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転生TS不老退魔巫女物語  作者: セミの鳴き声
過去編
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過去編~義理硬いわたし~

邪馬2651年 3月12日 ぽつぽつと雨模様 18:48

車から降りると先ほどの雲空からぽつぽつと雨が降り始めてきていた。傘を用意しなかった自分が悔やまれるが、昼間は晴れだったし、仮に雨だったとしてもこれ以上勝手に人の所有物をとるのも気が引けたのだった。大鳥居を抜け黒崎さんと二人で歩いていくと、お賽銭箱の近くに先ほど最初に出た穂刈さんがいた。どうやらあたりを見渡している様子。あっちこっち行ったり来てりしてるのがその証拠だろう。


「何してるんだ?」


声色が変わらないが、黒崎さんがなんとなく呆れたような感じで言っているように見受けられた。

わたしも気になっていたので、何も言わずとりあえず穂刈さんの様子を伺っていた。穂刈さんは、火事場泥棒を現行犯で見られたかのように身体をぴくっ背筋を伸ばして、わたしたちのほうを見ていた。明らかに挙動不審真っ盛りだが、おそらくわたしも突然話しかけられたら同じようになりそうだからあんまり人のこと言えない。


「いやー、久しぶりに大神神社に来たから、このあたりを探索していたんだよ。」


悪びれる様子もない、というより、本気であたりを探索していたんだろう、黒崎さんは過度に追及することもなく


「そうか。」


と、淡々と相手の言う通りに納得した様子。

そしてそろそろ雨脚が強くなりそうな予感の大粒の雨が降り始めてきたところに、穂刈さんと黒崎さんが恵子さんのいる社務所のほうに向かって歩を進めていこうとした。

わたしもついていこうとしたが、ここに来るときにお賽銭50円を失敬したんだった、ということを思い出し、ズボンの両ポケットに手を突っ込む。

そして左ポケットのほうにカードの感触と同時に自分の残高所持金の11013050円のイメージが脳裏に浮かぶ。

ついてこないのを不思議に思った穂刈さんはわたしのほうに振り返り


「麻美ちゃんどうしたの?」


わたしも気が付いたので、相手のほう視線を向けていき

「んと、昼間にここから50円をとったから、それを返そうかなって」

右手で目の前の賽銭箱に指さしながら言っていくと


「そうなの?麻美ちゃんって結構えらいのね、最もお賽銭は神様に渡すお金だけどこの世界神様なんていないのに。」


と、ため息交じりの複雑そうな表情。えっと神様がいない?はてどういうことだろう。ここに連れてきたのは神様なんだけどな。と思っていたが、とりあえず黙っておく。それと同時に頭から


(神様はいないんじゃなく、誰にも公平で、誰にも干渉しないということなんじゃないか、という日本にいたとき誰かが言ってたような気がする。)


というようなことを考え、そしてそして脳裏に浮かんだ50円をカードから取り出し、お賽銭箱に投入していく。投入し終わった後に、わたしは二人についていき、恵子さんのいるところに向かって行った。

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