11話 聴取
二人は署に戻り、さっそく水沢の住所照会に取り掛かった。
真村が見守るなか、玲香はパソコンを立ち上げ、水沢の住所を調べていた。
「住所、分かりました。」
「行くわよ!」
「はい」
住所が判明した瞬間、二人は間もなく署を飛び出し、水沢の元へ向かった。
ーーーーーー
二人は水沢が住んでいるアパートの部屋の前に立っていた。岩馬が前に立ち、目の前のインターホンを押した。
ピンポーーーーン
ガチャ
「はい、どちら様でしょう」
先に後ろに立っていた真村が警察手帳を見せ、その後を追うように岩馬も手帳を出した。
水沢はそれを見た瞬間、何かを察したのか、神妙な顔つきになった。それを見た真村は口を開いた。
「その様子だと、もう情報は入っていますね?」
「はい。ニュースを見たら話題になってますから。」
「こちらへどうぞ」
水沢は緊張した眼差しでリビングへ案内した。真村がまず目に入ったのは、とある表彰状。そこには『大学水泳 都大会優勝』の文字があった。
「水泳やってるんですか?」
「はい。大学に入って健康のために……ですが、友達とノリで試合に出たら思った以上に良くて、運良く……この結果に」
だが、真村はある違和感があった。表彰状の日付を見ると、一件目の事件の三日前の日付だった。
「たまたまなの?」
真村は違和感を抱きながらも、一旦気にせず頭を切り替えた。そして、岩馬が話を切り出した。
「ご存知だと思いますが、同じ川で起きた五件の連続溺死事件……」
「その共通点が高校の同級生です。」
「ですが、調べていく中で、あなたの名前が浮かび上がりました。」
「この五人に心当たりはありますか?」
岩馬は話を遮る隙がないほど、無駄のないペースで今までの情報を伝えた。水沢は緊張した眼差しをしながらも、質問に答えた。
「高校の頃の同級生で、よく遊んだ仲ですが、大学からは疎遠になって会っていません。」
「強いて言うなら、成人式で会いましたが、それ以降は全く」
話を聞いていく中で、次は真村が切り出した。
「正直に言います。五件の連続溺死事件がまだ続くのであれば、可能性として次に狙われるのは……」
「水沢さん、あなたです。」
「もし、狙われる心当たりがあれば、話をしていただきたいのですが。」
しかし、水沢は表情を変えずに真村の質問に答えた。
「心当たりが……ないんです……」
聴取を行っていく中で、何も情報は得られない状況だった。しかし、真村は水沢の話し方にある違和感を覚えた。しかし、その場では触れずに話を進めた。
「そうですか。もし何かあれば、こちらに連絡をお願いします。」
「お時間ありがとうございました。」
お互い立ち上がった瞬間、岩馬は足をつまずき、転びそうになった。その際、水沢が咄嗟に片手を掴んだ。しかし、岩馬はある違和感を覚えた。
「えっ?」
「すいません、勝手に……」
「いいえ、大丈夫です。」
そうして水沢のアパートを後にし、二人はパトカーに戻った。
ーーーーー
「やっぱりおかしい」
真村は水沢の聴取の中で、ある違和感を覚えていた。その反応を見て、岩馬は思わず首を傾げた。
岩馬はいろいろ思い返す中で、あることに気づいた。
「スムーズに喋っていた所もあれば、所々で言葉が詰まっていた所があった気が……」
真村は首を縦に振り、自らの仮説を口にした。
「特に最後の『心当たりがない』。そこに詰まりを感じた。それ以外も気になる点はあったけど、少なくとも何かを隠している雰囲気ではあったわ」
様々な仮説が生まれるなか、一つの着信音が車内に響いた。その画面には『シオ姉』の文字。
真村はすかさず電話に出た。
「もしもし、シオ姉……詩織主任?」
「実はある鑑定結果を見せたくて、今から科捜研に来てくれる?」
「いいけど?」
「じゃあ、待ってるね」
だが、二人はまだ知らない。その鑑定結果が、究極の謎を呼び起こすことを。




