6話 加速する謎
画像解析を待ってるなか、真村は空いてる椅子を見つけ、背もたれに身体を預けてため息をついた。
「新人の面倒もやっぱり、疲れるわ。」
「確か、玲香って言う子だっけ?」
それは、一ヶ月前に配属された岩馬玲香のことだった。だが、そんな彼女に周囲から注目される理由があった。
「噂では聞いた事はある、23歳の若さでいきなり一課って」
「まあ、現場経験が薄いままの一課だから、刑事としてはまだまだ、だけど」
「しっかり、意見も言ってくれるし、着眼点はいいから、教えがいはあるけどね」
そして、真村にとっても、初めての部下だった。その事もあってか刑事の仕事を行いながら
岩馬の事も気にかける必要もあった為、真村の疲労も普段と比べて少し溜まりやすかった。
「あんた、ただでさえ、教えるのは上手じゃないから、余計にじゃない笑」
「なんも…言い返せない…」
「でも、あんたも、33歳で警部補って、割と順調な出世コースよ」
「今はその話、関係ないじゃん」
そんな中、紘が声をかけてきた。
「主任、解析の方、完了しましたが…」
「どうした、そんな詰まった言い方して」
「まずは、こちらを見てください。」
二人は紘の後をついていくように、解析データがあるデスクの前に来た。
「4件のアザの形を解析したところ、4件とも、人の手で掴まれた場合のアザと配置が酷似しています。」
「そして、そこから4件とも圧力のかかった位置と形状を元に手形を再現してみましたが」
「4件とも手形の一致率が99%です」
その結果を見て、空島は思わず、見つめたまま固まった。
「ちょっと、待って。一応、情報は風谷さんからある程度は聞いてるけど、証言だと
怪しい人物や人影はいなかったって聞いてるわよ」
「結果通りだと、他の第三者がやったとしか…」
真村が手に顎を当て考えてるなか、ある仮説が生まれた。だが、その仮説は真村にとっては、つい否定をしたくなる程の仮説だった。
「まさか、そんな…ありえない。」
「追花、どうしたの」
「もし、目撃者が唯一まだ見れてない場所があるとしたら」
「それは、水中…」
その仮説に空島は思わず、反射的に異論を唱えた。
「確かに、犯人が水中に潜って、そこから足を引っ張るのは、理論上可能だけど
あんたの仮説だと最初から犯人は、水中で待ち構える事になるわよ。」
「だから、ありえないのよ」
その場で紘はその仮説を聞き、思わず口を開いた。
「そんな、まるで犯人は河童みたいじゃないですか!」
真村はその紘の反応に口を出した。
「紘くんって言ったっけ、確かに、状況からして、そういう発想は不思議では無いけど
そもそも、河童は存在しないし、手形は普通の人間だから、ありえないわ」
「でも、この解析で、間違いなく殺人だと分かったわ」
真村にとっては、1件目から3件目の結果は事故判定から殺人の可能性が高まっただけでも、
解決への一歩目が進めたと感じた。しかし、犯行の経緯が不可解すぎて、新たな謎が上書きされただけだった。
「結果、コピーして持ってきてもいい?」
「いいわよ」
空島は先程の結果を封筒にまとめ、真村に渡した。
「ありがとう」
「また、なんかあったら言ってね」
そうして、真村は科捜研を後にし、再び一課の方へ向かっていった。




