過去編~面接の後に~
邪馬2651年 3月12日 晴 21:38
穂刈さんが昔を懐かしむかのように昔話を面白おかしく話をしたので、わたしは興味もあった。
例えば…
・3人が初めて会った小学校3年の時の話とか
・穂刈さんが小学校4年のときにいじめられていた恵子さんをやんちゃしていた子供を成敗したら先生に怒られた話とか
・黒崎さんの小学校5年のときの修学旅行のおねしょの話とか
・中2の時に3人で一緒に退魔系の修行して、穂刈さんだけ素質がほとんどなかったということとか
・黒崎さんと恵子さんの高1の時の付き合い出したところとか
・3人で大体いつも一緒に退魔系の仕事をした話で、退魔系の仕事失敗した話や成功した話とか
数えきれないくらい話をしたと思う。黒崎さんはところどころ突っ込み入れていたが、恵子さんはただ笑みを浮かべているだけで、何も言わないのは、大体あっているようなことだろうと思っていた。ちなみにわたしは、面白おかしく言う穂刈さんのそういう話を夕飯の煎餅と一緒に食べて聞いていた。
夕飯が煎餅と緑茶、という寂しいものではあるが、わたしは特に気にしていなかった。まあ最もほかに何かを食べる場所がないが故でもあるし、昼間の食べたものがまだおなかに溜まっていたからおなかはそんなに空いていなかった。むしろ、この3人の話に興味がわいたのだ。この3人の仲の良さに正直うらやましいとも、永遠に続いてほしいと思っていたのだ。
「明日からはちゃんとしたご飯を3食食べるようにね。これも修行だから」
穂刈さんもちろんたまに恵子さんのほうに視線を向けていく。
当の恵子さんは雨が止んで外に月が出ているところに、当たっていた。
月明かりを照らしても、半透明で影がない彼女はやはり亡者ということを改めて認識させられる。穂刈さんが面白おかしく言っているときにそういう恵子さんは、わたしに耳打ちするかのように言ってきた。
わたしもそれに呼応するかのように頷く。そして穂刈さんのほうに視線を向け話を続けて聞いていた。
話が一段落し終わった後、穂刈さんも言い終わったのか、わたしのほうに来て、頭を撫でながら
「麻美ちゃん、ため口でいいからね。私たちも同年代でしょ。ね?黒崎さん」
「ああ、僕も大丈夫だ。まあ最も、君さえよければ、になるが」
「もちろん。あ、自分のことは麻美、と呼んで構わないよ」
早速ため口を使うわたしであった。ちなみに下の名前を呼んでいいといった理由は、日本にいたときは恥ずかしかったが、今は日本ではない、さらに女の身体になったからで、それならいっそのこと穂刈さんと同じように下の名前を呼んでもらって、感覚でもいいから慣れておこうということでもある。本当に気休めかもしれないが、下の名前を呼ばれることによって、自分が女というのを頭で理解したかった。
(本当君という人は、やはり変わっている。まあそこがいいんだけどね。)
と、中山君が久しぶりに会話に入ってきた。
{まあいいから。いいから。}
と、私が返事し返す。その間数秒の沈黙ではあるが、その間に黒崎さんから返事が来た
「わかった。君が良ければそうしよう。」
黒崎さんの柔軟な考えに感謝しながら、私は二人を玄関まで送ることにした。
別れ際に穂刈さんが
「あ、そうだ。麻美ちゃん、明日何時になるかはわからないけど、着替え持ってくるからね。この服だけじゃ色々不便でしょ?」
「あ、そういえば…お願いいてもいい?」
「もちろん、私のお古でよければあげるよ。」
「ありがとう。」
「さ、夜も遅いし、これから帰る。穂刈さん、僕が家まで送る。」
「え?何その言い回し、ね?デートデート?」
「違うぞ。」
穂刈さんは最後まで穂刈さんだった。ということを認識しながら、別れ際の二人のやり取りに苦笑しながら手を振り見送っていったのだった。




