミと
送迎を終えたヴィーナであった。
「遅い!特にギランミさん!」
エトセーラ、腕組みをして、3人に怒鳴る。
エトセーラの怒声による風圧で、3人の髪が靡いた。
「エトセーラ!15分前に来てるんだぞ!!怒らないで!!」
ロイヤリティが叫び返す。
これ、鞭の時間なんじゃないの!
エトセーラさん!逆らいましたよ!彼女!
鞭いけ!!
アダム君、デッキブラシで絨毯を引っ掻きながら心の内で呟く。
「諸々の準備があるだろぉ❤︎ロイヤリティ!」
エトセーラは、顔をデレデレさせながら、ロイヤリティのほっぺに自分のほっぺをくっつける。
首に手を回し、ホールドされたおチビロイヤリティ。
「それやめて!!」
けっ!身内ノリかい。
アダム君、内心で唾を吐いた。
おしりがヒリヒリするなー。
アダム君、お尻を摩っていると、ヴィーナがこちらに近寄ってきた。
この、ヤニカスお姉さん。さっきからなんでこんな張り付いてくるんだろう。
「これ、湿布。メサイア様がアダムくんにだって。あと、私からもよ。」
ヴィーナから、2ダースぐらいの湿布がドカンと渡される。
「え、こんないらない…………」
「私からの気持ち。」
「え、こんないらない………」
「すいません、その湿布分けてくれませんか。」
先のタイタニスふんどしトリオジジイ共が、便所と現実の狭間にある楽屋からゾロゾロと姿を現した。
ケツを二分する白いハチマキからは、めちゃくちゃ赤く腫れてるケツ。痛々しすぎるだろ。
アダムとヴィーナ、それをジト目で見つめる。
「え、思ったんですけど、バジーリオさんですよね?」
「…………………………」
「バジーリオさん?」
「………………湿布をくれないか!!」
いきなり怒鳴るふんどし全裸金髪。
こいつも、ケツの痛さでイライラしてんだろ!
湿布のダースを開封。ワンボックス手に取り、
湿布の小分け袋を手に取る。
「では、みなさんどうぞ。僕達は友人ですよ。」
アダムヴァ君、呟きながら、みんなに湿布を手渡す。
なんで、女の子の家にこんなふんどしゴブリンが生息してんだよ。
生態系が築かれてるんだよ。メサイアちゃんの家に。
「こりゃすまん。貼ってはくれんか。」
サラスが、呟きながらめちゃくちゃ赤い豊満なケツを差し出した。
うわっ!!すね毛生い茂りすぎだろ!!!
ふんどしのハチマキからもはみ出てんだよ!
下のギャランドゥがさ!!!公然猥褻罪だろ!!
「きっったね!ヴィーナさん!どう思いますか!!」
「私は何も感知していない。」
そうはならんやろ。
この醜態で妖精は無理でしょ。
スタンダードな処世術としてこのレベルを要求する社会は一体なんなのか!それだけの話です。
「じゃあ、貼りますよ。」
湿布のシートを取り、サラスの右片尻に向けて、
湿布をペトリ。
「ひゃぁぁぁぁぁぁん!!もっと優しくしてくれ!!」
キツすぎる。
絶対夢に出るわ。壁尻だわ、これ。てか、けつでか。
この、ギャランドゥだらけの、尻に追い詰められる夢見るわ。今日。
「君は、下手だな!素人臭いよ!!貸しな!!」
そう叫ぶのは、ふんどしゴブリン二匹目、
スレッグであった。
苛立ちが隠せていなかった。
まだか、まだかと、自分の尻に安息の鎧が来るのを待つバジーリオとスレッグ。
お前ら初出撃ペアがこれでいいんか。
「中将、いきますよ!」
「一思いに頼むよ!!」
きっつ。スレッグがサラスのケツに屈んで、その顔を
平行させる。さっきら、馬跳びの跳び箱の姿勢で待機するサラス。
サラス・シュタインならぬ、晒す・醜態ンである。
名前の元ネタは、実際それなんですが。
「ヴィーナさん、きついです。これみんの。」
アダム、湿布のゴミを丸めながら、自分達の目の前の地獄絵図を見つめる。
「まぁ、給料出てるからしゃーなし。」
ヴィーナ、煙草を取り出して、火をつける。
禁煙って、煙出さなきゃ吸っても問題ないんすよね。
「ゲホッ!ゴホッ!オエッ!ゴッ!!ホッ!!」
煙出てんじゃねぇかよ。隣のアダム君が咳き込んでますけど。
「……………すぅーー。」
気にしないんかい。蛙化されるぞ。
「はぁはぁ!はぁ!少尉!!終わったか!!!」
「もっとケツを仰角させて!!上げすぎ!!俯角して!俯角!!!」
「ええぃ!!!冬の寒気がケツの傷にしみるぅ!!」
ぐろすぎる。
パァン!!!
