20 突然の勅命
翌朝、侯爵邸に届けられた王室の印が施されている手紙は、真っ先にスチュアート侯爵によって封が切られていた。
「こ、これは・・・!」
現国王とも親しく、王室からの手紙を密かに楽しみにしていた侯爵は、慌てて封筒に書いてある宛先を確認した。そして大量の冷や汗をかいていた。
「侯爵様?どうかなさいましたか?」
使用人たちは今にも倒れそうになっている真っ青な侯爵を、皆困った表情を浮かべて見ているだけだ。
「・・・この封筒の封は、もう元に戻らんのかね?」
「はい?」
「いや、何でもない。これは、どうしたものか。」
余りにじれったいので、しびれを切らしたメイド長が勇気を出して問う。
「それで、陛下はなんと?」
「イザベラ。お前宛に手紙が来ている。」
ドア越しに父親から声を掛けられ、イザベラは寝ぼけながら起きた。わざわざお父様が手紙を持ってくるなんて、余程重要なものなのだろうか。もしかして国王陛下からかしら、と予想しつつドアを開ける。驚いたことに、ドアを開けるとすぐ近くに父の顔があり、間髪なく次の言葉が掛けられた。
「私宛だと勘違いして開封してしまったのだ。・・・すまなかった。」
「大丈夫・・・。お相手はどなたですの?」
「国王陛下だ。」
「やっぱり。それで、なんて書いてあったのですか?」
「・・・お前と結婚したいそうだ。」
イザベラは侯爵の手の中にあった、端の切れている手紙を穴が開くほど何度も読み返した。
・・・何度読んでも、意味が分からなかったが。
翌年、手紙―ではなく正確には勅命なのだが—に書かれていた通り、二人は初めて出会った宮殿で結婚した。




