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虹と戯れる砂の底魚  作者: 藤泉都理
第三章
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第八十八話 左手の親指




 青になったり赤になったりと、羽の色が忙しなく変わるハシビを視界の傍らに入れながら、冴野はまだ眠りに就いている土羽梨を見下ろした。

 視線は顔から腹の上に置かれた両の手へ、そして、左手の親指に固定した。




『ふふふ。『砂の国』の縁がひとつ断ち切れたな』

『は?え?』




 肝を潰し蒼褪めた顔に、してやったりと思ったのだ。本当に。

 本当に『砂の国』との縁がひとつ断ち切れたと喜色満面になった。

 あの時は、夢に一歩近づいたと、心底。

 だが。




「左手の親指、か」


 それぞれの指に意味がある。

 左手の親指には。


(信念を貫く。難関に立ち向かう。か)


 断ち切れたわけではない。

 新たに縁が結ばれたのだ。

 たったのひとつだけだったとしても。

 儚かったとしても、縁があの時に。


「………」


 冴野は土羽梨の目の上で広げた手をかざし、丸めては布団の上へと下ろし、土羽梨の目覚めを待つのであった。











(2023.9.17)




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