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palette  作者: 棠 智果
HEART
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10/22

#02

*夜霧


鍵穴から覗いた世界は 遠く

だれかの背中を追うよりもずっと

ファンタジーじみて見えた


一字決まりの骨牌に手を伸ばすより

取り違えるくらいがいいと すっかり決め込んで


夜霧は滲む

鍵を手にしたあの人の背中が

藍色に溶け出す頃



*噫 形骸と 深淵と


月夜の高速道路は まるで

ため息の中に浮かんでいるみたいだった

どこまで遠くへ行けるだろう

僕とあなたは 黙ったままで

ただ走り続けた

独り善がりな擬似恋愛に疲れて

お互いに そっとしていてほしくて

冷たい空気に僕らは流れていく


朝になったら どこかで休もう

僕はそう言って あなたを見た

あなたは深い目で僕を見て

声もなく微笑んだ


疲れた僕らは

それぞれの孤独を分け合って

狭い座席に身を預ける


この深淵に 何かを置いて行くため



*鮮やかなるもの


まったくの作り物でもなく

また 絵空事でもなく

ただ曖昧に混ぜて

誰にともなく差し出す

受け取った誰かが また

その内にあるものを織り込み

他の誰かに譲る


どこかで誰かが それを削る

別の誰かが 整えて

また別の誰かによって それは姿を変える


まったく知らぬ者が それを見つけ

その手に乗せ あるいは眺め

感覚のすべてで それを認めたとき

それは初めて 輝きの中に生まれる



*感嘆符 あるいは


パトロンの夢に

成すはブラフか

カタストロフか

あるいは如何様

知られぬうつつ

先人のゆめごと

退廃と黙示録は

不安の谷にあり

焚書はタブーか

アルカナの月に

運河は観測され

開拓の旅人風情

拒絶にひれ伏す


夢あるいは僥倖

符号あるいは轍

囀るは道化師か

パルサーか瞳か



*Carmen la Karma


愛に生きて 愛に死ぬため

愚かさも 愛した

奔放なジプシーのように

業を重ねても 満たされようと


スペードに呪われようとも

そのすべてが愛ならばと


最後の足掻きを振り切るのも

大いなる愛のためならばと


密かに覚悟を決め

それでも生きて行く

それだけが我が命の美しさと信じて



*罪深きもの


項垂れて ロザリオを握り締め

罪深きものは街道に立つ


シスターの目に 哀れみを浴びせられ

純朴な子供に 指を差される


雨はその見窄らしい肩を打ち

野良犬も構わない

罪深きものは 立っている


そうしている自分だけを見つめて



*歌に乗せて


雨の森が 遠くから呼ぶ

白い空が 風を鳴らす

この手は 杖をたずさえて

この足は 一心に進む


歌が響いてくる

愛の歌が 悲しみの歌が

導きのように


あなたが居る

木々の向こう 霧の中

白い空の下に

僕を呼んで 歌っている


聴こえるから

どうかその歌をやめないで

会える時まで

その詞を絶やさないで



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