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第82話 十魔将最後の一人

Side:十魔将最後の一人

 わしは十魔将最後の一人、思えば随分と寂しくなったものだ。

 ここは仮の拠点。

 廃城を改造した。

 みすぼらしいが荒れ果てた感じが敗退的で、魔族の感性にぴったりとくる。

 欲を言えば血の色と骨が足りんな。


 早く人間の血と骨で飾り付けたい物だ。

 来訪者共が攻めて来るからその願いもほどなく叶うだろう。


 魔王様から送られてきた参謀役のインプに声を掛ける。

 インプは子供ほどの背丈で、顔は邪悪に歪んでいる。

 顔はモンスターらしくて良いが、どうも気に入らん。


 こやつは非力だ。

 翼があって空を飛べる意外に能が無い。

 わしなら一捻りにできる。


 力なくしてなんの魔王軍か。

 モンスターは力こそ全てよ。


「でどうなんだ。作戦は上手くいきそうか。わしはお前を信用しとらん。他の十魔将がなぜ討ち取られたのか試しに敗因を言ってみろ」

「エルダーバンパイヤのカタリーヌ様はあれですな。油断しすぎです。自分の討伐の依頼を出したのに罠を周到に用意しないのが悪い」


 エルダーバンパイヤのカタリーヌは偽商品を売りつけ資金獲得と負の感情いわゆる悪念を集める為に活動していた。

 偽商品を扱う者が偽勇者に討ち取られるとは笑い話にもならない。

 こやつのいう事にも一理ある商売の作戦だけ地道にこなしておけば良いものを。


「ティノタリウスの敗因は」

「ジャイアントのティノタリウス様ですか。ダンジョンの罠は研究されつくされてます。上位バージョンを作っても突破されるのは必然でしょう」


 たしかティノタリウスはダンジョンで悪念を集める仕事をしていた。

 きゃつは良い奴だったのだがな。

 でかい図体をしていたからおつむの方が少しな。

 そこを突かれたのだろう。


「ウガタはどうか」

「ジェネラルリザードマンのウガタ様ですか。お世辞にも隠密にたけた方とは言えません。無理があったのでは」


 火に弱いリザードマンの癖に爆発物なんか扱うからそういう目に会うんだ。

 男なら腕っ節でなんとかせんとな

 確かに隠密行動にたけているとは言えないな。


「ギャガガの奴は」

「ゴブリンキングのギャガガ様ですか。数を揃えた所は評価できます。しかし、少数に本陣を奇襲されるなどなってません」


 所詮数に頼る臆病者よ。

 群れるモンスターは弱いモンスターだ。


「マクロンの奴は聞かなくても分かる。でも一応聞いておこう」

「ハイドッペルゲンガーのマクロン様ですか。領主の妻を殺したのですから、領主も殺してなり代わってしまえば良かったのです」


 人間に化けて暗殺したり謀をしたりするからそういう事になる。

 確かに領主の妻を殺したなら夫も殺し、領民を皆殺しにするぐらいの気概を見せんとな。


「ヤミーもな。なんとなく分かる」

「シャドウアサシンのヤミー様は変装に自信があったようですが、勇者の嗅覚を舐めすぎです。他のモンスターも討ち取られているのに自分だけは上手くいくと考えるからいけないのです」


 ヤミーも馬鹿な女だ。

 色仕掛けで勇者を油断させて討ち取ろうなどと考えるから、逆にやられるんだ。


「ユキャリは俺でも分かる間抜けだったからだ」

「領主に反乱を起こさせて人間を殺すのは迂遠すぎます」


 そうだな、わしと同じ種族だとは思えん。

 趣味でスライムなど飼っとるからいけないのだ。

 確かに迂遠すぎる。


「ホワカスは情けないな。薬草一つ満足に枯らせないとは」

「エビルスモッグのホワカス様ですか。攻撃が邪気しかないのがいけません。複数の攻撃手段を用意しておくべきです」


 そうだな、近接と魔法の両方が出来ないとな。


「ゲーラシンはタフな奴だったがな」

「ええ、でもハイシャドウデーモンのゲーラシン様は弱点をお持ちです。それを克服する手段を開発しておきませんと」


 人間に不死身の影魔なんて呼ばれて良い気になっているからだ。


「分かった。お前のいう事にも一理ある。作戦を任そう」


 わしは魔王様が産まれてから容姿が似ているという事で影武者を勤めてきた。

 そのため前線に出る事は無かったがいよいよわしの番か。

 倒された同僚には悪いが血が滾るというものだ。


「では、王女をさらってもらいます。助けに来た勇者をこちらに有利なフィールドに誘い込むのです」

「では、それを楽しみに待とう」


 わしは、人間の血で満たされたゴブレットを飲み干した。

 最後のお務めだと思ってなんとしてでも勇者を葬り去る。

 たとえ差し違えたとしてもだ。

 その為には誘拐なんていう姑息な作戦にも目を瞑ろう。


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