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第九十九話 こいねがう+第百話 しょうがない
(だと言うのに)
冴野は息を吐き捨てた。
己のこの外見に激しい嫌悪感を抱くのに。
変えられるものならば即座に変えたかったのに。
ただ今は。
躊躇する己がいる。
この外見を。
好いてほしい。
認めてほしい。
願ってしまう。
強く強く。
こいねがってしまう。
願わずにはいられないのだ。
(ああ。こんちくしょうっ!)
(2023.9.20)
見ていてほしい。
見ていてほしくなどない。
(ははっ)
無様だな。
震える両の手の拳を、片方はそのままに、片方は解き、土羽梨を覆う砂色のマントを掴み、魔女を見据えて言った。
可愛いと言われてもそうかと涼しい顔で返せる妖精になる。と。
「可愛いから可愛いと言っているだけなのに、どうしてあそこまで嫌がるのか?」
宣言してはさっさと『焔の国』から土羽梨と共に去って行った冴野の事を、暫くの間、首を傾げて考える魔女であったが、結局はわからないからいいと結論を出し、けれど、頻度だけは少なくしようかと思ったのであった。
「しょうがない。可愛いのだから」
(2023.9.20)