貼られた湿布は、サラスの毛むくじゃらの太ももに、
識別帯のように巻き付いた。
「アアッ!!」
サラス、空へ咆哮を上げる。
お前、ケツのヒリつきじゃなくて、湿布苦手なだけだろwwwwwwwwww
「中将、すみません!!」
素人臭いとか言ってたジジイなにしてんだよ。
「ちゃんと、やれよ!!剥がせ!!」
「参りますよ!3、2、1、ファイアー!!」
ベリリッ!!!ブラジリアンワックスよろしく、
足のすね毛全てが刈り尽くされ、サバンナの中央に位置する泉を空から俯瞰するように、毛の一才存在しない、白い肌の結界が作られていた。
「はふぅんんんんん!!」
サラス、雄叫びを上げて、汗を滴らせる。
ヘソに生えるギャランドゥが、氷柱のように地面へ向けられ、そこから汗が滴り落ちる。
なんか、鼻痒いし、蕁麻疹出てきた。
なんか、サラスの腹の肉の肉という肉から、汗が滴って、熱気感じるんだけど。暖房いらんだろ、これ。
地球のエネルギー問題解決の手口が、湿布が苦手なだけのジジイから見つかりそうなんだけど。
てか、バジーリオはどんな顔してるんだよ。
「はぁ。ったく。っせえな。」
渋滞に尻を預け、体育座りをしていた。
キャラ崩壊してるんだよ。
ふんどしが開かれ、ハチマキに隠しきれないブツが、
チラチラ露見していた。
巨大な根が、地面に張っていた。
「大な」は読まないものとします。
巨○になります。
「バジーリオさんって、下のギャランも金色なんだ。」
アダムヴァが煙に覆われながら呟き、ヴィーナが横目にそれを見る。
暗く俯くバジーリオを横目に、再びサラス達に視線を向ける。
「あっあっあぁっ!!」
「くぅっ!ぬっく!」
「そこっ!そこだっっ!」
なぜか、スレッグとサラスが2人とも、馬跳びの跳び箱の
姿勢になり、お互いのケツを連結させていた。
いや、そうはならんやろ。
「…………………………」
アダムくん、前方で行われるケツバトラー(武器なし)
を無言で見つめる。
「はぁ。」
ヴィーナ、再び煙を吐き、煙草を汗だくのサラスのケツに押し付けた。
「あちっ!あちっ!」
「ブリーフィング!!」
ヴィーナ叫び、アダムヴァ君はその後に着いて行った。
♪♪♪
「えー。今日からウチで働くアダム君です。じゃあ自己紹介。」
ちっさい会議室で、ヴィーナとギランミ、ロイヤリティが座り、前に立つエトセーラが、横のアダムに目配せをした。
「ハイッ↑本日からお世話になりますっ↑
ふととゅか!ふつ……ふっつか……富津……
不束者ですが、よろしくお願いしまドュ!」
良い挨拶だ!!
『………………………………。』
最悪な職場だな。
パンっ!パンっ!パンっ!
え!?!?鞭!?!?!!
ヴィーナのクソデカ拍手であった。
「ヴィーナ、うっさい!!」
ロイヤリティ耳を塞ぎ、ギランミは鼻提灯を出して寝ていた。
「ヴィーナ、貴方何かあったの……?」
エトセーラ、書類を捲りながらヴィーナに声だけ矢印を向ける。
「強い男だけが、良い男じゃないとわかったんですよ。」
ヴィーナため息をつき、アダムにウィンク。
星がパチーーン!!とまつ毛から輝くが、アダム君
噛んだこと思い出して、赤面しながら汗を拭っていた。
ロイヤリティがクソデカ欠伸をして、ギランミは
まだ居眠りしてる。
アダムくん、人って思ったより自分に興味ないからね。
「じゃあ今日の一連の流れ説明します。大体いつもと同じ!!」
エトセーラ、ホワイトボードに字を書く。
いや、字きっったね!!
