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palette  作者: 棠 智果
HEART
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11/22

#03

*光芒と旗と


さんざめく西陽に眼を細め

その影は僕を追う


雲間に揺らぐ 光明の蜃気楼

ひとつふたつと 夢を投げかけ


君が待つ あの街角に

しがらみなどなく

苦悩も傷も すべて塵と舞い

金色の陽があまねく照らす


病める耳に 魔性のささやき

この足を 止めてはならない



*HELL


理想郷ならここに在った

我々の足の下に 絵空事として

人々はそれを見ていたが

そこから退こうとしなかった


たくさんの鏡に囲まれようとも

君の眼は一点を凝視し

沼地のごとき夢を幻視する


瞑目 息を数え

時に我が身を刻まんとして

五体を針の野に投げ出す

その姿 聖なるものと視る者すら在り


賽は投げられ

過ちは 正されず



*フラクタル


見るは天上のフラクタル

炎の演舞 燦燦と

天上へ 天空への回廊に

螺旋は重なり また目映く

今 明らかな 摂理の勝利

無知は罪と知り 愛は罠と知り

大脳の機関は 慈悲を超え

口角に笑み 虹彩に光り

喝采は渦となり 渦は貌を成し

踊れ地上のフラクタル



*やまなし


銀の水面に こがねのやまなし

翻り 月夜は満ちて

泡沫に光は弾む


きょうだいよ 星のもとに

コンパスの針を恐れるなかれ

連れ去られようとも


廻る天球 九十九の声に

暗闇を 見据える水底



*唐傘慕情


目を引く 蛇の目の唐傘

眉間に紅を引いた傾奇者が

「ごきげんよう」と笑みを浮かべて

狐の嫁入りに消えてゆく

名も知らぬ 六尺の若者

下駄を鳴らして 乙女のように

誰とも似つかぬ あやかしの君



*Alice


羽根飾りのナヴァホの狩人が

夢見がちな少女の前を通り過ぎた

エルバッキーが示す道の先には

貴族が粗茶を酌み交わし

おそろしい部族の女首長は

不機嫌まかせに力無き開拓者の首を刎ね

少女は魔女狩りの餌になった


殺せ 殺せ

大衆の野次が断頭台の下から雨音のように

処刑人の怒声が雷鳴のように

野次と怒声

雨音と雷鳴


耳から頬へ 全身へ

木陰で少女は雨に濡れ

おとぎ話にはほど遠い悪夢から醒めた



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