第十一話 光るパンツ
ガルーラ君は自転車漕ぎ漕ぎ!!
とっくにヨウは追いかけるのをやめていた!!
「ガルーラ君、なんだここは?どういうんだ!?」
アダム君とガルーラ君は、教室の廊下を自転車で駆け抜けた。そして、高等部を抜け、その先の中等部を超えて、別棟の大学部へやってきた!!
「もう少しで、オアシスに着く!!」
ガルーラの叫びに合わせて、男性と女性の叫び声が響き渡る部屋が見えてきた。ここであらないでくれ!
案の定、そこの教室の前で自転車は停まった。
息を荒げ、額の汗を拭うガルーラ君。
「え、自転車……?」
入り口から、自転車のブレーキ音が響き渡り、それを見にきた女性が、二人を見つめて汗を流す。
ユナ・エイジールちゃんであった。
今朝、自分達をぶん殴りにぶん殴った、アイドルのユナちゃんであった。スケベマウスパッドの主でもある。
女性のいい匂いがするが、アダム君とガルーラ君はたんこぶを思い出して、身を震わせた。
「シャキリさんに、友達を紹介したくて、被害者なんです。彼も。」
「私が一番の被害者な気もするけど、シャキリ君達なら奥にいるから。」
ユナはこちらを一瞥して、微笑む。
可愛い。プリクラチェキを返して欲しかったが、
アダム君は修正が嫌なのでやめた。
中の部屋は薄暗く、汚い。
赤髪の女性と、茶髪の男性が叫びながらゲームをして、ユナちゃんは、身の回りの掃除を黙々としていた。なぜ、こんなところにユナちゃんがいるのだろう。
「シャキリ氏w シャキリ氏w 見てくだされw このw ……あ、あれガルーラ君!? こんにちはー……」
丸眼鏡をかけた赤髪の女性は、典型的なステレオオタク化していたが、入り口のガルーラとアダムの姿を確認し、すぐにそれを投げ捨て、頬を赤らめた。
「シャキリ君、これっておパンツだよね。これ、
履いたやつ?」
ユナは、箒を傍に、金色に黒文字で百と書かれた黄金のパンツを掲げた。シャキリと言われた男性は、それを見て目を見開く。
「それは、明日履こうと思ってたやつ……」
ユナはその言葉を受け、パンツを見定めた後、自分の
短いスカートのポケットに仕舞い込んだ。
光の速さで、いや明日のパンツ奪うなよ。
スカートのポケットの隙間から、はみ出てるし、金色が。
シャキリ君は、あまりの速さと、ユナちゃんの手から発される風圧で目を瞑り、そのおパンツの姿をロストしていた。
「アダム君、あの椅子に座ってるオタク二人は、シャキリさんと、レナさんだよ。僕たちをボコボコにぶん殴ったのは、周知通りユナさんだよ。」
ボコボコに殴った印象より、ただの下着泥棒なんですけど。百式パンツですよね。あれ。盗られてますけど、シャキリさん。
「ガルーラ君!?私のオタクはファッションだよ!?
シャクティ君は正真正銘だけど、私はエセオタクだよ!」
レナさんはコントローラを投げ捨て、弁明を始める。
シャキリ君はそれを受けて、コントローラを投げるなと怒り始めた。いや、パンツ盗られたことを怒れよ。
「君が、ガルーラ君と共に殴られたアダム君か。
まぁ座りなよ。」
シャキリさんは丸眼鏡を上げ下げして、重たそうな椅子を引きずり、自分の前に置いた。ガルーラ君は、きったない机に弁当を置き、開き始める。同じくお弁当を持ったユナさんがむかいに座って、シャキリ達は床のゴミを避けて、再び最奥のテレビの前へ行ってしまった。
ユナちゃんのお弁当は、二つ。布に包まれたもう一つは未開封で、もう片方のお弁当は彩り鮮やかであった。
ガルーラ君は、梅干しと白飯のアルミニウム弁当。
美○しんぼでしか聞いたことないよ。アルミニウムって。
「ユナさん、お弁当二つですか?」
アダムは気まずい思いで、ユナの向かいへ座り、ガルーラ君はユナの二つのお弁当を見て、呟く。
「これね、シャキリ君のために作ったのに、冷たいお米食べられないんだって。ナポリタンも入れたんだけど、冷たいナポリタンは無理だって。あと、カップ麺食べたからいらないって。」
ポケットからはみ出す、百式パンツが光ってるんですけど。パンツのビームコーティングのメッキなんですかね、これは。
そして、シャキリさんはクズだろ。
当の本人は、猫背で、レナのゲームを横目にハーレム
ライトノベルを読み始めていた。
「そうなんだ……。なんかユナさんポケットが眩しくないですか? なんの光ィ!?これ!」
ユナさんのポケットは、薄暗い部屋の最奥から、微かに照明がついたこちら側の大きな机に座ったせいで、パンツが発光し始めていた。
「気のせいよ。パンツが光るわけないんだから。」
確信犯である。自分からパンツと言ってるのである。
ユナさんは、少し不機嫌そうで、傍の放置されたお弁当は、拠り所なく迷子であった。
アダム君のお腹は、ぐーと鳴った。
突如、アダムくんの頭の蓋がパカリと開き。
『あー、僕お弁当を陽キャに盗られてしまったから、
ユナさんの、愛妻弁当食べたーい!』
とチビアダム君が代弁してくれました!
