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12 話 非現実的な謎

 空島の電話に呼び出され、二人は科捜研に出向いた。前から空島の姿が見え、二人の所へ向かった。しかし、その表情は、あのいつも明るく振る舞う空島ではなく、神妙な表情をしていた。その中で岩馬と目が合った。


「あなたが玲香ちゃんね。できれば、こういう空気で会いたくはなかったけど」


 いつもなら、初対面の相手にも明るく接する空島だが、なぜかこの時だけは真剣な眼差しだった。そして、岩馬にとっても前から気になっていた空島との初対面。しかし、それ以上に、これから知らされる鑑定結果に意識が向いていた。


「とりあえず、ついてきて」


二人は空島の後を追うようにデスクへ向かった。空島はデスクに着くと席に座り、ある鑑定結果を二人に見せた。


「まず、五件目だけど、足首の前面と側面に強い圧迫痕が集中していて、しかも、後頭部には地面と擦れた痕のようなものが、解剖で分かったわ」


真村と岩馬はそれを聞いた瞬間、ある証言を思い出した。

「目撃者の話した内容と辻褄は合います」


岩馬の反応に力強く頷き、真村は口を開いた。

「少なくとも、杉本の足を掴み、深瀬まで引きずり、一緒に潜った……

目撃証言は本当みたいね」


しかし、真村は勘づいてはいた。空島が他にさらに重大なことを隠していることを……。


「シオ姉、他にまだ何かある感じ?」

「ええ。問題はこれよ……」


空島はさらにDNAのデータファイルを開いた。空島は科捜研の主任でもあり、遺伝子学を専門とする科学者だった。その技術力の高さが評価され、主任を務めていた。


「実は杉本の足首から、謎の粘液が見つかったの。それを検体として調べたら、こう出たの」


ーーDNA解析結果ーー

ヒトDNA検出


「やっぱり、河童なんて……」


真村は、やはり河童は存在しないと確信を持った瞬間、衝撃的な結果が待っていた。


ーータンパク質解析結果ーー

水棲生物由来タンパク質検出


岩馬はその結果を見て、ただ見つめるしかなかった。そして、真村も頭が追いつかなかった。

真村にとっては、空島の腕は信用しているからこそ確信を持っていた。しかし、この結果を見た時、真村の頭に浮かんだ仮説は――


「人間でも、普通の人間じゃない……!?」

「ええ。あと、これを見て。前回、追花が依頼した四件の同じ手形、それも一致率100%。五件目も同一人物と思った方がいいわ」


真村はあることを思い出し、岩馬に質問した。


「ねえ、玲香。確かお父さんって民俗学者だけあって、妖怪とかの伝承にも詳しかったよね」

「はい、人並みには……」

「河童について、何か知ってる?」


だが、岩馬は若干の戸惑いを感じながらも、河童について説明した。


「伝承では泳ぎが得意で、長時間潜水はお手の物です」

「そして、相撲を得意とし、人間離れした握力があります。」

「一部の伝承では、水中に潜み、人を溺れさせます。」


岩馬が河童について説明しているなか、空島はある噂を口にした。


「ねえ、ないわけないと思ったんだけど、ある噂を聞いたことがあるの」

「何、シオ姉?」

「妖異……それは、ドラッグの一種で、服用することで遺伝子に変異が起こり、妖怪のような超人的な力が得られるって」


「そんなわけ……いや、まさか!?」


真村の中で、あるやり取りが頭によぎった。そのことで、解決へのロジックは完成したが、納得ができなかった。

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