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palette  作者: 棠 智果
風見鶏
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21/22

#07

*Drawing #03


赤い爪 やつれた私を

「きれいになった」と貴方は言う


滅ぶ日が近いと囁く花に

生き永らえてほしいとだけ伝えて


瞳の上に咲いた水仙

ストーリーテラーが汚した金の花弁


霧の深い夜 現れては消える光の腕

頬を撫でる温い風 気が触れそう


見知らぬ夢の知られぬさんざめき

誰だけのものでもない



*裏切り


想像図がはるかに地表に近く

河は星の色に濁って

僕らは進むしかないのに 何もかもが

許しがたい裏切りの牙を剥いた


君は平然としていたね

あのビニル傘の中で

何か言ったようにも見えたけど

僕はただ 一心不乱に

その手を握って駆け抜けるしかないって

思ってしまったんだ 悲しいことにね


決壊した冬のダムに

僕らはいつか 耳を澄ませに行く

探し物があるような気がしてる



*隣人


受け取れないほどの愛をくれたんだ

ただの お隣さんが

そう言って君は嬉しそうに笑っていた


返さないの

僕が聞いても 君は笑っていた


(さっさと返しちゃえ、そんなもの。)



*リズム


光の束がやってくる

一身に受けて 目の前がすっかり綺麗になった

何も見えないのが

どうしようもなく気持ちいい

流れて行ってしまいたい


それじゃ足りなくなった

気がついた時にはもう 見えるようになっていた


鼓動が遠くから響いてくる

全身を包み込む 見えない波が

呆然と浮かぶ頭脳を揺るがした


それからずっと リズムの奴隷



*bitter honey


薬のような勘違い

美徳の劇薬



*pain


思わず眉をひそめてしまうような

ナイフの切っ先が 心臓をかすめたような

手の施しようがない 微細な痛み

その時でこそ はっとしたけど

すぐに冷静さを取り戻して


それ以上悪くはならないけど

じっとしてなきゃ痛む

絆創膏を貼るほどじゃないけど

空気に晒せばむず痒い


そんな誰かが

いつもどこかに



*white


雲のカーテンが ずっと向こうの空で揺れている

あの下はきっと雨

忌々しく 白々とした雨

頬を濡らすにはじれったく

靴にはいやらしく染み込む


汚い白色

さっさと落ちて綺麗になってよ


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