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palette  作者: 棠 智果
風見鶏
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20/22

#06

*Here Comes The Angel!


黄色い空に叫び声を上げた

針金のような身体が 太陽を背に

私を見下ろしていた


救いがここにある!

そう叫んだのか

ああ、世界が終わる!

そう聞こえたのか

よく覚えていない


ただ 劈く一塊の言葉が

その人影を穿っただけ


ほんの数秒の白昼夢が 完成しただけ



*Paper


白い一枚の紙を 思い浮かべてください


そこに あなたは何でも自由に書くことができます


何色のペンを使ってもかまいません


絵でもかまいません


誰かへの手紙? それもいいでしょう


恨み言でも 愛の告白でも


昨日見た夢の記録をつけるのも面白いですね


まさか 気が狂うなんてことないでしょ

そもそも曖昧なんだから


それでは あなたが思い浮かべたのは

どんな大きさの紙でしたか?


それが あなたの欲している自由の大きさです



*マーブル


ガラスの管がぶつかり合う音

息を止めて見る天井

動物のあざやかな虹彩


心のざわめきが呼び起こされて

マーブル模様に埋め尽くされる


私の決意を急かす あなたの言葉



*素描


まずは見ること

注意深く 観察すること

いろんな角度から いろんな光を当てて

それが モデルへの礼儀


花を見て描くとして たとえば

描きにくい花びらをちぎることが

許されるとは言えない


あなたを ひたすらに観察する

私情を挟まず 乱さないように

そして 見えるものからあなたに返していく

練習しなきゃ 上手くならない

見もしない 描きもしないで

付き合いきれないなんて嘆いても仕方ない


まだ見てるから 好きに動いて



*紅茶


あざやかな香気が部屋を満たす

ここまで多くの記憶につながる香りも珍しい

ティーポットの中で揺れる赤い液体は

名脇役のように落ち着いている


毎晩 決まった時間に紅茶を淹れる

ふたりの習慣が またひとつ

この香りに結びついた記憶を生み出す


疲れた日は 口数も少なく

明日を迎える準備のように

眠りたくない日は 何気ない話から

少しずつ 夜を先延ばしにする


暖かくて切なくて 懐かしい

素直になるしかない 優しい香り



*Fall


赤い葉が風に舞って

透明な空に色が滲んで

それらがあまりに遠いので 泣きそうになる


月が昇ってくる

連れて行ってほしい

長い夜に落ちて行きそうだから

金色の光で 何も見えなくしてほしい


足元がぐらぐらして

今度は私が

秋風に舞う枯葉になりそう



*イノセント


鏡を手で覆って

恥知らずな自分の顔をすっかり隠した

夢見の悪い現実だと思っても

そればかりは 目をそらしきれなかった


あなたに笑われたくない一心で

これからを生きていく

まっすぐに見つめるために

失くしてはいけないものを覚えていく


イノセントすぎるあなたが

逃げ出さない私になるために


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