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490.彼女のこたえ SIDE:クノン 5

「あっ、しまった。」


フィアレアラの女性用の服は、ザカラン王子になった途端にピチピチに。そして、生地の破ける鈍い音が聞こえた。慌てて再びフィアレアラに戻ったものの、時既に遅し。


「痛っつ。ううっ。」


ショックで固まるフィアレアラ。泣いていた私は思わず目を見開いて彼女を見た。


「…。大丈夫ですか?フィアレアラ。」


「…。はい、大丈夫です。」


恥ずかしいのかフィアレアラは真っ赤だ。


「ええっ、っと、もしかして、もう一度ザカラン王子にプロポーズしてもらえるところだったと自惚れても大丈夫ですか?」


「…。はい、大丈夫です。」



お互いに見つめ合い、そして大笑いする。久しぶりにお腹痛くなるくらいに笑った。そして、泣き腫らした私の目を彼女は優しく癒やしてくれた。彼女の魔力から彼女の気持ちが伝わってくる。『愛してる』と。


「クノンの目は治りましたが、私の服は直りません。」


そう言って苦笑いするフィアレアラ。


「着替えてきますか?ここにはフィアレアラの服はありませんから。フィアレアラは背が高いので私の服ではサイズも合いませんし。」


「着替えに帰るつもりはありません。どうせ今から服なんて必要なくなりますから。クノンの服もです。」


私を抱き上げ、ベッドに運ぶフィアレアラ。


「クノン、愛してます。私の…、私のクノン…。クノンの全てが欲しい。」


「うん。フィアレアラ…。」


彼女の愛がいつもより強い。愛する彼女に激しく求められ、私の身体は、彼女への愛が溢れ出す。


『愛してる、愛してる、愛してる。』


ああ、私…。


私は、フィアレアラを愛さずにはいられない。彼女が何人妃を迎えようが構わない。フィアレアラも私を愛してくれている。私はフィアレアラに愛されているからこその、ザカラン王子の称第一王妃と言ってくれたのだ。

魔力が全てのこの世界で、その頂点に立つお方の妃なのだから、複数の女性達がいないと、とても彼女をささえきれない。前世からそんなことは承知の上だった。前世のフィオナ様はたくさんいる妃のうちで私だけを特別に想ってくれていた。それで十分だったではないか。今世のフィアレアラも私を特別に想ってくれている。ザカラン王子の婚約話が進まないのは私のためだと分かっている。私が称第一王妃になることを了承した後でなければ、ザカラン王子は、他の女性を婚約者に選ばないと。

だったら、迷っていては我が王国の将来のタメに良くない。私が離婚するまでは、と十分彼を待たせてしまったのだから。



彼女の腕の中で彼女の温もりに包まれ、心地よく微睡む。


「あなたがフィオナの妃だと分かった時でした。『私の『レアラ』が帰ってきたと思ってもいいですか?私のフィオナ様が戻ってきたと思っていいですか?愛してますわ。『レアラ』『フィオナ様』。あの頃と同じで。愛してる、愛してる、愛してる』と、あなたはそう言って私を抱きしめました。他人にそんなことを言われた経験のない私は、その瞬間、あなたにノックアウトでした。フィオナもエリザベートも私ですから、自分自身に隠し事なんて出来ません。フィオナは私と融合すれば私がどう行動するのか分かっていた。私はあなたをこうして愛するだろうと。

クノン…。私のクノン。愛してます。クノン。愛してる…。」


夢見心地にフィアレアラがそう言ってくれるのを聞いて、凄く嬉しい。私もフィアレアラを愛してると言ったか言わなかったか、私は温かい彼女の腕の中でそのまま眠ってしまい、以降の記憶はない。フィアレアラは朝までずっと私を抱きしめていた。




そして、翌日。フィアレアラは改めてザカラン王子の姿で私にプロポーズしてくれた。私達は、すぐに私の両親のところに婚約許可のお願いに行ったのだった。

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