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497.クロードの第一王妃 1

今日は、休日闇の曜日です。三日前、第一王妃として義妹クノン王女様のお誕生日パーティーを取り仕切るという大仕事も無事に終わり、少しほっとしていました。


まだまだこれからです。夫がザカラン王太従弟に国王の御位を譲位するまでは、第一王妃としてやらなくてはならない仕事がたくさんあります。未熟な私ではありますが、私には夫の妹クノン王女様がついています。彼女はなんと前世の記憶があるらしく、我が王国初の女性国王陛下であらせられたアリアレイア国王陛下の御母上様だったらしいのです。前世では、我が王国の全盛期を築いたフェリオ国王陛下の第一王妃、アリアレイア国王陛下の御生母王太后陛下として合わせて56年もの間ずっと我が王国女性第一位の御位に就かれ、国政に携わったお方だったのです。そして、それは今世もです。17歳の頃からランセル国王陛下の第一王妃として、クノハ国王陛下の時代は前第一王妃として、2ヶ月前に夫が国王に即位するまで我が王国の女性第一位の御位に17年就かれていました。


私なんかとは全く違い、国政に携わる全ての貴族から絶対的な信用と信頼を得ているお方なのです。


そんな凄いお方が我が王国女性第二位の御位に就き、第一位の第一王妃となった私を支えてくれるのですから、これ以上ない後ろ盾が私にはあると言えます。


しかしながら、私も第一王太子妃として三年我が王国女性第二位の地位に就いていましたので、いつまでもクノン王女様に頼ってばかりもいられません。休日と雖も勉強しなくては、と王家の歴史書を見ていた時でした。


「失礼致します。第一王妃陛下、前国王陛下ご夫妻から緊急のお呼び出しです。お急ぎ下さい。そして、これはクノハ前国王陛下からお手紙です。」


『クノンとザカラン王子の婚約を問題なく国民発表出来るような資料を神殿の間会議が始まる前までに作成しなさい。』


クノン王女様とザカラン王子様のご関係も第一王妃となる少し前にお聞きしました。当然国家機密です。お二人は親子ほど年齢が離れていますし、クノン王女様は、離婚なされたばかりです。王太従弟であるザカラン王子様と再婚なんて世間一般的に難しいのではないかと思われます。侍女が持ってきた手紙に驚いて固まってしまいました。


「第一王妃陛下。いかがなさいましたか?陛下?第一王妃陛下?」


侍女に呼ばれてハッとします。固まっている場合ではありません。私は、クロード様と一緒に慌てて御義母上様のところに行きました。


御義母上様は、クロード様にクノン王女様がザカラン王子様との婚約を会議承認するために四大公爵家の当主達に神殿の間会議を開くと連絡するように、私にはメモ書きした資料を用意するようにとおっしゃいました。


未熟な私はこれだけでは何を用意すればいいのか分かりません。私は、御義母上様に何の資料を準備すればいいのか尋ねました。


御義母上様は、呆れたお顔で、『あなたね、第一王妃のクセに、国民が王太従弟のザカラン王子に何を求めているか分からないの?どんな王妃教育を受けたらそんなことが言えるのかしら。』と、そうおっしゃったのです。


怖い。めちゃくちゃ怖い。お義母上様は以前はとても静かなお方でした。ところが、お義母上様が我が王女クララの魔法の先生になった辺りからガラリと変わられたのです。最近になってそれは前世の記憶を取り戻されたからだと知ったのですが、今のお義母上様は怖くて厳しいお方なのです。私はそれ以上何もお聞きすることが出来ませんでした。


自分たちの宮に帰りながら考えます。国民が一番第一王妃に求めることといえば、次世代の五星の子だとは分かってます。が、クノン王女様は五星のお子を得ることが出来ません。なのにザカラン王子様とクノン王女様の御婚約を問題なく発表出来るような資料なんてどう作成すればいいのか全く検討も付きません。


「クロード様、私、どのような資料を作成すればいいのか全く分かりません。」


これは第一王妃としての仕事で、国王であるクロード様にお聞きするのは間違いだと分かっていますが、神殿の間会議まで時間がなく、藁にも縋る思いでそうお聞きしました。


「私もだ。それだけでは母上がどのような資料を求めているのか分からない。妹クノンならば分かるのだろうが、流石に妹本人には聞けない。」


それはその通りです。クロード様も一緒に一生懸命考えてくれましたが、何も思い浮かばないまま会議開始の時間が迫りました。


「時間がない。もうこれまでだ。そなたは早く用意しろ。会議に遅刻しては母上の機嫌がますます悪くなる。

…すまない、第一王妃。私は、国王に即位したが、ザカラン王子が成人するまでの中継ぎ王だ。弱い私はそなたを守れない。私よりも母上の方が上の五星だから。」


クロード様がお義母上様に負けてしまったことは聞いていました。第二王子ハウル殿下のお誕生日パーティーで、ランセル陛下にも勝ったお義母上様が新しい国王陛下になられたことも承知しています。だからこそ、嫁の私は、お義母上様がとても怖いのです。


急ぎ身を清め、正装の準備をしながらもお義母上様の求める資料は何なのかと考えましたが、何の案も出ないまま会議開始時間となりました。



会議中、お義母上様の説明を聞きながら漸く求められてる資料が何なのか、言われて初めて分かりました。何の準備も出来なかった私に激怒した御義母上様は会議室を出て行かれました。


泣いてはいけない。第一王妃の品位に関わる。なのに溢れ出す涙を押さえきれない。上層定例会議の開催は、3、6、9、12の月の13日。次の上層会議は12の月13日で、その二日前が事前上層会議。つまり、後11日しかありません。しかも、第一王妃として立后して初めての上層会議です。御義母上様は言うまでもなく、クノン王女様に慣れ過ぎた上位貴族たちを納得させるような資料作成と説明なんて、私には到底出来るはずがありません。



「もう泣くな。婚約の儀まで一時間もない。母上には、私から言っておく。次の上層会議までに母上を納得させる資料作成なんてクノン以外出来る者なんていないのだ。我が王国の歴史に一番詳しいのはクノンだ。誰もクノンの足元にも及ばない。クノン同等の仕事なんて我等には不可能だ。」



その通りです。情けない義姉ですが、義妹のためにも恥を忍んで御本人にお聞きしよう。

私にはそれしかありませんでした。

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