過去編~カレーに挑戦~
邪馬2651年 3月13日 晴れ。ただし雲の量やや多め 13:41
カレーが出てくるまでの間、わたしはこの定食屋をお冷を飲みながら見渡していた。
築何年かわからないが、まあまあ古い建物。1本つなぎの蛍光灯が3つに、白い壁肌。
テーブル席やカウンター席は年季が入っているのか黒っぽい茶色の木の机で、四人分のテーブルが四人が座れるのが5台あり、カウンター席は8席あるため、事実上28人ぐらいが居座れそうな感じである。
椅子はカウンター席は普通の丸椅子だが、テーブル席は木の普通に腰かけ椅子でできていた。座り心地は悪くはないと思う。
客層は犬だが、狼だがわからないが、それの灰色のジャケットを着た赤ネクタイのサラリーマン風の人に、若いカップルやら、頭の薄い眼鏡をかけたおじさんや、漫画を読んでいる学生服を着ていた黒の学ランを着た眼鏡の男子学生がいた。
一通り観察し終わると同時に、店長から
「へい、がきんちょ。野菜カレーだ。ついでに味噌汁はサービスだから。」
と話しかけられて、わたしは普通に視線を店長に向けていく。そして店長からわたしの目の前にカレーをおく。
[案外カレーのボリュームあるな…]
と、内心思った。この身体で果たして食べられるかどうかが怪しい。というか子供の量じゃないな、これ。
実際、軽く持った感じだと、1㎏ぐらいはありそう。
ご飯は胚芽米として使われていてそれで、具はちゃんとジャガイモはもちろん、レンコン、枝豆、ブロッコリーなど野菜がふんだんに使われ、肉はあとで食べてわかったことだが、豚のサイコロ肉としてかけられていた。
さて、肝心のお味は、ということでわたしは目の前のカレーにスプーンをさす前に普通に手を合掌し、目をつむり
「いただきます。」
と、言っていた。まあ意味はないけど、とりあえずわたしはこれをやらないとなんか落ち着かない感じでもある。
さて前置きが長くなったが、肝心のお味を言うと、とてつもなく辛い、というわけではない。
確かに普通の子供ならとてつもなく辛い、という感じの辛口だと思う。香辛料もそれなりに入ってるだろう。実際ピリッと舌に来る味に少し辛いと感じたのだが、食べられない辛いではない。まあ最も日本にいたとき、辛子豆板醤を使ったカレーを自作した身が故に、この辛さは慣れているのだ。使い方は違うが、怪我の功名ともいえる。
そして具はきちんとカレーにいい意味で交じり合い、具が甘さがカレーの辛さを中和とは違うが、中和させるように絡み、そして歯ざわりもなかなか噛みが合う感じだった。すべてとして引き立つかのように交じり合うかのようなそれに、わたしはどんどんスプーンでおなかに入れていく。
親がいればちゃんと噛みなさい、と怒られそうだが、それすら忘れるくらいわたしは食べていた。
「ふう、ご馳走様でした。」
提供されていた味噌汁をいただくのを忘れたが、とりあえず満足したのか、おなかをさすり、そして噴き出た汗を目の前のティッシュ箱から拭いながら、小さく満足のため息をする。食べきれないと思っていたものがあっという間に腹に入ったので、残すかもしれないというのは杞憂に終わった。まあもっとも、ご飯を提供されたら残すのは言語道断だから、意地でも食べきるつもりだったが。
「おう、食い終わったのか。ガキんちょ、辛いのになかなかやるな。子供がこれを完食したのは初めてだ。」
「そうなんですか?でも美味しかったです。ただ少し量が多く思いました。」
そして、目の前に残っていた味噌汁を啜り、相手のほうに見ていた。
「そうか。はっきり言う物言い、気に入った。さらに育ちもいいと来ている。」
はて?育ちがいいといわれても何のことやら、ということで頭をかしげながら
「どこが育ちがいいんでしょう?」
自慢じゃないが、わたしは両親はダメダメで比較的育ちがあんまりよくないと思っていたが、向こうは違うらしいなぜなら…
「お前さんご飯食べるときにきちんと『いただきます。』といったろ?それが育ちがいいと思うんだ。ほかの人はなかなか言う人がいねえからな」
「そうですか…。」
普通のことだと思うんだけどな、と、思ったが心の中で止めておき、わたしは続けながら
「そろそろ帰らないと…。」
そう言い終えると立ち上がる。
「おう。」
代金も支払い終わったわけだし、わたしはそのままガラス戸で戸をあけながら定食屋から去った。




