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全世界、統合アップデートのお知らせ

第18話への評価、ありがとうございます! 重力を10分の1にするという「世界規模のイベント」を経て、人類の価値観は一変しました。 「国境を守るために争うのが馬鹿らしい」「アレンの国こそが理想郷だ」 そんな空気が世界を支配する中、アレンは仕上げの作業に入ります。 物理的な侵略ではなく、世界の「定義」そのものを書き換える。 ついに、国境という概念がこの世から消滅します。

「重力お休みの日」から一夜明け、世界が再び元の重さに戻った時。  各国の王や指導者たちは、自分たちの権威がもはや「砂上の楼閣」であることに気づき、戦慄していた。  民衆はもはや王の命令を聞かず、空から見たあの「白亜の都市」への移住を夢見て歌を歌っている。


「アレン様、各国から緊急の親書が届いています。『我が国の主権を認めてほしい』『経済援助を頼む』……要するに、みんな必死で自分の椅子にしがみつこうとしているようです」


 リィンが呆れたように、山積みの手紙(概念データ)をアレンに提示する。  アレンはそれを一瞥もせず、運営から与えられた黄金のコンソールに向かって、最後の大仕事を開始した。


「リィン、椅子なんてものは、座る人間がいなくなればただの粗大ゴミだ。……僕はこれから、世界という巨大なシステムの『パーティション』を削除する」


「パーティションを……削除?」


「そう。国境なんていう『仕切り』があるから、データの転送(物流)が滞り、権力のバグが居座る。……世界を一つの『ストレージ』に統合するんだ」


 アレンがキーを叩く。  彼の指先から放たれた光の波が、エディット・ネーションから同心円状に広がり、大地を、海を、そして人々の認識を上書きしていく。


【グローバル・エディット:システム統合(OS Merge)】 →処理:全国家の『国境』という概念をデリート。 →処理:全人類の所属を『エディット・ネーション:世界支部』に書き換え。 →追加:全言語の自動同期、および共通通貨の概念付与。


 その瞬間。  王国と帝国の間に引かれていた高い壁が、霧のように消え去った。  衛兵たちは自分が何を守っていたのかを忘れ、隣国の民と顔を見合わせ、「……あ、僕たち、同じ『アレンの国の住人』なんだ」という確信を抱く。


 王宮では、王冠がただの「重い帽子」に、玉座が「座り心地の悪い椅子」へと定義変更デバッグされた。  かつての支配者たちは、自分がただの「一市民」になったことを理解し、腰を抜かす。


『……世界中の皆さん。アップデートが完了したよ』


 アレンの声が、全人類の脳内に直接響く。


『今日から、この星に「他国」は存在しない。君たちがどこに住んでいようと、そこは僕の国の領土だ。……つまり、僕が設定した「最低生活保証」と「絶対平和」の概念が、今日から君たちの街にも適用されるってことだ』


 各地で巻き起こる、地鳴りのような大歓声。  戦争、貧困、不平等。  それらの「不具合」は、アレンという管理者の手によって、一つの大きなパッチで一掃された。


「……これでようやく、僕もゆっくり休みが取れそうだ。……リィン、イヴ。今夜は祝杯を挙げよう。あ、ワインの熟成期間を『100年』に設定しておいてくれるかな?」


 一人の追放された鑑定士が、世界そのものを「自分の家」に書き換えた瞬間だった。

第19話をお読みいただきありがとうございました! ついに世界統一。武力による制圧ではなく、システムレベルの「統合」という、アレンらしい平和(?)な解決策でした。


次回、最終回。 全てを手に入れ、世界を最適化したアレン。 彼が最後に「鑑定」し、「エディット」するのは——。


「……あ、自分の『職業』を書き換えるのを忘れてた。鑑定士(ゴミ拾い)じゃなくて、えーと……『ただの居眠り好き』でいいか」


次回、最終話**「エディット・ネーション:世界の終わり、そして始まり」**。 お楽しみに!

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