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第百二話 にやにや
このまま簡単に倒す事ができるのでは。
静かになったので恐らく寝ているのだろうと予想しては物騒な事を考えつつ、土羽梨は肩に乗せている冴野を落とさないように気をつけながら手を組んで腕を伸ばした。
(これからどうなるんだろう?)
自分の中に存在する木の根を取り除かない限り、『砂の国』には戻れないと考えた方がいい。
木の根自身にか、それとも別の存在にか。
操られる可能性が大きいからだ。
冴野と結婚して、お互いに操られないように強い縁を結んだはいいが、正直どれだけの効力があるのかは未知数だ。
絶大な効果が出るのか、はたまた、まったく効果が出ないか。
操られて、もしも『砂の国』を自分の手で変えるような事をしてしまっては。
(変えようって考えてるのに、変えられる事を恐れるなんて)
土羽梨は冴野を乗せていない片腕の手で触った。
うぶ毛一本すら生えていない頭を。
「ふふ。触り心地最高」
にやにやにやにや。
土羽梨は笑ってのち、冴野が起きたらこの場所を案内してもらおうと思った。
(2023.9.20)




