#06
*Here Comes The Angel!
黄色い空に叫び声を上げた
針金のような身体が 太陽を背に
私を見下ろしていた
救いがここにある!
そう叫んだのか
ああ、世界が終わる!
そう聞こえたのか
よく覚えていない
ただ 劈く一塊の言葉が
その人影を穿っただけ
ほんの数秒の白昼夢が 完成しただけ
*Paper
白い一枚の紙を 思い浮かべてください
そこに あなたは何でも自由に書くことができます
何色のペンを使ってもかまいません
絵でもかまいません
誰かへの手紙? それもいいでしょう
恨み言でも 愛の告白でも
昨日見た夢の記録をつけるのも面白いですね
まさか 気が狂うなんてことないでしょ
そもそも曖昧なんだから
それでは あなたが思い浮かべたのは
どんな大きさの紙でしたか?
それが あなたの欲している自由の大きさです
*マーブル
ガラスの管がぶつかり合う音
息を止めて見る天井
動物のあざやかな虹彩
心のざわめきが呼び起こされて
マーブル模様に埋め尽くされる
私の決意を急かす あなたの言葉
*素描
まずは見ること
注意深く 観察すること
いろんな角度から いろんな光を当てて
それが モデルへの礼儀
花を見て描くとして たとえば
描きにくい花びらをちぎることが
許されるとは言えない
あなたを ひたすらに観察する
私情を挟まず 乱さないように
そして 見えるものからあなたに返していく
練習しなきゃ 上手くならない
見もしない 描きもしないで
付き合いきれないなんて嘆いても仕方ない
まだ見てるから 好きに動いて
*紅茶
あざやかな香気が部屋を満たす
ここまで多くの記憶につながる香りも珍しい
ティーポットの中で揺れる赤い液体は
名脇役のように落ち着いている
毎晩 決まった時間に紅茶を淹れる
ふたりの習慣が またひとつ
この香りに結びついた記憶を生み出す
疲れた日は 口数も少なく
明日を迎える準備のように
眠りたくない日は 何気ない話から
少しずつ 夜を先延ばしにする
暖かくて切なくて 懐かしい
素直になるしかない 優しい香り
*Fall
赤い葉が風に舞って
透明な空に色が滲んで
それらがあまりに遠いので 泣きそうになる
月が昇ってくる
連れて行ってほしい
長い夜に落ちて行きそうだから
金色の光で 何も見えなくしてほしい
足元がぐらぐらして
今度は私が
秋風に舞う枯葉になりそう
*イノセント
鏡を手で覆って
恥知らずな自分の顔をすっかり隠した
夢見の悪い現実だと思っても
そればかりは 目をそらしきれなかった
あなたに笑われたくない一心で
これからを生きていく
まっすぐに見つめるために
失くしてはいけないものを覚えていく
イノセントすぎるあなたが
逃げ出さない私になるために




