#02
*時は静かに剥がれ落ちて
夜が 思いもよらない早さで更けていく。
青白く染まり始める窓の外は、やがて無情な光と色に満ちていってしまう。
音もなく 真夜中の一秒は剥がれ落ちて、
夢の一行は雨のように降る。
それらすべてを、見逃してしまう。
そうして朝は、一糸纏わぬ姿で
降り積もった夜の灰を溶かしてゆく。
過ぎてしまった昨日でさえ、
疲れた身体で迎える今日でさえも、
悶えるほど、あなたに焦がれる。
*座敷牢
風を拒むような佇まい
光を蔑むような目の黒さ
あなたは心に
心の座敷牢に
ひとりの鬼を飼っている
流れてゆくことを
あなたは嫌って
足下に 聖なるものを
腕に 目に 卑しい鬼を
惜しげもなくはべらせて
何がそんなにも
あなたに憑依したがるのか
心の座敷牢に
閂をしてしまおう
鬼が あなたの外へ
出て行かないように
*いけないこと
いい子でいよう
それだけが僕の取り柄
いい子でいよう
そうすれば 誰かが愛してくれる
僕はずっと待っている
足を崩さず お行儀よく
目はまっすぐに 遠くを見て
唇を真一文字に結んで
そのまま迎えた黄昏は
ひとりぼっちだった
はじめて 僕を
誰かが叱った
その顔なんて 思い出せない
*夢に現に 君を抱く
君と朝を迎える。
君に今夜会う。
どちらが夢で、どちらが現だろう。
止まらない愛の報いが、洪水のように僕の足元をすくう。
どちらでもいいのだろうか。
夢も現も、君と僕のワンシーンにおさめてしまおう。
*転生
生まれ変わる気があるなら
まず誰かを信じてごらん
*陽だまりの背中で
懐かしい感覚だった。
確かな体温と汗の香りが、その証明をしてくれる。
このままじっと抱きしめて、
眠りの中に入り込んでしまいたい。
そうして、この冷たい胸の中に
彼の陽だまりを 注ぎ込みたい。
何の強さも持ち合わせていないから、
その熱が愛おしい。
目を閉じて、険しいもののすべてを投げ出して
陽だまりの背中に、何もかも預けたい。




