過去編~カマキリと闘う魔法少女と傍観無能少女~
邪馬2651年 3月12日 晴 15:58
カマキリがわたしの首にめがけて鎌を下ろそうとしている。
絶体絶命のピンチにわたしは怯えはしないが腰を抜かし怯えてはいないが竦んでしまいて動けない、まさにわたしは絶体絶命の状況に救いの手が現れた。
「我が穂刈一族が我が右手に持つ杖に命じる、目の前に出ている化け物に打撃を与えよ。炎の玉!!」
凜とした声で話す少女の声。
その詠唱の後にカマキリの背後に1つの閃光。その閃光こそが火の玉で、カマキリの背中に当たったのかよろめく。このことに対して腹を立てたのか、それともわたしに興味を失せたのか、その両方なのか攻撃してきた少女に向かってブーンという音とともに羽ばたき向かって行った。
九死に一生を得たわたしは、立ち上がり、尻の方にパンパンと叩く。
[はぁ…。助かった…。]
(本当に助かった。どこかに隠れる?)
[いやいい。とりあえず、今は様子を見るよ。]
(後でどうなっても知らないよ。)
[その時はその時。とりあえずここにいる。]
(わかった。)
と言う風にわたしと中山君とのやりとりをしながら目に映るカマキリと対峙している先端が三日月の形をした黒い杖を持ち、黒いマントと黒の帽子を被った少女とカマキリを見ていた。
少女はカマキリが鎌を振り下ろすのを見るや否や咄嗟にカマキリの正面に体当たりすりかのように回避し、そしてどこから出したかはわからないが札をカマキリの腹部に貼り付ける。貼り付けられたカマキリはのた「ガガオオーン~」と、苦悶の声を出しながらのたうち回る。
年端も行かないであろう少女を見て、自分の不甲斐ない感じに思わず握り拳を作る。
(まあ僕たちに出来ることはないからね。)
[そうだけど。]
(それとも何?つっこんで足引っ張りました、といったらまた迷惑だよ。話にならないし。)
[そうだよね。けどなんか悔しいな。]
わたしと中山君とのやりとりを尻目に魔法少女は手際よく札をカマキリの身体中に胴体を中心に平均的に札を貼り付けてカマキリの動きを鈍らせていた。
そして杖を空高くかざして詠唱。
「我が穂刈一族が右手に持つ杖に命じる。目の前にいる身動きが取れないカマキリ焼き尽くせ、に奥義“炎の壁”!!」
札の影響で動きが鈍っているカマキリに対して炎の壁がカマキリを囲む。逃げ場を失い行動さえ封じられてしまったカマキリはなすすべなく。
「ギョウェイィッ」
トラウマになりそうな断末魔が耳に入る。他の人はわからないが、トラウマになるような声はわたしは気にしなかった。むしろこの少女に憧れを感じてしまっていた。
カマキリを焼き尽くした魔法の炎が自然に鎮火する。遺されたのは灰になったカマキリだった。グラスや魔紅石はあったかどうかは定かではない。
だけどいわゆるそういう報酬を探すよりも先にその魔法少女はわたしのところに来ていた。




