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492.ウェスターナル公爵メアリー 21

急いで集めた侍女は、私の侍女D、Eの二人と、夫の侍女と息子の侍女のたったの四人でした。息子の侍女が今年から雇った新人侍女だそうです。そして、夫の侍女は、昔からうちにいてお父様、異母兄、今は夫と男性にしか仕えたことのないおばあちゃん侍女でした。湯浴みお手伝いも女性の着替えのお手伝いをしていたのも新人だった頃の遠い昔…。自信がないと言っているではありませんか。…おばあちゃん、私が生まれる前の古い話を…。


ヤバい、ヤバい、ヤバい。会議に間に合わない可能性が出てきました。チラリと私の秘書達を見ましたが、湯浴みや着替えの手伝いは厳しいと首を振ります。


ヤバい、ヤバい、ヤバい。何かあった時に備えるべきだったと反省し、とにかく急ぎ私の侍女二人と、おばあちゃん侍女よりもまだマシな新人侍女に手伝ってもらい、湯浴みをし、身を清めます。


お昼ご飯は諦め、馬車の中で軽食を食べるか、もしくは最悪、正装に着替えながら軽食で、転移魔法で王宮入りになるかも?そうなれば、私は行けますが、侍女達までは連れて行けなくなり、それもこまってしまうと焦ります。


ところが…。


あらまあ?この新人侍女、なかなか手際よく私の侍女二人を手伝っているではありませんか。将来、とても有望ね…。これならばお昼ご飯食べれるかも?若いのになんて優秀な侍女なのかしら。


…ん?


あっ、そういえば…。


「あなた、名前は?」


「キメ・マ・メニーオレと申します。メアリー様。」


やっぱり。メニーオレ男爵家の二星令嬢。分家を含むメニーオレ男爵家は、子だくさん、しかも女性が生まれやすい家系で有名なお家柄です。そして、とても器用で手際もよく、真面目で優秀な王宮侍女を多く排出している家柄としても有名なのです。


自領で育ち、王都が不慣れなメリッサが私の爵位を継ぎ、ウェスターナル公爵として王都に戻った時に困ることのないようになんとしてでもメリッサ付きの侍女にメニーオレ男爵家の令嬢をと、目を付けていた者でした。


本家メニーオレ男爵家には子供が五人。三星第一夫人に三星長女、長男、三女。二星第二夫人に三星次女と二星四女。三星の上の姉兄達は、高等学校卒なのですが、末子二星四女のこの令嬢だけは中等学校卒でした。


ナイス二星、ナイス中等学校卒。


三星、高等学校卒の王宮侍女を引く抜くことは出来ませんが、二星、中等学校卒の王宮見習い侍女ならば我がウェスターナル公爵家の侍女に引き抜くチャンスです。しかも、メリッサと同い年。この令嬢が王宮普通侍女に昇格する前の見習い侍女のうちにと、こっそり引き抜いたのでした。


「ねぇ、キメ、あなたに私の正装を任せても大丈夫かしら?」


「もちろんです。お任せ下さい、メアリー様。正装のお手伝いならば王宮侍女の基本ですから。我がメニーオレ男爵家は分家も含め王宮侍女をたくさん排出している一族として、こと正装に至っては万が一にも不手際のないようにと、幼い頃より一族の女性達から厳しく教育されております。一族の信用と信頼、威信にかかわるからと。」



きましたわ〜〜。



何が何でもこの令嬢をと、カネとコネにモノを言わせ、王宮侍女よりも二倍以上高い給金を支払って引き抜いた私の先見の明が花開きました。まぁ、血筋から間違いないと思ったからとも言いますが…。


「メアリー様。正装の品位を崩さない程度のアレンジを加えてもよろしいでしょうか?」


「ええ、いいわよ。あなたに任せるわ。」


衣装選びも、着付け、ヘアメイク、お化粧に至るまで全て完璧。特にヘアメイクなんて、出来上がりがとても素敵です。お化粧もイマドキの子のセンスらしく、いつもの私の侍女Aとは全く違います。


『あらまぁ。若い侍女もいいわねぇ~。』


正装なんて、お洒落とは無縁だと思っていた私には目からウロコです。流石、メニーオレ男爵家の令嬢。私は、この新人侍女を息子サダドックではなく私の侍女にすることにしました。


私の侍女Aは、引退してもおかしくない年齢なのですが、子どもの頃からほぼ全てを彼女に任せ、頼りにしていたので、なかなか手放せないでいたのです。今回、侍女Aに与えた休日も本当に久しぶりのことでした。


ああ、これで漸く侍女Aに楽をさせてあげれる。


『キメ、私の侍女Aの後釜はあなたにキメたわ~~。』

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