16 海の守人
「やめてって言ってるでしょ!」
イザベラは自分がこんなに大きい声を出すことができることに驚いた。
声を上げていたからか、海辺にちらほらいた人たちがこちらを見ているのがわかる。
「もう!ほらさっさと手を放して!」
女はイライラしながら焦っているようだった。
イザベラは二人に押されて砂浜から岸辺へ、じりじりと足を踏み込んでいた。
はじめは水がくるぶしの高さだったはずが、腰を超えたあたりで水をかけて反撃しようと考え、女を掴んでいた手を放したところ、もう片方の女に突き落とされた。
(まずい!私泳げないのに…!)
もがけばもがくほど、岸から離れていってしまう。バタバタしていると、女たちの嘲笑う声が突如止み、砂浜を駆ける男の姿と、それとともに怒号のようなものが辺り一帯に響いた。
「くそ、一足遅かったか!」
男は助けようとこちらに向かっているようだったが、その焦っている彼が誰なのかよくわからない。
イザベラは海中で意識を失った。
お祭り騒ぎが遠ざかっていく音は、水中にいても分かる。
フレデリーカは海中奥深くの、自室へと向かっていた。
浅い所で、まだ仲間たちが仲良くおしゃべりしている声も聞こえてくる。
それと同時に、近くから若い女の気配を感じる。
それに続いて、その女へと向かう男の影が一つ…。
(…溺れて死んでるのかしら?どちらかの影が消えてきているわ。)
フレデリーカは仲間たちのもとへ、この珍事件を面白おかしく教えてあげようと泳いでいくと、向かう途中に彼らの姿を発見した。
(!!!これは…。)
フレデリーカは躊躇うことなく瀕死の状態の女を抱きかかえ、人の来ない岸辺へ向かった。




