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palette  作者: 棠 智果
Orange
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2/22

#02

*時は静かに剥がれ落ちて


夜が 思いもよらない早さで更けていく。

青白く染まり始める窓の外は、やがて無情な光と色に満ちていってしまう。


音もなく 真夜中の一秒は剥がれ落ちて、

夢の一行は雨のように降る。

それらすべてを、見逃してしまう。

そうして朝は、一糸纏わぬ姿で

降り積もった夜の灰を溶かしてゆく。


過ぎてしまった昨日でさえ、

疲れた身体で迎える今日でさえも、

悶えるほど、あなたに焦がれる。



*座敷牢


風を拒むような佇まい

光を蔑むような目の黒さ

あなたは心に

心の座敷牢に

ひとりの鬼を飼っている


流れてゆくことを

あなたは嫌って

足下に 聖なるものを

腕に 目に 卑しい鬼を

惜しげもなくはべらせて

何がそんなにも

あなたに憑依したがるのか


心の座敷牢に

閂をしてしまおう

鬼が あなたの外へ

出て行かないように



*いけないこと


いい子でいよう

それだけが僕の取り柄

いい子でいよう

そうすれば 誰かが愛してくれる


僕はずっと待っている

足を崩さず お行儀よく

目はまっすぐに 遠くを見て

唇を真一文字に結んで


そのまま迎えた黄昏は

ひとりぼっちだった

はじめて 僕を

誰かが叱った


その顔なんて 思い出せない



*夢に現に 君を抱く


君と朝を迎える。

君に今夜会う。

どちらが夢で、どちらが現だろう。

止まらない愛の報いが、洪水のように僕の足元をすくう。

どちらでもいいのだろうか。

夢も現も、君と僕のワンシーンにおさめてしまおう。



*転生


生まれ変わる気があるなら

まず誰かを信じてごらん



*陽だまりの背中で


懐かしい感覚だった。

確かな体温と汗の香りが、その証明をしてくれる。

このままじっと抱きしめて、

眠りの中に入り込んでしまいたい。

そうして、この冷たい胸の中に

彼の陽だまりを 注ぎ込みたい。


何の強さも持ち合わせていないから、

その熱が愛おしい。


目を閉じて、険しいもののすべてを投げ出して

陽だまりの背中に、何もかも預けたい。

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