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【ネタバレ有り】《 永遠のアリスフィーナ劇場:1 》

【 take1 】


 クワイアが正面に向き直ると、アリスフィーナが呼んでいた方向から、大勢の男達が歩いてくるのを見留めた。


 それは、歴代エルベリオンの皇帝達であった。クワイアには何故か解った。


 不思議な光景だった。

 アリスフィーナがかつて出会った、二十余名の皇帝達――



 アウレリウス

「アリスの尻はいいぞ!」ポン


 アルバート

「アリスの尻は最高だ!」ポン


 ヒルデブランド

「アリスの尻は大陸一だ!」ポン


 ジーフリト

「もちっりしてて……こう、ふわっふわで!」ポン


 コンラッド

「あの尻マジヤバイ、マジパネェ!」ポン


 マキシミリアン

「ぷりんぷりんの、ぽよんぽよん!」ポン


 ヴォルンガング

「桃尻天国!」ポン


 フリードリヒ

「ずっと、あの尻に挟まれて死にたいと思っていました!」ポン


 アインバッハ

「《 永遠のアリスフィーナ(尻)》に、タイトル変えよう!」ポン


 ナイトハルト

「HIPのYOU!」ポン


 そして、レオンハルト――

「正直、辛抱たまランチ!」ポン


「カーーーット!!11 モゥッ! アンタら、私の尻コメントばっかりやんけ!」


 片手に持った黄色いメガホンで、皇帝達の頭をはたくアリスフィーナ。


「あのー! 監督! 俺を含め、名前が出てない奴等がいるんですけどぉ!?」


「ああっっ! ごめんなさい! 尺の都合でカットです!」


『えええええええええええええええ!!!』


「ふっ……そうやって、俺にわざと隙を作って、愛い奴よ……」ナデリナデリ


『あーっ! レオンハルト! テメェ!』


「あン♥♥♥」


 クワイア

「(退位しよ……)」


 こうして「take2」は、音声がカットされたのである。



おしまい


=====================================


【 りくるーと 】


「カイゼル君。ちょっといいかい? こないだの旅で言ってた『大公府勤務』の件、なんだが……」


「はい。既に手配済みです。後は、ブレナハン陛下の承認待ちです」


「(仕事が早い……)」


「何か、気になる点でも? 多分、給金は良いですよ」


「いあ、その、一体どんな仕事をするのかと……」


「ああ、そう云えば、説明をしていませんでしたね」


「うむ……私にできる事であればよいのだが……」


「レナードなら大丈夫ですよ。私が保証します」


「(『その保証』が不安なんだよ……)」


「役職は『ジークルーネ大公府:大公付き業務執行管理官』です」


「なんだか難しそうな名称なんだが……」


「業務自体は簡単ですよ。決裁書や、閣議書、要望書等の確認です」


「書類仕事か? できなくは無いが、その程度、誰でもよいのでは?」


「誰でも、はダメです。まず『母上の事を識っている』が、最低条件です」


「???」


「母上の、大公府での主な業務は、回ってくる書類に、サインと印章を捺印する事です。それ以外は、やりません」


「ん……? と、言うと……本当に『サインと印章を押す』だけ?」


「はい。書類の内容等は、一切確認しません。『書いて』『押す』だけです。ちなみに、それを自動化する魔導術も、何百年も前に開発済みです」


「……危なくないか? それ……」


「はい。とても危険です。なので、レナードの仕事は、母上が処理する書類の事前・事後確認です」


「さっきの仰々しい肩書って……」


「大公付き(母上の)、業務執行(仕事で、ヘマをやらかさないか、怠けないか)、管理(尻拭いする)、官(人)です」


「……………………」


「簡潔に言うと、母上のお守です。書類内容に不審点等あれば、調査もします」


「大変なのでは……」


「まあ、そこそこには。私も時々、無償で手伝っていましたから……」


「カイゼル君が産まれる前は、どうやっていたんだ……?」


「母上が大公になって、700年経ちますからね。様々な方々が、涙を呑んできたかと」


「今から、他の現場にならない?」


「なりません」


「職業選択の自由は?」


「ありません」


「ラーナと引っ越そうかな……」


「前にも言いましたが、母上から逃げられる者など、この地上には、誰一人として存在しません」


「……………………」


この三日後、レナードは王宮から、ジークルーネ大公府へ「出向」という形で転属になった。



おしまい


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