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478.彼女のこたえ 1

今年九の月末、予定通り国王クノハは譲位し、王太子クロードが国王として即位した。国王クロードは、法に定められた通り一番強い魔力を持つ王族王子従弟ザカランを己の王太従弟に指名した。


ぼくは、ついにこの王国の国王になるための地位を手に入れてたのだ。


クノンは、ランセルと正式に離婚したが、第一王妃、前第一王妃として王国国権第一位の女性として長年国政に携わった実績から、そのまま国権第二位の王妹殿下として国王クロードの第一王妃を支え、引き続き国政を担うことになった。


…つまり、クノンがいるからこその我が王国の国政なのだ。


ぼくもクノンに任せっぱなしだ。王族当主就任披露パーティーも今回の即位戴冠式典も立王太従弟式典も、取り仕切ってくれたのは全部クノンだ。クノンがぼくの側にいてくれないと、まだ高等学校一年生の学生のぼくは、何をどうすればいいのか全く分からない状態だ。


前世も今世も、彼女のいない人生が想像出来ない。彼女が支えてくれるからこそのフィオナとフェリオだった。ぼくがフィオナの呪詛を受け入れ、王国に行く決心をしたのも、彼女が前世の娘クレアと一緒に王国を守っているからだ。


彼女の誕生日の少し前の闇の曜日にザカランのために時間を作って欲しいと約束する。ぼくは、ザカランの姿で今世の彼女の父方の実家公爵家であるノーストキタに連れて行くことにした。




フィアレアラと違って普通の五星のぼくは一気にノーストキタまで行くことが出来ない。転移魔法を繰り返し、ノーストキタ北限孤児院まで行く。



「おはようございます。ザカラン王太従弟殿下、クノン王妹殿下。お待ちしておりました。」


ノーストキタの11の月は、雪に閉ざされた真冬だ。しかもここはノーストキタの中でも北限。玄関は完全に閉ざされ、出入りは出来ない。故に、事前に連絡し、院長室に直接転移した。


「えっ?北限孤児院?おはようございます、院長。ごめんなさい、私、ザカラン王太従弟から何の説明も聞いてなくて…。」


彼女に睨まれてしまった…。ここに来るならば色々と準備があったと言いたいのだろう。だが、ぼくには言えなかった理由がある。


「申し訳ありません。事前に説明すべきとは思ったのですが、出来なかったのです。それは後ほどに。

院長、ぼくのことは、『F』で。子供達のところに案内を頼む。」


子供達のいる場所は食堂だ。院長が何故みんな食堂にいるのか説明してくれる。それは、食堂が一番暖かいからだ。


北限孤児院は盛夏でも肌寒い。長い冬に備えて院は頑丈に冷気を遮断するように造られている。しかしそのために、通気がとても悪い。ノーストキタの一般家庭では、冬を暖かい地下室で過ごすのだが、ここの地下室は換気が悪過ぎて長く過ごせない。故に、食事の準備で火を使う食堂が換気もよく暖かいのだ。孤児も職員もほぼ食堂で1日を過ごしているそうなのだ。


「わぁー。ノン様とFくん様だ。」


珍しい来客に子供達が集まってくる。昨年の大事件の後、クノンもぼくもとても忙しく、ノーストキタでボランティアをする余裕がなかった。今年に入ってからは全くない。この孤児院にきたのもニ年前の夏に一度だけ。なのにみんなぼくらを覚えていてくれた。


「凄い。Fくん様。大きい〜。凄い背が高くなってる。いいなぁ~。ぼくもFくん様みたいにデカくなりたい。」


ははっ。確かに。ニ年前のぼくはまだ中等学校ニ年生だった。後1ヶ月少しで高校学校ニ年生になるぼくの身長は、毎月のように伸び、既に180cm近くある。


デカいぼくに女の子達は全く近付いてこない。くるのは男の子だけだ。女の子はみんなクノンの近くに集まっている。


「ごめんなさい。私、ここに来ることを何も聞いてなくて…。なにかお土産があればいいのだけど、私、何も持ってなくて。」


クノンが申し訳なさそうにそう言っている。ぼくは、クノンの側に行き、お土産ならば、ぼくが持って来ていると言う。


「女の子達は、クノンと朝のオヤツ作りのお手伝いをお願いできるかな?今日のオヤツは、ホットケーキだよ。クノンは料理が上手なんだ。」


クノンに、ホットケーキの材料を渡す。ノーストキタの北限であるここでは新鮮な卵や牛乳はめったに食べれない。ましてや今は冬籠り中だ。冬籠り中にこの北限孤児院に来れるのはノーストキタ公爵家でも当主の家系五星だけ。クノンの従兄ノーストキタ公爵の嫡男が月に一度だけ支援物資をここに運んでいるのだ。


子供達から歓喜の声があがった。


「残った材料は、普段の食事に使ったらいい。牛乳はホットミルクにすれば体が温まるよ。蜂蜜もたくさんあるからね。」


男の子達からも歓喜の声があがる。


「男の子達は、食糧庫に野菜を運んでくれるかな?それが終われば、今日は、おもちゃ作りだ。」


子供達から大きな歓声があがる。みんな満面の笑顔だ。収納魔法で仕舞ってあった野菜と木材を取り出し、年下の男の子達に野菜運びを任せ、年上の男の子達と木材を食堂の隅に運ぶ。


事前に見本で作ったおもちゃを子供達に見せる。簡単なブロック積み木とスロープトイだ。作り方を教えている間に、年下の男の子達が野菜運びを終わらせ、戻ってきた。そして、ぼくの作ったおもちゃで遊び始める。


「けんかしないように仲良く遊ぶんだよ。女の子も一緒にね。ノコギリは危ないから、小さな子はノコギリを使っている年上の男の子達に近いたらいけないよ。切った木はヤスリで削って怪我しないように気をつけて。」


と、すぐにクノンと女の子達の作るホットケーキが出来始める。


「温かいうちの方が美味しいから小さな子達から食べるといい。」


小さな子達から順番に食べ始める。ニコニコの笑顔で美味しそうに食べる子供達が可愛い。

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