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第89話 ごにょごにょ

 俺達は次の階層に足を踏み入れた。

 やはり階段から上がると扉があった。

 だが、扉が今までの木とは違って鉄の扉だ。

 嫌な予感がするが踏み込まない事には進めない。

 ボスが居るのはこの上の階だと『アミオンの目』で分かっている。


「行くわよ、みんな」


 桜沢さんの号令の下、俺達は扉を開けて入り込んだ。

 やっぱり全員入ると扉が閉まる。


 そしてあらゆる方向から鉄球が襲ってきた。

 スキル、魔法、レベルアップの恩恵も期待できないんだろうな。

 前衛職で盾を持っている者は後衛職や生産職を庇う。

 スキルを駄目元で発動させようとする者もいたが不発に終わった。


 飛び道具で最初攻めるってのは定番だから、こういう時用に用意していた物がある。

 『処女のごょにょごょにょ入りお守り』だ。

 胡散臭い神官が売っていたのを買い占めた。

 説明書きによれば無敵だそうだ。

 できれば使いたくなかった。


 スキルが掛かったから『処女のごょにょごょにょ』の部分は偽物ではないんだろうけど、説明はしない方が良いだろう。


「みんな無敵になれるお守りがある。使って」


 俺はお守りを配った。


「俺が試しに鉄球を受けてみるよ」


 鉄球を腹筋で受け止める。

 ゴンと鈍い音がして鉄球が止まり、俺は後ずさった。


「平気なの?」


 心配そうな御花畑(おはなばたけ)の声。

 成功だ。


「平気だよ。痛くも痒くもない」


 それからは俺達は鉄球を無視して進む事にした。


 このお守り無敵なんだけど体重はいかんともしがたい。

 鉄球に当たると飛ばされる。

 正面から連続してくると一歩も前に進めない。

 歩いている時に後ろから当てられるとつんのめる。


 俺はなんか無性に腹がたった。

 クラスメイトはどれだけの時間よけられるか競争する者や、当たった時のリアクションを楽しむ者がいて前向きだ。

 そうだよな、笑っていなきゃやってられない。

 進むにつれ鉄球の速度は加速していく。


 一歩進んで二歩下がるなんてのが、日常茶飯事になったが、俺達はなんとか階を抜けられた。


「これ凄い効果だよね。普段使いしたいのだけど。どうなの」


 と桜沢さん。


「回収したい」


 冷や汗が出たような気がした。


「なんで」

「いやなんというか、その、えっと」

「煮え切らないわね」


「分かった材料が特殊なんでしょ」


 こういう時だけするどい御花畑(おはなばたけ)が言った。

 やめろそこには触れるな。


「分解してみようかなっと」

「私も見たいな」


 小前田(おまえだ)まで話に加わってきた。


「やめろ、俺の尊厳が掛かっている」

「そう言われるとよけいに見たいな。見ちゃおうっと」


 御花畑(おはなばたけ)はお守りの中を覗き込む。


「えっ。ほつれた糸……違う」


 御花畑(おはなばたけ)は顔を真っ赤にしてお守りを閉じた。


「なになに。何があったの未依子(みいこ)ちゃん」

「頼むから話を広げないでくれ」


「これって誰の?」


 俺に御花畑(おはなばたけ)が耳打ちした。


「安心しろ買ったんだよ」

「でも、きっとみんなの心に疑惑が芽生えるわ。疑われたら恥ずかしくて死にそうになる。お守りは返す。絶対処分して。皆も返して。お! ね! が! い!」


 不思議がっていたが御花畑(おはなばたけ)の異様な迫力に負けて全員がお守りを俺に返した。

 良かった被害は最小限だ。

 御花畑(おはなばたけ)には後できつく口止めしとかないと。

 ところでどうやって処分しよう。


 無敵だから、燃やせる気もしないし。

 土に埋めると後で誰かが掘り出してとか考えると物騒だ。

 アイテム鞄に入れておくのも怖い。

 何かの拍子に間違って出してしまって、お守りの中身を見られたら、変態扱いされてしまう。

 ハブられるのはつらい。


 物体を消滅させる道具の神話とかないかな。

 無敵とどっちが強いだろう。

 矛盾の話になってきたぞ。


 そうだ。

 鉄で固めよう。

 太陽の欠片を出してお守りを鉄で固める。

 これなら暴かれる危険はない。

 アイテム鞄に入れておいても良いな。


「いいか、御花畑(おはなばたけ)。お守りの中身は絶対に秘密だ。そうだあれは名状しがたきもの」

「san値が削られそうね。確かにばれたら、san値じゃ済まないかも」

「だよな。中身について聞かれたら、名状しがたきものでよろしく」

「ええ、そうしましょ」


 名誉は守られた。

 命に代えられないっていう声が出そうだが、前回では彼女達に助けられた。

 その彼女達に変態の汚名を着せられて、白い目でみられるぐらいなら、死ぬ事の1回や2回は怖くない。


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