2話 警部補 真村追花
朝方、ジャージを着た男性が堤防を走っていた。その時、男性は川辺であるものが目に入った瞬間、背筋が凍った。
「どう考えても、人だよな…」
それは、川の浅瀬でとある人影が、流れに逆らいながらも、川の岩場でつっかえていた。
男性は恐る恐る、その人影まで近づいた…
「うああああああああああー!」
男性は声を上げ、腰を落とし尻もちをついた。そこには、行方不明で捜索中の大学生の姿があった。
それは、素人から見ても分かるぐらいに、顔が真っ青で、唇も青白く、もう見ただけで
息がしていないのが伝わった。
ーーー数分後ーーー
静かな川辺に、突然、パトカーのサイレンが響き渡った。堤防に数台のパトカーが止まり、その一台の助手席から一人の女刑事が現れる。凛々しく、切れ味のある目つきが印象的なショートボブ。レディーススーツにネクタイを締め、スラリとしたパンツスタイルがよく似合う女性が助手席から現れた。
運転席からは、清楚でぱっちりした目が印象的なポニーテール。レディーススーツに
首元には警察手帳をかけ、中丈のスカートが特徴的な女性が後を追うように現れた。
2人は先に現場へ到着していた地元の刑事の元へ向かった。手帳を見せた。
「警視庁 捜査一課 真村追花です」
「同じく、岩馬玲香です。」
2人は紹介を終えた後、手帳をしまいこみ、地元の刑事は本題に入った。
「身元は鈴木タカシ、昨日、友人と川遊びをしていたところ、突然溺れ出し、
行方不明になり、捜索願いを出し、今朝方発見したそうです。」
しかし、真村は手に顎を乗せながら、神妙な顔つきになった。
「話だけだと、事故案件で私達が出る幕がありません。他に何かありますね」
地元の刑事は首を縦に振り、続けた。
「ええ、この川は以前から三件も溺死による事故が続いてます。そして、今回で4件目になります。」
玲香は思わず、唾を飲み込んだ。
「ですが、証言によると、どの案件も同じことを言うんです」
……
「突然、水中から誰かに引っ張られたかのように溺れ出したと…」
同じ川で溺死事故が4件、そして、4件とも同じ証言だったことに真村は思わず納得してしまった。
「確かに、事件性は高いですね。だとすると普通は怪しい人影の証言があると思いますが。」
しかし、地元の刑事は首を横に振った。
「いいえ、一番の謎はそこで、もし意図的なら怪しい人物の証言は当たり前ですが、
そういう証言がないんです。」
その間、しばしの沈黙が続き、真村は質問を続けた。
「まずは、一旦遺体の確認をよろしいですか?」
「はい、どうぞ」
真村は躊躇いなく、遺体まで淡々と歩いて向かった。その一方で岩馬は緊張した眼差しで
真村の後を追うように向かった。




