過去編~前世物語~
お待たせしました。今回は回想なので天気などはございません。
自分の名前は小野原麻美。こんな名前だけどれっきとした男だ。なぜこの名前かといえば出生届をこっちが産まれる直前に父親が役所にだしたのだ。
まあ出生前診断で医師が「女の子ですね。」と判断ミスしたから。まあそれで受理する役所も役所で、結果的にこの名前になった。それに…父親のやつ、「昔の人は美がつく男もいたから気にするな。」と逆ギレしてきた。
そういう問題じゃないんたけどな。母も母で「いまさら変えられないからこのままでいきましょ」と、楽観的。駄目だこりゃ。
(まあ親はこう言わざるえないから致し方がない。気にしないようにしよう。)
そういう落ち着いた口調の中山君。こちらは諦め半分開き直り半分と言ったところか。まあ実際のところわたしも中山君と同意見。まあわたしと中山君は同一人物だからと言うのもあるけど。
小学校のころはそうでもなかったが中学時代、高校時代は帰宅部だったからか、さらには身長165cm52kgと、声変わりなしの童顔というのも手伝い、周囲からまわりに馬鹿にされていた。
思えば女の名前に男という性別のギャップが思春期の男たちに刺さったんではないか、と、いまさら思う。母親似で髪の毛を伸ばせば、女っぽく見えるかもしれないけど当時のわたしは男の娘という概念は聞いてはいたが、自分自身がなるつもりはなかった。だって女装なんか気味が悪いもの。
だから丸刈りにしていた。それに視力もあんまりよくなかったので眼鏡もかけていて。いわゆる風貌だけはかっこよく決めていこうと思った。
だが、現実は厳しい。高校まで彼女をできることすらななかった。
高校卒業後大学に行かず、親元を離れ独り暮らしを始めた。そのまま就職活動をしていたものの、名前だけのせいだけではないだろうが、うまくいかなかったので日雇いで食いつなぐことにした。いまさら親のところに戻るのもアレだったし。何よりも自由に生きたかった。
だが日雇いをやってて思うのは、日雇いを紹介する会社は嘘つきだし、それに働く周りの人たちも変わっている人が多い。それでわたしは徐々に人を信用しにくくなってきていたんだろう。
だが、転機は訪れる。
「小野原さん、よくやるね。どう?うちに来る?」
日雇いで食いつないでいるときに気に入った職場に連続で入ってるときに上長にスカウトされた。
「自分で良いんですか?」
と、当時のわたし。確かにその時は日雇いだけではそろそろしんどく感じてきたので、嬉しい誘いだった。
だから素直に引き受けたのだ。
スカウトされていた会社は物流の大手の会社クロトラ運輸。色んな子会社を持っているか、最大の事業が、個人の宅地配達であった。
だが当時は車の免許を持っていなかったため、アルバイトとしての採用だったが、固定の仕事に有り付けただけでもありがたかった。また、アルバイトは給料は安いからか、日雇いを続けられるというところもよかった。
幸か不幸か、体力に自信がまあまああったため、日雇いを続けて、気が付けば10年で貯金が1000万以上貯まっていた。さらに半年前に車の免許も取得し、35歳ではあるが社員登用のステップを登ろうとしていた。日雇いを終え、疲れた身体を癒やそうと夜に就寝した。
「あれ?ここはどこだ?」
自分の住んでいるボロアパート綺麗な白い天井。灯りがないのに明るい。眩しさは感じないが、なんかの違和感。そう、まるで夢の中なのに夢ということにが気づいてる。そんな感じで目が覚めた。
起き上がると、寝るときに着ていた寝巻きと同じ、白のTシャツに紺色のジャージ。
「おお、目が覚めたようじゃの、若いの。」
聞き慣れない声にあたりを見渡す。目の前には、頭に輪っかを浮かべているあからさまに神様ですよ、という風貌をしたおじいさんがいた。




