#07
*Drawing #03
赤い爪 やつれた私を
「きれいになった」と貴方は言う
滅ぶ日が近いと囁く花に
生き永らえてほしいとだけ伝えて
瞳の上に咲いた水仙
ストーリーテラーが汚した金の花弁
霧の深い夜 現れては消える光の腕
頬を撫でる温い風 気が触れそう
見知らぬ夢の知られぬさんざめき
誰だけのものでもない
*裏切り
想像図がはるかに地表に近く
河は星の色に濁って
僕らは進むしかないのに 何もかもが
許しがたい裏切りの牙を剥いた
君は平然としていたね
あのビニル傘の中で
何か言ったようにも見えたけど
僕はただ 一心不乱に
その手を握って駆け抜けるしかないって
思ってしまったんだ 悲しいことにね
決壊した冬のダムに
僕らはいつか 耳を澄ませに行く
探し物があるような気がしてる
*隣人
受け取れないほどの愛をくれたんだ
ただの お隣さんが
そう言って君は嬉しそうに笑っていた
返さないの
僕が聞いても 君は笑っていた
(さっさと返しちゃえ、そんなもの。)
*リズム
光の束がやってくる
一身に受けて 目の前がすっかり綺麗になった
何も見えないのが
どうしようもなく気持ちいい
流れて行ってしまいたい
それじゃ足りなくなった
気がついた時にはもう 見えるようになっていた
鼓動が遠くから響いてくる
全身を包み込む 見えない波が
呆然と浮かぶ頭脳を揺るがした
それからずっと リズムの奴隷
*bitter honey
薬のような勘違い
美徳の劇薬
*pain
思わず眉をひそめてしまうような
ナイフの切っ先が 心臓をかすめたような
手の施しようがない 微細な痛み
その時でこそ はっとしたけど
すぐに冷静さを取り戻して
それ以上悪くはならないけど
じっとしてなきゃ痛む
絆創膏を貼るほどじゃないけど
空気に晒せばむず痒い
そんな誰かが
いつもどこかに
*white
雲のカーテンが ずっと向こうの空で揺れている
あの下はきっと雨
忌々しく 白々とした雨
頬を濡らすにはじれったく
靴にはいやらしく染み込む
汚い白色
さっさと落ちて綺麗になってよ




