第88話 迷路
次の階層は迷路になっていた。
突然、先頭を歩いていたクラスメイトが落とし穴に落ちる。
そばに居た別のクラスメイトが手を差し伸べて事なきを得たが、ここは罠が盛り沢山なのだろう。
黒谷さんの罠解除アンデッド『スケルクロウ』の出番だな。
ここは、宝物庫で手に入れたアイテムも装備させてやろう。
まずは『盗賊神の鍵』。
盗んだ神貨を溶かして作られたという鍵は見る角度によって様々な色合いを見せる。
どんな鍵も解除できるらしい。
お次は『技巧神の手袋』。
一見汚い軍手に見えるが、装備した者の器用さを大幅に引き上げるとの事。
お次は『技巧神のノギス』。
装備するとナノ単位の大きさが知覚できるらしい。
お次は『盗賊神の眼鏡』。
罠のある場所が見えると説明書きに。
装備はこんな所だな。
スケルクロウが慎重に進む。
カチリと音がした。
駄目じゃん罠にかかってる。
幻影の美女が現れてスケルクロウを誘惑する。
うっ、くらくらする。
「波久礼君、見たら駄目」
小前田が手で目隠しする。
手が外れたら、美女はいなくなってた。
当然アンデッドには効果がない。
これが分かっていたから罠を踏んだのかな。
罠は順調に解除されて俺達は迷路を進んでいた。
一瞬こんな事をしなくと壁を壊して最短距離で突破しようかとも思ったが、なんとなく嫌な予感がするんだよな。
予感には従っておこう。
またカチリと音がした。
今度はどんな罠だ。
虫が大量に出てくる罠だった。
スケルクロウが虫に包まれる。
人間だったら肉を食われているところなんだろうな。
「もう虫嫌い」
小前田が殺虫剤を掛けて虫を退治した。
嫌いと言いながら、スケルクロウの張り付いた虫を剥がしている。
スケルクロウはなぜか嬉しそう。
なんか骨の輝きが違う。
虫に汚れを食ってもらってピカピカになったのか。
だからわざとスイッチを踏んだのか。
こいつ、ピラニアに掃除屋をさせるような真似しやがって。
骨もかみ砕く虫だったらどうするんだ。
こうなるとこいつ美女の幻影も楽しんだな。
俺達は進んで行き、スケルクロウはまたしてもスイッチを踏んだ。
ガスがスケルクロウを包む。
毒だけどアンデッドには効かないという落ちなのか。
「くぅ」
隣をみるとガスの余波で小前田が眠りこけている。
催眠ガスか。
スケルクロウは残念そう。
ああ、きっとこいつは寝たかったんだな。
眠れないのが辛いのは分かるが。
よりによってトラップを踏むことはないだろう。
「おい起きろ」
「あと5分」
「仕方ないな」
余波を食らった小前田とクラスメイトを小前田特製の目覚まし薬で起床させた。
「臭い。何この匂い」
「目覚まし薬だよ。文句なら小前田に言え」
少し進むとまたスケルクロウがスイッチを踏む。
黒い霧がスケルクロウを包む。
「これは危険。危ない離れて」
和銅さんが警告を発する。
みんな大げさにガスから離れた。
なんとスケルクロウの色が白から赤に。
何がしたいんだこいつ。
着替えたかったのか。
そうではないらしい。
ネクロマンサーの黒谷さんによれば進化したとのこと。
黒い霧は人間をアンデッドに変えるものらしい。
誰も余波を食らわなくよかった。
まったく、後先考えずトラップを踏みやがって。
罠解除は進むがまたスケルクロウがスイッチを踏む。
今度はスケルトンが現れた。
黒谷さんがさっそくテイムした。
スケルクロウはぴょんぴょん飛び跳ねてうれしそうだ。
ああ、仲間が欲しかったんだな。
スケルトンならそこら中にいるだろう。
何もここで調達しなくても。
またスケルクロウがスイッチを踏む。
今度はなんだ。
スケルクロウが光沢を帯びる。
黒谷さんに聞いてみると、金属化の呪いを浴びたらしい。
メタルスケルトンになったらしい。
もうちょっと真面目にやれと言いたい。
金属化は石化と同じで状態異常だから、女神の涙で解けると思うけど、だからと言って踏むなよ。
そして、とうとう俺達は迷路を抜けた。
変なスイッチは踏んだが危険なのは解除できた。
だけど、スケルクロウは今一つ信用できないんだよな。




