#04
* 蒼白
もう何度目かの夏を
終わらせることに躍起になって
夕立に項垂れる向日葵に
シンパシー寄せるばかり
生温い風に惑わされて
頑なな拒絶もぜんぶ
継いで接いだ一塊の逸脱
cemetery romance
たぶん 誰も見向きもしない
蒼白の僕らの恋
君はこれから 長い坂を登るだろう
僕は今まで通りを繰り返して
引っ張り上げる準備ができたら
あるいは 空を飛ぶ準備ができたら
うやうやしく約束をして それから
ふたりで いっぺんに変えよう
大切なまわり道
蒼白の僕ら
* 花束
透明なフィルムで包まれた バラの花束
不可解なオーロラが反射して
僕はふいに 受け取るのを躊躇った
そこにいるのに その突飛な激情が
君をどこまでも不可解にする
わからないよ、と泣き出しそうだ
こみ上げる涙に 頬が強張って
喉が引きつって 掌が熱くなって
僕は砂になりそうだ
なにが君をそうさせるのか
怖がらないから 教えてくれよ
* ナイフとドア
君がそれを諦めた途端 僕は崩れ落ちるしかなかった
優しすぎる言葉が あまりに高い壁となった
君のことだから この事態さえ
心の中では 自分のせいだと決め込んで
自分をひたすらに責めて 嘲笑っているんだろう
そんなことしなくたって 今に
僕の提案が正しく 君が自分に振り回されていると
冷静に説明ができるのに
どうしてそんなに優しくするの
どんなに説き伏せようとしても
君にしては珍しく 攻撃性をあらわにした
威嚇にも思えるほどの皮肉が 僕を戸惑わせた
最後の瞬間 答えはふいにおとずれた
「約束しよう」
僕はそれを一言も言わなかった
だから君には 突然のことに思えたのか
* エンブレム
分かりやすくて 確かなものが
僕の頭の中心に宿るのを感じた
骨と皮ばかりの首元に 顔をうずめて
君は 僕の手を冷たいと言って握った
消えない焼印のように ひとつの温もりを覚えた
記憶から 蒸発することはないだろう
それが 寂しさを呼び起そうと
きっと君は すぐに来てくれる
エンブレムのもとに
君は僕に 恥をかかせまいとして
誠実に生きていてくれる
* DETERMINATION
その力が 君を何度でも立ち上がらせる
愛なんて脆いと決めつけていた僕が
どんなに狭い視野を持っているか 君は知っている
それを諭して 行ってくれただけでも
僕は安心した
必ずまた会おう
今度はお互い 大人になって
自立して 一緒に倒れないように
実はあんまり 君の心配はしていないんだ
君の決意が 未来を向き始めたから
もう何もかも 人任せじゃいられないね
* ghost
私の感情は時々 不安になる程剥がれる
自分が自分じゃないみたい
剥がれたものは いつも
誰かの中に残っていってしまう
だけど それは自分じゃない気がする
確かに私のものだったけど
あまりに分からなさすぎて
理解しかねる情動の残り滓に
覚えがなくて
すっかり 責任感をなくしてしまう
私の悪い癖だと思う
まったくの上の空でいたがために
誰かの亡霊になってしまうことが
ひどくつらい
謝っても 謝りきれない




