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palette  作者: 棠 智果
風見鶏
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18/22

#04

* 蒼白


もう何度目かの夏を

終わらせることに躍起になって

夕立に項垂れる向日葵に

シンパシー寄せるばかり

生温い風に惑わされて


頑なな拒絶もぜんぶ

継いで接いだ一塊の逸脱


cemetery romance

たぶん 誰も見向きもしない

蒼白の僕らの恋


君はこれから 長い坂を登るだろう

僕は今まで通りを繰り返して

引っ張り上げる準備ができたら

あるいは 空を飛ぶ準備ができたら

うやうやしく約束をして それから

ふたりで いっぺんに変えよう

大切なまわり道

蒼白の僕ら



* 花束


透明なフィルムで包まれた バラの花束

不可解なオーロラが反射して

僕はふいに 受け取るのを躊躇った


そこにいるのに その突飛な激情が

君をどこまでも不可解にする


わからないよ、と泣き出しそうだ

こみ上げる涙に 頬が強張って

喉が引きつって 掌が熱くなって

僕は砂になりそうだ

なにが君をそうさせるのか

怖がらないから 教えてくれよ



* ナイフとドア


君がそれを諦めた途端 僕は崩れ落ちるしかなかった

優しすぎる言葉が あまりに高い壁となった


君のことだから この事態さえ

心の中では 自分のせいだと決め込んで

自分をひたすらに責めて 嘲笑っているんだろう

そんなことしなくたって 今に

僕の提案が正しく 君が自分に振り回されていると

冷静に説明ができるのに

どうしてそんなに優しくするの


どんなに説き伏せようとしても

君にしては珍しく 攻撃性をあらわにした

威嚇にも思えるほどの皮肉が 僕を戸惑わせた


最後の瞬間 答えはふいにおとずれた


「約束しよう」

僕はそれを一言も言わなかった

だから君には 突然のことに思えたのか



* エンブレム


分かりやすくて 確かなものが

僕の頭の中心に宿るのを感じた

骨と皮ばかりの首元に 顔をうずめて

君は 僕の手を冷たいと言って握った


消えない焼印のように ひとつの温もりを覚えた

記憶から 蒸発することはないだろう

それが 寂しさを呼び起そうと

きっと君は すぐに来てくれる


エンブレムのもとに

君は僕に 恥をかかせまいとして

誠実に生きていてくれる



* DETERMINATION


その力が 君を何度でも立ち上がらせる

愛なんて脆いと決めつけていた僕が

どんなに狭い視野を持っているか 君は知っている

それを諭して 行ってくれただけでも

僕は安心した


必ずまた会おう

今度はお互い 大人になって

自立して 一緒に倒れないように


実はあんまり 君の心配はしていないんだ

君の決意が 未来を向き始めたから


もう何もかも 人任せじゃいられないね



* ghost


私の感情は時々 不安になる程剥がれる

自分が自分じゃないみたい

剥がれたものは いつも

誰かの中に残っていってしまう


だけど それは自分じゃない気がする

確かに私のものだったけど

あまりに分からなさすぎて

理解しかねる情動の残り滓に

覚えがなくて

すっかり 責任感をなくしてしまう


私の悪い癖だと思う

まったくの上の空でいたがために

誰かの亡霊になってしまうことが

ひどくつらい

謝っても 謝りきれない

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