強化人間伝統芸能、勝手に心情代弁おしゃべりアダムくんなのだー!
「愛妻弁当……!やっぱりそう思える!?シャキリと私は愛し合っているから、やっぱり夫婦に見えるのよね。やっぱりそうだよね。今日だって朝の四時に起きて、シャキリのことを思って、それなのに食べないとか言い始めて、だからこうやって腹いせにパンツ盗んで、色々あるけどやっぱり最後は結ばれて、そうよねそうよねそうよねそうよね………以下略」
ユナさんはお弁当の紐を抜き、アダムの前に差し出す。
「子供にご飯を上げるシュミレーターと思えば良いだけね。アダム君どうぞ。」
ユナはお箸を取り出すために、ポケットに手を入れた。
しかし、逆側のポケットを触れてしまい、ポケットから百式パンツが、ずり出された。
「え、パンツ……」
ガルーラが呟き、ユナの右腕が一瞬でガルーラの首を掴み込む。手がギリギリとなり、ガルーラ君の血色は見る見る青くなっていく。
「私が、パンツを奪う人間に見えて? ガルーラ君、私のパンツ見たね。パンツ見たんだ。女の子のパンツを見て、え、パンツ……ってなに?ガルーラ君、そんなことして良いと思ってるの?大体君はね。私のプリクラ写真まで奪って、パンツまで盗み見るなんて………以下略」
ガルーラくんは、首を掴まれたニワトリのようであった。
アダム君は必死に下を見て、汗を滴らせる。
お弁当の蓋は開けられない。蓋の上にハートのお手紙で、シャキリと書いてあるからだ。
「このお手紙だけでも、渡してあげたら……」
アダム君は必死に言葉を選び、手を離され、失神したガルーラ君を横目に、ユナちゃんにそれを差し出す。
ユナちゃんは、その手紙を見てモジモジとし出す。
いや、パンツ盗んだことをまず恥じろよ。
後ろのシャキリは、床をゴソゴソと漁り始める、
パンツねぇぞー!と叫んでいた。
レナに怒鳴られ、一緒にゴミ山を漁り始める。
「あっ、パンツはここに……!」
「ふっ!」
ユナの閃光が腹に走り、アダムは声も上げられずに倒れ込む。
ユナの手から、煙が上がっていた。
アダムの口を無理やり開き、お弁当の中身を一つ一つ流し込んでいく。
「くそ、百式パンツがない!ゼータパンツしかない!
ジ・Oパンツはあるが!!」
シャキリが掘り出したそれ、パンツのゴム紐から、
力無く隠しマニュピレーターが2本垂れていた。
ち○ち○だろそれは。
「キュ○レイはないのか!ガブ○レイは!?私はあれが好きなんだ!」
レナも興奮気味に呟き、ゴミを漁る。
そして、パンツの一つを漁り、大絶叫した。
マントのような装飾の黒いパンツ。腕のようなものが、ビヨーーンと伸びている。
「なんだこれ……!公然わいせつ罪だろ!」
「ザバーニーヤパンツだけど……」
シャキリはレナに殴られて、失神した。
その後、ユナのポケットが、金ピカに輝いているのを確認したが、指摘するのはやめた。
見せるからには、少女のお股に食い込む白いおパンツが、光っているのか、光っていないのか、きちんとやって欲しい。(ヨシユーキ・トミノ)




