過去編~心の葛藤から出てくる回答~
邪馬2651年 3月12日 曇り 18:35
穂刈さんの言う大神の術を覚えたいのか、という問いに場の空気が今までとは一変して変わった。
穂刈さんの質問にわたしは思わず頭を上にしてどうしようかと、無意識的に考え、車が神社の前にあるにも関わらず下りないで黒崎さんはその場でわたしの返事を待つかのように待機。顔はこちらのほうには向けず、返事を待っているようなそぶり。
あの時のわたしは、さっきまでの穂刈さんの動きを見て、——というか見惚れてしまったのが正しい。
それに朝での恵子さんとのやり取りを踏まえ、最初は躊躇したものの、術を覚えれば人助けになるというわたしは楽観的に考えを持ってしまった。
確かに、さっきのカマキリには殺されかけた思いがあるが、それは自分には力が無かったからだし、何よりも今度は自分が人を助ける番、ということを頭が逡巡していく。
「……っ」
口を開こうとしたときに、中山君が口を開きストップかけてきた
(本当に後悔はしない?)
[大丈夫。力をつけてくるから。やっぱ前は人助けできなかったら今したい。〕
(そう、ならいいけど。まあ君の決めた道だ、何も言わないよ)
[本当ありがとう。昔からいつも色々気にかけてくれて〕
(いやいや、大丈夫。どういたしまして。)
という心のやり取り。たぶん心のどこかに葛藤が残っていたかもしれない。だけど、迷っていたら何もできないと思い、今度こそ口を開く。
黒崎さんはわからなかったが、穂刈さんはわたしがさっき何かを言いかけたのが気づいたのか、それとも気づいてなかったのか、顔に笑みを含んだままわたしの返事を待っている。そして、わたしの考えを二人に言うかのように口を開く。
「はい、大神の術を学びたいです。学んで人助けをしたいです。」