あと、新入社員いるの忘れないでね?
ロイヤリティ、1人ジャンケンをして、ギランミは
スーツの埃をフーフーしながら遊んで、
ヴィーナは鏡でお化粧チェックしていた。
アダム君だけ、エトセーラさんを見つめて、説明をジッと聞く。
「うんぬんかんぬ!あれこれあれこれ!……………!!」
エトセーラ、その3人を睨みながら淡々と説明して、
自分の目の前の座席のアダムを見て、ちょっと嬉しそうな顔をした。
「アダム君!!君やる気あるな!!今まで説明したこと、復唱してくれないか!!」
「え、ちょ………え。」
「いーから!いーから!君結構真面目なんだな!メサイア様が見込んだだけある!!」
エトセーラがニコニコしながら、アダムの腕を持ち上げる。話聞いててくれて嬉しかったんだね。
でも、こういう時大抵話聞いてるフリしてボーっとしてるだけだから、復唱なんか無理なんだよ。
陰キャの特性なんだからさ。
アダム君、この時、部屋を見回して、シャンデリアでかいなとか、ギランミさんって結構あるなとか、ロイヤリティさんはガキだなとか、ヴィーナさんやっぱデカいなとか思っていた。エトセーラさんって控えめなんだなとも思っていた。
「復唱って、口に出す……?」
「そりゃそうだろ!!ワクワク!!」
先生に不意打ちくらった学生であった。
下手こくと鞭打ちだぞ!!
「えっとー。」
「ワクワク。」
『ヴィーナさんは、頼りにならない……。ロイヤリティさんもダメだ……。シャキリさんのお姉さん!ギランミさん、
助けてーーー!』
アダム、めちゃくちゃ汗かきながら、ギランミに目配せする。
「…………?」
ギランミ、ウィンクパチーーン⭐︎⭐︎!
なんなのこの人たち。
『ロイヤリティさーーん!!』
「……………ん?」
サムズアップ!!
そうじゃないんです!!
『ヴィーナさん!!!』
うっすらピンクの口紅をつけて、口をパッパするヴィーナ、鏡を見てるので気付いていません。
『くそッッッ役立たずどもが!!』
メタ・ロトゥンド(ポンコツ集団)
メサ・ロトゥンド(寝首を掻き合う自滅集団)
王室直轄のポンコツお姉さん達なのだーー!!
「アダムくん、どうした?」
エトセーラ、横で首を傾げる。
あ!板書見れば良いじゃーーーん!!
ホワイトボードチラリ。
いや、字きったね。
絵でも書いてるつもりなのかよ。
100年後ぐらいに逆張りに逆張り重ねて、神格化されんじゃないの。この汚さは。
「はぁっ!はぁっ!!はぁぁぁっ!」
アダム君唸り始めて、ロイヤリティが笑いを堪え始める。エトセーラ汗を流し、こめかみの辺りをポリポリ。
エトセーラさんに向き直り、瞳を正面から見つめる!!
「え、ちょ……なによ//////」
エトセーラ呟き、顔を真っ赤にして俯く。
なんでお前がチョロいんだよ。
ヴィーナが勢いよく座席を立つのが見えた。
ハーレム・ロトゥンド編開幕!!
「エトセーラさん!!」
「…………?」
ウィンクパチーーン⭐︎!!
アダム君は、ウィンクが下手なので、片方の顔に皺を作るだけであった。
「ブッwwwwwwwwwww」
ギランミ吹き出し、肩を揺らし始める。
その笑い方、メサイアちゃん思いだすからやめて?
アダム君、しっかりトラウマで草ぁ!
「えっと………はい。」
エトセーラさん、アダムの両手を握り込んで微笑んだ。
「え、えっと。何がハイッ↑」
「殿方との経験は初めて………………」
ユニコーーーーーーーーーーーーン!!!!!!
〜♪〜♪〜♪!!
777リアル!!!!!
エトセーラさんは、可能性の獣ッッッ!!
次回「ギャルゲー めさ・ろとゅんど編開幕!!」
見てください!!(シャ○ティボイス)




